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my lover 5

恋愛作家さまに向けてですが、書いてて恥ずかしくなるとき、ありません?

 ――――――――――After 5 hours――――――――――




 ――うわあああぁぁぁぁぁ!!

 私はなんであんな恥ずかしいことを言ってしまったんだ!!

 昼休み、私は購買の焼きそばパンを齧りながら、目をぐるぐる回していた。あんなの、生き恥を晒しただけだ。あぁ恥ずかしい……。

「うぐぐぐ……」

 ついうなり声を上げてしまい、隣の女の子にぎょっとされてしまった。

「……あの、ヒナちゃん。大丈夫……?」

「ん、あ、マキちゃんか」

 隣の女の子はマキちゃんだった。昨日の掃除の件もあってか、マキちゃんは気軽に私に話しかけてくるようになったようだ。というのも、マキちゃんも内気だし、私もどうやら話しかけづらい人、らしい。それはレイに言われたのだが、確かに好き好んで私に話しかけてくる人は少ない。友達ができた、のかな。

「そういえば、ヒナちゃん。知ってる?昨日、堀田くんたち……ゲームセンターでケンカしてたのが見つかって、また停学だって」

「停学?あいつら三人がか?」

「うん、また停学、だって。こないだ帰ってきたばっかりなのに、かわいそうに」

「三人でケンカしてたのか。仲間割れなんて、バカらしい」

「いや、それがさ……実はね、私のお姉ちゃんが、それ見てたみたいなんだ。これはここだけの秘密なんだけどさ。学校では、三人でケンカしてた、ってことになってるみたいだけど、実は、堀田くんと脇田くんと瀬能くんの三人が、誰か一人とケンカしてたんだって。三対一、ってことかな。それは学校側は知らないんだけど、その人、ウチの学校の制服着てる人だったんだって」

 話を聞くに、堀田ら三人は、うちの学校の制服を着た何者かに、三対一で負けて、それを知らない教師共は、堀田、脇田、瀬能の三人が仲間割れをしている、と勘違いしている様子。

「へぇ、難儀なもんだ。あいつら昨日掃除サボって、マキちゃんに押し付けてたんだろ?天罰じゃないのか、それ」

「それはさ、いいんだよ。三人で、楽しく遊べたなら……」

「おいおい。なんかおかしいだろ、それ。マキちゃん一人に掃除押し付けて、何がいいもんか」

「で、でも」

「それとも何か。マキちゃん、一人で掃除したかったのか?」

「いや、違うけどさ……」

「じゃあ、いいじゃないか。あいつらに天罰が下ったんだろ?それにしても、すごいな、そいつ。一人であいつらをシメたんだろ?ウチの学校にも、そんなヤツがいたなんて」

「そうだよね。ちょっとかっこいいなぁ」

「……いや、でも、おかしくないか?同じ学校なら堀田たちだってそいつのこと知ってるはずだろ。そしたら普通、そいつのことチクるだろうし。なんでそいつは停学になってないんだろうな」

「あ、そういえばそうだよね。なんでだろ。三人以外の停学者はいないと思うし……口止めとか、されてるのかな?」

「……いや、三人がかりで一人にボコられたのが恥ずかしくて言えない、とか。大方そんなとこだな、きっと」

「あ、なるほど。あの三人、プライド高そうだしね。納得」

「……でも、誰なんだろうな。お目にかかりたいもんだ」

「そうだね……気になるなぁ」

 と言っていた最中、教室のドアから、レイが入ってきた。寒い寒い、とか言いながら、小走りで私たちの方に向かってくる。

「お、マキちゃん。ヒナと一緒に食事なんて、もの好きだねぇ」

「失礼な」

「レイくん。よかったら、レイくんも一緒にどう?」

「ありゃー、俺はもう食べてきちゃった」

「そっか」

「でも、ご一緒してもいいかな?」

「うん、どうぞどうぞー」

 レイは私の前の席に座り、私と向かい合った。

「あれ、レイくん、ほっぺ……どうしたの?」

「やー、昨日階段から落っこちちゃって」

「わ、痛かったでしょ。大丈夫?」

「あはは、全然大丈夫。心配しないで。……で、何の話してたの?」

「あぁ、そうそう。もしかしたらレイなら知ってるかもしれないな。おまえ、なんでも知ってるもんな」

「あはは、そうでもないよ。それで、何?」

「ん、堀田くんと脇田くんと瀬能くん、昨日、ケンカして停学になっちゃったんだって」

「あぁ、その話、朝のHRで言ってたな。それで、そいつらやっつけたのは誰だ、って話か」

「そうそう。レイくん、何か知ってる?」

 レイは少し考え込んだように唸ったが、

「……ごめん、知らないや」

 と、両手を広げてお手上げの様子。

 ――だが、一つ不可解な点が。

「そうか。おまえなら、と思ったが」

「んー、残念」

 HRで聞かされたのだとしたら、三人が仲間割れをしている、と思っているはずだ。こいつが、もう一人のことを知っているはずがない。

 私はレイの方をじっと見ると、

「あ……そ、そうそう、マキちゃん。俺、明後日が誕生日なんだ!」

 なんて、話をそらすレイ。まったくもって、嘘が下手なヤツだ。

 まぁいい。このことは後でゆっくり聞こう。

「あ、そうなのー?おめでとー!じゃあ、月曜日に何かあげちゃうよ!」

「あはは、ありがとー!」

「はー、プレゼント目当てかよ」

「いいじゃんか。年に一度の特権だよ?」

「じゃあ私、レイくんとちょうど一週間違いなんだね。私、二十八日!」

「おー!じゃあ俺もお返しに何かあげるからね!」

「レイ、お返しと言えば三倍返しだな。男なら」

「マジかー!……マキちゃん、あんま高いものくれなくていいからね」

「んー、じゃあ、千円ぐらい遣っちゃおうかな?」

「ぐっは、三千円は痛い!百円とかでいいって!」

 三人組の話題が過ぎ去ってからは、そんな他愛ない話で談笑して、珍しく昼休みを楽しく過ごした。


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