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姉妹のケンカ

 ―むか~し、むか~し、あるところによんにんのきょうだいがすんでいました。

 いちばんうえのおにいちゃんは、なぜかおんなのひとにおかねをわたしていました。

 にばんめのおねえちゃんは、ゲームやマンガにおかねをぜんぶつかっていました。

 いちばんしたのおとうとは、じぶんのことをやることがありません。

 そして、うえからさんばんめのわたしはじぶんのことはじぶんでやるようにして―


 部屋で宿題をしてる私の頭に痛みが走る。


「痛ったー!?なんで殴んの!」

「何で殴られたか、わからない訳ないでしょう!」


 私には正直なぜ殴られたのか一切見当もつかないんだが。


「わかるかー!なんでよっ!」


 ゴチン


 最後まで聞いた上で。

 これが返事。みたいに殴られた。

 心底意味が分からない。

 なぜかお姉ちゃんは、拳を握って緩めない。


「あんたさぁ~。どうしてぶたれてるかわかってないでしょ。」


 涙目の私にお姉ちゃんはそんなことを言う。私の考えを的確についてくるのは、もしかしてエスパーに目覚めたからなのか?

 そんな風に思っていると、いつの間にかお姉ちゃんは怒りで肩を震わせている。そんなオーラを出してたら、悪い魔女と王子様も裸足で逃げ帰って行くに決まってる。あぁ、だから、そんな歳になっても彼氏の一人もできないんだ。

 そんな可哀そうなお姉ちゃんが一言、ぽつりと呟く。


「あんた鏡みたことある?」

「お互い様だとおもうけど?」

「思ってることそのまま顔にでるのよ。あんた。さっきまでどうしてこんな目にって顔から、私の事ですごく失礼なこと考えてたこと。私にまるわかりよ?」

「そんな、まさか。」


 そう私が口をこぼすと。

 まだまだ八月に入ったばかりだというのに、もう冬がそこまで迫ってるのかというくらいひんやりとした空気が漂ってくる。

 目の前のお姉ちゃんの顔は、そんなことには気づかず、「それが最後の言葉でいいわね」と顔に書かれていた。なるほど、私にもこれだけわかりやすく顔に書かれている訳だ。

 それは、お姉ちゃんが笑顔で温めたかみなりが落ちる直前だった。


「うえーん!うぇーん!」


 ただの泣き声が、私には雷神のかみなりを吹き飛ばす風神の息吹のように聞こえた。


「ほら、あんた達がケンカするから泣いちゃったでしょ!」


 相手にしてもらえず泣いたかもしれないのに。お母さんが弟が泣いた責任をこちらに押し付けてきた。


「いやいや、全部こいつが悪いのよ?」


 そして、その責任をお姉ちゃんは全部私のせいにする気だ。


「いいもん、そこまで言うなら私にも考えがあるんだからね!」

「なによ、どうせロクでもないことなんでしょ?」


 私はお姉ちゃんの大事にしてる男の人が抱き合ってる本を取り出し、外に出る。お姉ちゃんが隠してる本性を海未お姉さんにばらしに行くために。


「私、田中さん家に行ってくる!」

「ちょっと!あんた待ち―」


 お姉ちゃんがなにかいってる。だけど私には聞こえない。海未お姉さんにお姉ちゃんのことを知ってもらう為に・・・

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