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強さ


「ふふふ、驚いた?」



楽しそうなサーリナ様に声が出ず、そのままこくこくと無言で頭を縦に振る。

まさかのサーリナ様が宝玉の乙女様!?

そんな!?

えっ?



「私は元々、隣国の兵としていたのよ。」


「えっ?」


「ふふふ。でも、さっき話した通り。私の夫が私を見つけて誘拐したのだけどね。」




そういえばそうでした。

王様はサーリナ様を誘拐したのでした…。



「まぁ、あちらの国では宝玉の乙女ってのは秘密にしていたのだけどね。」


「そうなんですか?」


「えぇ、私は元々平民だっだから。」



なんと、サーリナ様は平民でしたか。

こんなに美しいから産まれもお姫様だと思っていました。



「宝玉の乙女と知られたら、面倒になることは分かっていたから、両親も秘密にしててくれたの。」


「そうなんですね。」


「えぇ、でも、まぁ、夫はすぐに分かってしまっていたけどね。」


「運命の相手のことは何でも分かるから。」


「…え?」


「俺もレイのことなら分かるぞ?」


「うわぁ…。」



なんでしょう。

イケメンにそんなこと言われたらときめく人も居るかもしれませんが私はどん引きです。

恐いとまで思うのですが。

サーリナ様も一緒だったようで、ご自分の息子の発言にどん引きです。

顔が心底嫌そうな少女を浮かべています。



「まぁ、馬鹿息子は置いといて、考えたら分かると思うけど私のパートナーは夫よ。」


「生涯のパートナーですね。」


「まぁ、そうね。なにがどうなってって感じなのだけどね。」


「運命だから仕方がないな。」


「…。」




リュウ様が時折入れてくる言葉が相当面倒くさいです。

サーリナ様も限界だったようで、机にあったクッキーを鷲掴みし、そのままリュウ様の口にねじ込みました。

えぇ、無言で黙らせました。

(物理)で。



「なので、私は宝玉の乙女について詳しいのです。」


「はい、分かりました。」


「良い返事です。」



物理でリュウ様を黙らせたサーリナ様はどこか満足そうでした。

リュウ様は不満そうな顔をしながらも口いっぱいのクッキーを食べてます。

頬がふくれてリスのようです。

もしくはハムスター。



「っで、レイ。」


「はい。」


「あなたはこのお城で暮らすことになったのだから、何不自由なく暮らして欲しいの。だから何かあれば何でも言ってね。」


「サーリナ様…。」



本当にサーリナ様が優しすぎて泣いてしまいそう。

そして、そんなサーリナ様のことをまだ信じられない自分が本当に嫌になる。

また裏切られるんじゃないかって…。



「レイ?どうしたの?」


「あっ。」



サーリナ様が心配そうにこちらを見る。

表情に出てしまっていたのか…。

嗚呼、もう、なんて私は弱いの。

もっと強くなりたい。



「サーリナ様。」


「なぁに?」


「あの…。宝玉の乙女様達は強いのですよね?」


「えっえぇ。そうよ。」


「…心も…強いですよね…。」


「えぇ。彼女たちは心も体も強くないといけないからね。特に心は、宝同石を持っているパートナーに伝わってしまうから。」


「え?」


「説明していなかったわね。宝同石はね、宝玉の片割れだから、繋がってるのよ。宝玉と。」


「宝玉と繋がってる?」


「そうよ。だからね、宝玉を埋め込まれている宝玉の乙女達の強い感情はね、宝同石を伝ってパートナーに分かっちゃうの。」



それはなんというかプライバシーがないですね。



「ふふふ、でも本当に強い感情だけよ?悲しみや怒りとか。まぁ、伝わることはあんまり嬉しいことじゃないから、できるだけそうならないように訓練しているわ。故に宝玉の乙女達は体はもちろん、心も強いの。」


「本当に凄いですね…。」


「まぁ、最強と言われてるものだかね。」


「…うらやましい…。」


「レイ…?」



うらやましい。

私も宝玉の乙女様達みたいに強かったなら、こうはならなかったのかな?

菫にも騙されず、自分で立てたのかな…?

私が弱かったから、異世界に一人が耐えられなかったから私は菫に騙されたの。

強かったら、私が強かったら…あんな悲しい思いをしなくて良かったのかな…?

この世界にやってきて数時間。

まだ数時間しか経っていない。

できるだけ気にしないようにしてるけど、やっぱりあの場面はトラウマになっている。

今のところ、この世界は私に優しい。

でも、いつ裏切られるか分からない。

菫がそうだったように。

そう思うと私は信じられない。

こんなに優しくしてくれてるサーリナ様さえ。

なんて醜いのでしょう。

私は強くなりたい…。

宝玉の乙女様達のように。

そうなったら、きっと必要とされるでしょうか。



「サーリナ様。」


「ん?どうしたの?」


「あの…宝玉の乙女様達は産まれにして決まってるのですよね…?」


「えっ、えぇ。基本は。」


「基本は?」


「後から力を手に入れた人もいるわ。まぁ、ほとんどみーんな産まれながらだけど。」



…いるんだ。

そっか、いるんだ。




「サーリナ様、一つお願いしたいです。」


「なにかしら?」



サーリナ様は不思議そうにこちらを見る。

そんなサーリナ様の瞳をまっすぐと見た。



「私に戦う力を与えてください。」



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