第2部
東京・羽田空港 快晴 午後6時15分
ユナイテッドは、若干の遅れが見られたものの無事到着した。
「Mr.John McLean」ネームカードを持った、スーツ姿の若い女性。
年の瀬ともなれば、上着の衿を立てている乗客が、多い。
入国ゲートを通った旅客達は、視線を拡散し、自分の進行方向を探っている。
行く先を確認した旅客は、それぞれの方向を指差し、歩みを急ぐ。
そこに、雑踏の中から、にやけたオヤジが、向かってくる。
「新手のナンパかい?お嬢さん。」
「ミスター、マクレーン?」
「そうだよ。Miss?・・・。」
「ウェルカム、トーキョー。わたくし、ヒロコ・ナカトミです。」
「ミス・ヒロコ。夕日に染まるフジマウンテンは、君のようにセクシーだね!感動したよ。」
「ウフ。リムジンを用意してあります。こちらへどうぞ。日本は、初めてですか?」
「ああ、NY市警を引退するまで、そんな時間も金も無かったからね。」
「ロスでは、祖父が、たいへんお世話になりました。」
「あぁ、あの時は、MAJIで、死ぬかと思ったよ。」
「MAJIですか?フフ。」
「少しだけ、日本語を知ってるよ。」
「MAJIは、若い子が、よく使いますよ。私たちの、招待を受けてくださって、マジ感謝しております。」
「そうだね。ありがとう。平和な日本を楽しむつもりだよ。」
「日本のすばらしいバケイションを、どうぞ、観光してください。私が、案内いたしますので。」