終わってる野球部
ジョーの入った野球部。
部員数25名。2年5名。1年20名。
全員やる気なし。終わっていた。
しかし、まだみな若い。
「遊ぼうや~」
道具は、全部揃ってる。さすが、校長が顧問だけある。
高校の硬式野球のボールは、硬い。ゴムボールとは違うなあ。
バット。金属?木だとばかり思ってた。ボールをバットにひょいと投げてみた。
ゴン。あれ、意外な音。もっとキーンと鳴るかと。
「昔はキーンと鳴ってたんだ。耳に悪いと改良された」
と2年の先輩。飛ばなくなった?木と比べてみたらいいじゃん。木の切れ端を置いて、ボールを投げてみる。金属のほうが反発力あり。腐っても金。このバットなら、力なくても飛ぶとジョーは安心した。
野球のルールは、プロ野球見てるから大体分かる。投げて、打って、走れば、終わり。簡単じゃん。
さあ、遊ぼう。
打つ順を決めよう。じゃんけんしてジョーが1番打者になった。
9人9人チーム二つ作った。攻守じゃんけん。アア~!負けた。後攻だ。打つ気まんまんだったのに。
どこを守るか。投手は2年先輩がしてくれた。ぶっとい奴が捕手。足の速い奴は外野。
あ、ジョーはどこを守るか。足は速くないし、内野か…。ジョーは実はキャッチボールが苦手だった。
「カラダの正面で捕りにくい」
それなら…
「遊撃いくか」
と先輩。遊撃は、ボールが正面に飛んでくることが少ないからいいんじゃないか?という。
ということで、ジョーは1番、遊撃手と決まった。この何気ないいい加減な決定が、ジョー・メハラの野球人生を彩ることになろうとは…。