2話
リリーから白い光が消えるとそこには、俺の妹と言っても通じるような女の子が立っていた。しかし、服を着ていなかった。当たり前である。服も人間サイズになるというのは考えづらい。
「どうですかご主人様?」
「いいんじゃないか?でも、今は妖精になっていてくれ」
「了解なのです」
リリーには妖精に戻ってもらいボアのいる木の下に向かう。
リリーと他愛もない話をしているとすぐにボアの元にたどり着いた。
ボアの状態は思っていたよりも酷くなく地面と当たったところだけグチャグチャになっていた。
あーナイフがあれば、軽く解体できたのにと思うとにゅーと心臓のあたりからナイフが出てきた。
そして地面に落ちた。俺は焦った。傷を確認しても傷はない。周りに人もいない。どういうことだ?
「あ!それはご主人様の能力なのですよ」
考えている間にリリーが答えを出してくれた。
「何を根拠に?」
「何か文字が出てきてご主人様の能力で取り出したと書いてあったのです」
ナンダト!特殊な能力は1つじゃないのか?いや身体能力強化はオマケだったのか?まあ、どちらにしても有り難く使わせてもらおう。
「他には、何か書いてあるのか?」
「はい、書いてあります。どうやら、このナイフはご主人様の心そのものと書いてあるのです」
リリーによると、このナイフは魔物の血で強くなっていくようだ。さらにこの武器は持ち主の心そのものなのでこれを破壊されると人格が壊れたりと持ち主にも影響が出るという。しかし、武器が強くなると、持ち主も強くなると言う。
「よしこんなもんかな」
思ったよりも、上手く食べれそうな部分をとることができた。
「お上手なのです。さすがご主人様なのです」
俺は、ナイフを強化するため、ボアの血をナイフに描かれている魔法陣に垂らした。すると、俺の体が徐々にムキムキに…………なるわけでもなく特に変化は見られなかった。
ボア位じゃあまり変わらないのだろう。
「さあ、近くの町に急ごう。早くしないと日が暮れちゃう」
血を近くの川で流し出発しようとした。しかしナイフは鞘がなく、抜き身だった。
どうしよう。と悩んでいると、
「心臓の近くで魔法陣を重ねるようにするとしまえるのですよ。」
いわれた通り心臓の近くにナイフを持って行くとナイフが少し光り体の中に入っていくのがわかる。ナイフはすぐになくなった。
「それでは、ナイフもしまえたところで案内を再開していくのですよ」
「ああ、頼む」
ー5分後
「ご主人様盗賊なのです。前から4人来ます」
「わかった。でもなナイフじゃ心許ないよな」
と弱音を吐くとにゅーと今度は片手剣が出てきた。
「どうやら、ご主人様の武器は万能のようなのです。そのとき最も欲しい武器になってしまうようなのです」
なんと万能だったか。
そんな話をしている間に盗賊たちが見えるようになってきた。
「まずいな、障害物がないから盗賊たちを避けるのは難しいな」
「あ、ご主人様!獣人が一人いるのです。縄でグルグルされているのです」
なんと!獣人もいるのかこの世界は!
しかし、縄でグルグルと言うことは盗賊ではなく捕まってしまった一般人だろう。
お礼に一モフ(一回モフる)できるかな?
「じゃあ、ちょっと救ちゃおうかな。リリーはどうする?」
「リリーはご主人様といっしょにいたいのです」
可愛いな。
「じゃあ、ここだな」
リリーは俺の胸ポケットの中に入っていく。
「100メートル20秒ダッシュ!」
そして、俺は盗賊に向かって50%の走りで近づいていった。