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大切なもの  作者: アンスリウム
中学生
11/22

「早く言え」

中学生ラストです。



私は掲示板の前で紙が張り出されるのを待っている。私の受験番号は133、比呂は私の前だから132。はぁ、すっごい緊張してきた。ドクンドクンって心臓が喉から飛び出てきそう。



紙を持った先生がやって来た。丸めていた紙を掲示板に広げると、周りにいた学生が一斉に紙の前に集まる。周りから歓喜の声や泣き声が聞こえる。

それを聞いて私の緊張は最高点に達した。




一度目を瞑って、



ふぅー、リラックス、リラックス。




自分に言い聞かせると、深呼吸して掲示板に目を移す。





「125……129……」




「132……13……」




「……133……」





あった!!!比呂の番号もある!!よかった〜。これで春から同じ高校に通える。



私はホッとして肩を撫で下し、胸の前で小さくガッツポーズをした。




「比呂は来るのかな?」




私は周りを見回して比呂の姿を探すが見つからなかったので、もう帰ることにした。さすがに周りから泣き声が聞こえるのに1人でいるのは耐えれない。





雪ヶ丘駅に着くともうお昼前




「クゥ〜〜〜〜〜」




はっ!お腹が鳴った?誰かに聞かれた!?



私はすぐにお腹をパッと抑えて、指名手配犯のように周りを見回した。

シーンと聞こえてきそうなくらい誰も居なく、風がヒューっと吹き抜けた。



私は安心すると、手の甲で額の汗を拭った。




「ふぅー、誰にも聞かれなk」



「お前、腹減ってんの?」



「……っ!!!!!」




突然背後から声をかけられて、身体がビクッてなる。ギギギッと少しずつ首を回しながら後ろに顔を向けると、




「ひ、比呂!?」




制服姿の比呂が私を見ていた。



うわぁー、比呂に聞かれた。顔から火が噴き出そうだ。だんだんと私の顔が熱くなってくるのが分かる。



もう私の顔は真っ赤っかで茹でダコ状態。



私はその場で固まって、小さくコクコク頷くとそのままうつむいた。




「お前、相変わらずうるさい。あと、今から家に来い」



「え?」




聞き間違いかな?

頭がハテナで埋め尽くされていく。




「今なんて?」




比呂は私の言葉に顔をしかめて、少しイラっとした口調で、




「だから、今から家にこい」



「いいの!?」



「こいっつってんだろ」



「うん!」




私はとびきりの笑顔で笑いかけた。



って、比呂見てない……

比呂は私がうんって言う前に私に背を向けて歩いてしまっていた。



─────

───



比呂が私の目の前に座って、私を真剣な目で見つめている。





「いいから、早く言え」





そんなに真剣に見つめられたら……うぅ……恥ずかしくて言えないよ。





私は正座をして、手を膝の上に置いてしっかりと握り締めて、目を瞑りうつむいている。





「はやく」





比呂は私を急かす。





「……うん」




私は片目を開けて比呂の目をチラッと見た。




比呂の私を見つめる眼差しは揺るぎない。ずっと見ていたらどうにかなってしまいそう。




私はもう一度比呂を両目でまっすぐ見て、口を開く。




「比呂」





比呂の顔もほんの少し強張っている。





唾をゴクンと飲み込んだ。





「……あったよ……番号……比呂の番号あったよ」



「本当か」



「……うん」




私がそう言うと、比呂は何も言わずに口をワナワナさせて少し口角を上げた。目線は下を向いていた。普段あまり感情を表に出さない比呂だけど、この時は少し喜んでいるように見えた。



そんなに嬉しかったんだ……ホッ、良かった。喜んでいるんだよね?そんな顔もするんだ。また少し比呂のことを知れた。



比呂の様子を見ていると私は何だか暖かい感情に包まれた。




その後、ご飯作ったり色々して、



私は新しく来る季節に心躍らせながら家へと帰った。



2人には桜が咲きました。


お昼ごろに番外編を投稿したいと思います。

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