18話
「馬車に乗れてよかったですね」
割とギリギリだったようで、馬車に乗り込むと、すぐに出発した。
馬車の中には、俺たちの他にも何人かいた。
「そうだな」
馬車に乗ってから、しばらくは暇だった。
俺たちの話を他の人に話すことは、よくないと思ったので、他に話すことも特にないので俺は、寝ることにした。
あ、リリーには、マップ禁止令を出している。
この場に、軍の関係者とかいたら、戦争に駆り出されてしまう。
相手の陣の形、敵の数と戦争で使う方法が次々と浮かぶ。
まあ、滅多にいないと思うが、一応ね。
「おい!そこの馬車!止まれ!荷物と女を置いてけ!抵抗しなければ、こちらも被害は、加えない!」
急に馬車が止まり、その衝撃で、俺は左端に座っていたので、頭を気の部分にぶつけて目が覚める。
「どったの?」
右手で目をこすりつつ、左手でぶつけた部分をさする。
「盗賊ですね」
冷静だな。ていうか、馬車にいる人全員、冷静なのが、逆に怖いんですけど。
この世界の、盗賊に遭遇ってこんな感じなの?
もっと、驚いたり、焦ったりしないわけ?
まあ、パニックになるよりは全然いいんだけどね。
「で、どうするの?」
「先ほど、外の様子を見ましたが相手は8人です。完全に包囲されています」
「馬車での強行突破とかできないの?」
「ダメですね」
盗賊は御者を襲わない代わりに、御者も何もしないという、ルールがあるそうな。
なるほど、このルールがないと、逃げられないように、御者が一番最初に殺すよな。
そうなると、御者が減って、馬車が減って、仕事にならないね。
それはそうと、リッカはよく知ってたな。
「お前ら、いい加減にしろ、こっちはどんだけ、待ってると思ってんだ!」
外から、盗賊の声が聞こえる。
どうやら、決断の時は迫っているようだ。
「俺は、盗賊と戦うぞ!」
平民っぽい、格好をした、中年の男性が最初に決めたようだった。
「妻と娘を守るためだった、俺は命を捨てる!」
おーかっけー
でも、守っても死んだらダメじゃね?
「私も、戦わせていきます。少しは役にたてればと思います」
続いて、白髪の混じったオジサン。
帯刀してるんだけど、鎧は着てない。
少しは、役にたてればと思います。とか言っておきながら、メッチャ強そう。オーラがある。多分。
「次、アンタの番よ。みんな待ってるわ」
次は、俺の番のようだ。
ユラに急かされる。
「俺も戦おうかな?」
他には、女性だけなので俺が最後である。
まあ、試し斬りにはちょうどいいかな?
リッカとユラの武器と俺の武器のね。
俺は、昨日盗賊相手に戦ってはいるがちゃんとまともに斬ったことはない。
なので、俺も試し斬りだ。
「さあ、行きましょうか。危なくなったら、馬車へ待避ですよ。いいですね?」
「わかりました」
平民風な男性が、返事を返す。
俺も、頷き返す。
「では、行きますよ」
そう言って、馬車から出て行く。
あー完璧に囲まれてるな。
こりゃ、大変だ。