「頼んでないんだから!」
「私は2年の雪代エリナ、ここの生徒会副会長よ。あなたのことは奏からよく聞いてるわ。比呂に色々してくれたのよね、私からもお礼を言うわ。本当にありがとう」
そう言ってエリナ先輩は深々と私に頭を下げる。私は完全に混乱している。
えーと……奏?そんな友達、私にいたっけ?なんで私にお礼を?それに比呂って、この人は一体何者?
あーー、一気に色んなことが頭の中でぐるぐるしててよく分からない!
それにこの状況誰かに見られたら……
「先輩!あ、頭を上げて下さい!」
私は慌てて先輩にそう言うと、先輩は頭を上げて私に微笑む。
うっ、綺麗……
私はなぜか照れてしまった。
「あのー、先輩。私には奏っていう友達はいないんですけど……」
「そう?友達じゃなかったの?あっ、妹?」
妹……、もしかして、
「比呂の妹のことですか?」
「そうそう、獅村奏のことよ」
私は納得した。けど、頭の中には疑問が残る。
先輩はどうして奏ちゃんのことを知っているんだろう?それによく聞いてるって、この人は一体比呂とどういう……
「先輩は比呂とはどういう関係なんですか……?」
「あれ?聞いてない?」
「はい、何にも」
「実は〜〜」
不敵に笑う先輩に私は唾を飲み込んだ。
「私は比呂の従姉妹」
え?い、と、こ……
驚いている中に少しホッとしている自分がいる。
「もちろん彼女とかじゃないから安心して」
「いやっ、私は別に心配は」
先輩はふふっと笑い、私に迫る。
「嘘ね、だって、顔に書いてあるもの。それに、加奈さん。あなた比呂のこと好きでしょ?」
「ふぇっ!?」
先輩は私のことを指差して、私のほんのり赤く染まった顔を見て、
「ふふっ、その反応にその顔、もう確定ね。奏に探るように言ったときも同じ感じだったし」
え、じゃあこの人が奏ちゃんに訊かせた……
「じゃあ、これからも比呂のことよろしくね。あの子には骨が折れるわよ〜〜」
先輩は私の背中をポンも叩くとそのまま、その場を去って行く。私は固まったまま動けなかった。
全部見透かされている……。それに先輩が従姉妹ってことは先生も!?
─────
───
─
昼休み、俺は人気の無い階段を上っていた。
「ほいっ、ほいっ」
「ん?なんだあれ」
俺の目の前には階段を2段ずつ飛ばしながら上る赤毛の女子の姿が。
やめとけよ、落ちんぞ。
女子は飛びながら階段を上り着地の度にフラついているため見ていて危なっかしい。案の定。
「うひゃっ!」
着地の時に足を踏み外した。
チッ、アホだろ。
流石に俺も目の前で落ちる人を放っておけない。咄嗟に手を伸ばして彼女を抱えた。
「おい、お前。アホだろ」
『おや、お嬢さん。お怪我はありませか?』
※注、彼女にはこう聞こえています。
「え?はい……」
(これが私の王子様……?髪も金色でカッコいい)
※注、彼女には比呂は輝いて見えています。
そう言って、頬を赤く染めた。
認めた……
「気をつけろよ」
俺はそう言って、女子を放して階段を上がる。
(ハッ、私は今何を……、あ、あの男ね!)
「べ、別に助けてなんて頼んでないんだから!」
背後からいきなり叫び声が聞こえてくる。なんで怒られんだ?意味わかんねえ
俺はめんどくさいので振り返らずに階段を上り続けた。
「む、無視するなーーー!!!」
その後背後からガヤガヤと何か聞こえたが、全部無視した。
(わ、私があんな奴なんかに……)
赤毛の女の子は階段で頬を赤く染めて、拳を握りプルプルと震えていた。




