冬の隣人
寒くて寒くてどうしようもない日。真冬の事。
春を待ち焦がれながら、冬を生きるのは辛い。
私は思う。
寒さに震えるのと、恐怖に震えるの。
果たしてどちらがましだろう。
私は恐怖だと思う。
恐怖は、その時を堪え忍べば大抵去っていくものだから。
寒さもまた、いずれ去るものだろう。
しかし、寒さは──冬はまた廻ってくるのだ。
春が過ぎて──夏が過ぎて──秋が過ぎて──
冬は来る。
春を知り、夏を知る身にとって、冬は馴れるものではない。
冷たい手を頬に当てては、とうに忘れた春の温もりを探している。
冬と春が隣人同士というのは、大層不思議だ。
これほど寒いのに、何故暖かくなるのか。
いっそずっと寒ければ、この冬にも諦めがつくのに。
なんの罪もない春──もちろん、冬にも罪はない──を恨みつつ、やっぱり待ち焦がれて、待ち続ける。
隣人の訪れを──。
春が待ち遠しいです。