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運命 リュウside

答えが出ぬまま、数年が経った。

いつものように眠れば、愛しいお前に会えると思っていた。

愛しい君の笑顔が見られると。



「どういうことだっ!!!」



思わず、飛び起きた。

嗚呼、なんていうことだ。

なんで、俺の運命が!?

夢で見たのはいつもの幸せそうな笑顔を浮かべ、優しい世界で生きてる運命ではなかった。



「何故、何故、でも、あれは・・・。」



異世界。

嗚呼、多分あれは異世界だ。

この世界とよく似た異世界。

でもこの世界ではない。

そうだ、あれは魔法だ。

原理はこの世界とよく似ている。

魔術で世界が廻っている世界。

あの子が住んでいた世界ではない。

なぜ、俺の運命が?



「・・・召喚されたということか?」



俺の運命を?

俺の運命を勝手に?

俺の運命を横取りしたというのか?



「・・・ふざけているな・・・。」



俺がどんだけ運命を欲しいと思ったか。

どれだけ愛しているか。

それを横取り?

そうか・・・そうか・・・。



「・・・どの、世界だ?俺から運命を奪うとわ・・・。潰してやる。」



俺の中の魔力が渦巻く。

黒く黒く。

その気配を察知した母上に無理矢理力で押さえつけれたが。

しかし、俺の怒りは収まらなかった。

俺はどれだけ考えて考えて、でも結論は出なくて。

グズグズしているうちに横取りされるなんて。



「嗚呼、嗚呼。許されるものか・・・。」



絶対、奪ってみせる。

いや、違うな。

元々、彼女は俺のだ。

俺のものを奪うなど・・・。



「魔力はずっとため込んでいる。すぐにでも彼女を俺の元へ・・・。」



しかし、今まで見ていた世界ならば、今すぐのでも召喚できるが。

今の彼女の世界では、彼女を傷つけずにこの世界に喚べるかどうか分からない。

彼女に傷が付くなんて許されない。

だから俺は、何度も夢を見て彼女の居場所を探った。

しかし、その行為をすればするほど俺の怒りは積み重ねっていく。



「俺の運命を・・・あんな風に扱うなど!!」



俺の部屋は俺の荒れた魔力で酷くなっていく。

しかしそんなことどうでも良いことだ。

物などどうとでもなる。

しかし彼女が傷ついてはならない。

なのにあの世界の奴らは!!

あれほど心優しく美しい彼女をあんなに罵声を浴びせ。

さらには暴力まで。

嗚呼、今すぐあいつらを殺したい。

いや、あの世界を抹消したい。

彼女の美しい黒を不吉だと蔑む奴ら。

そして歪んだ銀を持て囃す馬鹿な奴らも。

なんて歪んだ銀だ。

どう見ても気持ち悪い。

あんなのが聖女など。

見る目がない。

程度がしれている。

あんな世界つぶれてしまえば良い。



「泣くな、運命よ。」



影に隠れて泣く彼女の姿にどれほど心が締め付けられたか。

そしてその姿がどれほど美しいか。

あのような歪んだ銀よりも美しい。

美しい黒。

嗚呼、嗚呼、泣かないでくれ。



「早く、早く。」



黒を俺の手に。

俺の元に来たならば、すぐさま抱きしめるのに。

抱きしめて、甘やかせて、ドロドロに溶かして。

俺なしでは生きられないようにして。

いや、それより、まず、運命のあの悲しみを取り除かなくては。

・・・記憶を消すか?

俺ならできる。

あの世界の記憶を消すことぐらい容易い。

そうだ、それがいい。



「悲しみなど彼女には必要ない。」



彼女に似合うのは笑顔なのだから。

嗚呼、もうすぐ。

もうすぐ、君を。



「さぁ、始めよう。」



準備ができ、俺はすぐに召喚術を始める。

一秒でもあの世界に彼女を置きたくない。

そして光った場に降り立った俺の運命。

思わず抱きとめたのは仕方がないことだろう。

どれだけ待ち望んだと思うのだ。

この瞬間を。

俺の元に舞い降りた俺の、俺だけの運命。



「はじめまして、俺の宝玉!」


「えっ?」



声も愛らしい。

夢で聞いてはいたが、実物の声は夢よりも美しい。

感動で身体が震える。

嬉しさのあまり周りが見えなくなっていたが、母上の拳で現実に戻ってきた。

まぁ、俺の運命を手放す気は一切ないのだが。

母上に邪魔されながらも運命、レイを愛でていた。

本当に実物は一層可愛らしく美しく愛らしい。

そして、優しい。

宝玉の乙女達を美しいと素直に褒め、また恐れられていることを伝えれば周囲を身勝手だと怒る。

その話を聞いていた、彼奴らもレイのことを気に入ってみたいだ。

なんとも憎らしいが。

まぁ、俺のレイが魅力的すぎるのは分かっているが。

それでも俺以外がレイを愛するのは憎らしい。

母上でさえ憎らしく感じるのだから。



「しかし・・・レイは忘れる気はないみたいね。」


「・・・なんのこと?」


「あんたのことだから、どうせ記憶を消そうと思っていたのでしょう?」


「・・・。」



・・・何故母上には全てがバレるのか・・・。

宝玉の乙女だからか?

それとも俺の母上だから?

まぁ、別にいいが。



「記憶を消すのはやめなさい。レイは強くなりたいと思い、前を向いているのだから。それを邪魔することはやめなさい。」


「・・・分かってる。」



そう母上に伝えれば、母上は疑わしそうに俺を見る。

・・・本当にしないというのに・・・。

レイの邪魔をする気は一切ない。

レイの幸せは俺の幸せなのだから。

前を向いて頑張ろうとしているレイはとても愛らしい。

自分の中の悲しみを頑張る糧として使っているのだから。

それをなくしてしまっては、いけないことはよく分かってる。

まぁ、もしレイが辛さに負けてしまったのならば、そのときは・・・。



「俺はレイの幸せが第一だから。」


「・・・それは、本当になのかしら・・・。」



母上のため息を後ろに俺は部屋を出、レイの部屋のある方向を見る。



「大丈夫、これからは必ず俺が守ってみせる。」



もう二度と。

君を傷つけるものは全て消してみせるから。


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