第4部
おもちゃの拳銃を持った、子供が、廊下を駆け抜ける。
ぶつかりそうになり、すれ違いザマに、両手を挙げるマクレーン。
食事会を目前にして、服装を汚されたくなかったのだ。
身なりは、こザッぱりしたジャケットに、濃紺のスラックスと、至ってカジュアルだ。
「マクレーン様、どうぞ、奥のVIPルームへ。・・・ご案内いたします。」
豪華な内装に、「サプライズだね。」と、目を丸くするマクレーン。
「サプライズは、これからですよ・・・。」
コンシェルジェの意味ありげな、一言に、視線を泳がせるマクレーン。
コンシェルジェが、大きな二枚扉を開く。
ナカトミ一族と、経営陣が、30人ぐらいだろうか・・・。
待ちかねていたように、それぞれが、立ち上がる。そして、輪を描くように並び始める。
アメリカでは、見かけない光景だと思った。
「私の家族を紹介しましょう。」一人ひとり、紹介し始める、ヒロコ。
握手だけでなく、日本式に、お辞儀するマクレーン。
まったくと言っていいほど、聞いたことの無い日本人の名前を聞かされ、
「ヨロシクオネガイシマス。ワタシハ、
ジョン・マクレーンです。」と、愛想よく応える。
「オー、日本語、お上手ですね。」と、言われたようだが、
もとより、全く日本語を理解できなかった。
この中で、英語で、会話できたのは、何人かの役員と、ヒロコと、
ディブ・スペクターと、取締役になったという元妻のホリー・マクレーンであった。