秀一郎の真実 2
夏海は、秀一郎が実は龍太郎の血を分けた実の息子だと聞かされて衝撃を受けた。夏海は、密かに梁原と志穂との関係を疑っていたのだ。
「じゃぁ、どうして奥様はそのことを龍太郎に……ご主人におっしゃらなかったんですか。実は私、息子さんが生まれたすぐ後に、一度だけご主人とお会いして……」
自分の子供ではないと龍太郎自身の口から直接聞いた。そう言おうとした夏海を、志穂は少し寂しげに頭を振って制した。
「もちろん何度も言いました。でも、結城はそれが私の方便だと思っていたようです。と言うより、自分の子供だと認めたくはなかったのだと思います、きっと。それに、奥様はお止めくださいませんか。私は倉本さんより5歳も年下ですし、そうでなくてもあなたにそう言っていただくのはおこがましいですわ」
おこがましいなどとどうして志穂はそんなに私を気遣うのだろう。愛のあるフリをして十七年間夫と連れ添っている私などより、ずっと龍太郎に相応しいではないか。
「結婚を偽装してまで欲しかったお子さんなんでしょ? それは奥、あ、志穂さんの思い過ごしです。認めたくないなんてそんなことあるはずないじゃないですか」
志穂の言葉に夏海は半ば叫びながらそう言うと、志穂は
「ありがとう」
と、囁くように言った。
「倉本さんは本当にお優しいんですね。いいえ、思いすごしなんかじゃありません。結城が欲しかったのは子供ではなくて、一族の方々に顔向けするための跡取りですから。それに、私のしたことは結果的に結城の命を随分縮めてしまいましたわ。」
「あれは事故ですよね! ニュースではかなりお酒を召されていたと報道されていたから……」
夏海の言葉を聞いて、志穂は夏海に軽く会釈をして立ち上がり、
「ええ、表向きは。あの日結城がかなり飲んでいたことも事実ですけれど……これをご覧いただけますか。これが今日、私が倉本さんをお呼び立てした本当の理由です」
と言うと、リビングのサイドボードから傷だらけのフォトスタンドと、小さな箱を取り出すと夏海の前に置いた。




