5話
ま、間に合いました…
「大丈夫かい?」
目を覚ましたようなので、爽やかイケメンモードで話しかける。
「は、はい。何度もすみません。」
まだ顔は真っ赤だが、話せるようにはなったようだ。
「ところでまだ名前を聞いてなかったね。俺の名前は中原悠里だ。
悠里と呼んでくれ。」
「そ、そんなマスターのことを名前でお呼びするなんて……」
さらに顔が真っ赤になっていく。
「まあ、別に好きなように呼んでいいよ。」
「は、はい。私はリッカと申します。」
うん。いい笑顔だ。
そういえば、リリーはどこだ?あたりを見渡しても見つからず少し焦っていると、
「マスターのポケットの中に何か生き物が入っています。」
リッカに言われた通りに胸ポケットの中を覗くと中でリリーが寝ていた。
「おいリリー起きろー。」
「んーふわー。」
大きなあくびと伸びをしてリリーは目覚めた。
「おはようございますなのです。ご主人様。」
「ああ、おはよう。」
目が覚めたリリーは俺の胸ポケットから出てきて俺の周りをぐるりと一周飛ぶ。
「マスター、それは何ですか?」
リッカが少し警戒している。
「それとは失礼なのですよ。」
リリーはそれ呼ばわりされたのが気に障ったようだ。
「リッカ、妖精のリリーだ。」
「マスターは妖精を使役しているのですか……もしかしてものすごい御方?」
「もしかしてなのではなく、ものすごい御方なのですよ。」
「あ、盗賊どものこと忘れてた。どうするリッカ?おまえの好きにしていいぞ。」
「良いのですか?」
「もちろんだよ。俺はこいつらがどうなっても構わないからな。」
「では、放置でお願いします。街まで連れて行って奴隷として売ってお金にするのもありだと思いますが、あいつらを連れて行くのがとても大変です。」
「そうだなそれでいこう。じゃああいつらにお別れの挨拶でもしてくる。」
俺は盗賊たちに近づいて行く。
「お前らとはここでお別れだ。運良く誰かに拾ってもらえるといいな。じゃあな。」
「お、おい俺たちを餓死させる気か!!ま、待て人殺し!」
「は?さっきまで俺たちを殺そうとしてたお前たちには言われたくないな。」
盗賊たちは焦って立ち上がろうとするが、全員をリリーの魔法?で拘束しているのだ。
それに俺との戦闘で足を怪我しているのだ。まともに移動できるはずがない。
「ただいま。さあ行こうか。リリー道案内よろしく。」
「はいなのです。任せるのです。」
「あ、とりあえずリッカも一緒に行くぞ。」
「は、はい是非お願いします。」
-------ぐぅぅぅぅぅ
全員のおなかが高らかに鳴った。
いろいろあったので忘れていたが、もう夕方であった。
「お腹すいたな。そうだ!ボアの肉でも焼いて食べるか?」
「マスター失礼ながら、ボアの肉はどこにあるのでしょうか?」
あ、あれ?
「忘れてきちゃった!!急げ!宿がなくなったら、辛い!」
「はいなのです。最短ルートを行くのです。」
「「了解!」」
この三人とても息が合うようだった。