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修行の始まり 2

師匠に全力に向かった結果。

一度も師匠に攻撃があたることはありませんでした。

いえ、それどころか師匠を一歩もその場から動かすこともできませんでした。

こんなにも私は無力だなんて。



「レイ、あなたには戦闘の力がありません。」



現実に絶望している中にさらに師匠の言葉で落ち込む。

分かっていたことだった。

でも、少しでもって思っていた。



「体力もないわ。」



うぅ、これも事実。

以前よりはあるはずなのだが。

一生懸命前回の異世界では生き残るために必死に体力を無理にでもつけたのに。

それでも師匠の足下どころも及ばない。



「よく生き残れたものだわ。」



師匠のため息が聞こえる。

うぅ、こんなにも私は力がないなんて。

少しでも力が付いていたと思っていた数時間前の自分を殴りたいぐらい恥ずかしい。

ああ、これじゃあ師匠に飽きられちゃう。

飽きられるだけじゃなくて修行さえ付けてくれなくなったらどうしよう・・・。

私は、強くなりたいのに・・・。

強くなって、裏切られても平気になりたいのに・・・。

もう二度とあんなことになりたくないのに。

あの絶望をもう二度と。



「でも瞬発力があるわ。これは一つの力ね。」


「えっ!?」



ぎゅっと瞼を閉じていたが、師匠のその言葉に思わず顔を上げた。

師匠はにっこりと笑顔を浮かべている。

今、褒めてくれた?

瞬発力があるって。

いや、もう傲ってはいけないと思っているけど、でもでも。



「以前の世界ではこの瞬発力で逃げのびていたのね。ふむ、ならばこの瞬発力を生かさないと!」


「師匠・・・?」


「あら、なに?」


「呆れられてはいないのですか?」


「あら、なんで?」


「だって、私全然駄目で。しかもさっきまでは少しはできるって思ってたし・・・。」



そう尋ねれば、師匠は呆れたように笑う。



「レイは今まで平和な世界で生きていたのだから、寧ろよくできた方だと思うわ。」


「師匠。」


「まぁ、この世界は元々レイの世界よりも武力の強い世界だから。故に平均もレイの世界よりも強い。」


「はい。」


「今のレイではすぐに死んでしまうわ。いくら以前の世界で少しは戦う術を、逃げる術を付けたとしても。」


「うぅ・・・。」


「前の世界のレベルがどれぐらいかは分からないけど。とりあえずこの世界、いえこの国ではそのレベルは子どもよりも下ぐらいよ。」



あう!!

師匠に褒められたと思ったら、すぐさま落とされました!!

子どもよりも下だなんて。

はっきり言われてしまいました。

嗚呼、この世界、いえこの国はそれほど強いのですね。

私は子どもにさえ負けるぐらい・・・。



「故にまず、体力作りね。」


「えっ?」



故にって一体どこに前置きが?



「体力がないと何もできないわ!!」


「はっはい。」


「何事も体力!体力そして筋力を付けるのよ!」


「えっ、あ!はい!!」



・・・師匠、もしかして脳筋だったり・・・。

いや、そんなはずがないですよね。

だって師匠は一国の王女様ですし・・・。



「体力を付け、そして筋力を付ければ、攻撃の方法ももっと多くなるわ。」


「はい。」


「ッというわけで、レイには私の魔術で常に身体に重りを付与します。」


「え?」


「簡単に言えば、あなたの周りの重力を重くし、私生活を送る中でも自然に不可がかかるようにするのよ。」


「それで体力を付ける?」


「えぇ。もちろん修行として、筋力トレーニングやマラソンとかしてもらうわ。」



師匠はそう言うと、私に向けて小さく何かをつぶやくと私の周りに一瞬光った。

その後、すぐにとても肩が重く感じる。

いや肩だけじゃない。

身体全体が重い。

呼吸をするだけでも苦しい。



「どう?」


「あっうっ。」


「あら、やりすぎちゃった?」



師匠が焦ったように再度魔術をかけ直そうとしているのが見えたので、止める。

息を整え、師匠の顔を見る。

顔を上げるだけでもいつもよりも重い。



「大丈夫です。ビックリしただけです。」


「そう?無理しているんじゃない。」


「大丈夫です。これぐらいしないと強くなれませんから。」



少しずつ慣れてきている。

呼吸もさっきよりはマシになってきた。

身体を動かせば、いつもよりは重く、だるく感じるけど動けないわけじゃない。

うん。

動ける。



「レイが大丈夫ならいいけど。」


「はい。大丈夫です。」



納得していないような師匠に笑顔を向ける。

大丈夫、私は強くなるためにならどんな努力もしようって思ってたのだから。

これぐらい全然平気にならないと。

私はこの世界では底辺の実力しかないのだから。

誰よりも努力しないと。



「んーまぁ、じゃあ、とりあえず、このメニューをこなして?」



そう言って渡されたのは筋力トレーニングの基礎だと思われる腹筋や腕立て、スクワットなどやマラソン等の回数が書かれたトレーニング表。



「無理は禁物よ?」


「はい!!」


「んー、本当に無理はしちゃ駄目よ?」


「分かっています!」



心配そうな師匠を横目に私は気合いを入れる。

これを全てこなさないと!

これが私の強くなる第一歩なんだから!

あの世界の最低な人たちを倒せるぐらい強くなってみせる!

そして、私はもう二度とあんな思いをしなくていいようになるんだから!


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