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はじめまして、顔も知らない旦那さま「顔も知らない旦那さま改定版」  作者: 井波裕子


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エピソード9

「私の結婚について。

でしょうか?」

私の言葉に注目が集まる中、ナーディア様が大きく頷く。

「は、はい その事です」



「リディアーヌ様、まさか噂は本当でしたの?」


今度は私の左隣のグレイス様が話に入ってきました。


「そうですね、まだ正式には国王陛下にご挨拶をしていませんが、ご報告だけは父の方からしていると思います」


ニッコリと笑顔で答える。



「それはお相手の方がこの国にいらっしゃらないから?」


「なんでも、他国に武者修行に出ている方とか…」


「あら、私は東の大陸の戦争にまきこまれて帰って来れないと聞いたわ」


「あら?そんな方とどうやって結婚が出来るの?」


「私は、相手は王家の隠密で各地を転々とされていると聞きましたわよ」




は?は?はい?

ちょっと待ってください。

誰の事を言っているのかしら?

え?

テオバルド様の話ですよね?


ひとつも正しい話がないのね。

恐るべし噂話。


「どれが正解?」

「「何が本当ですの?」」


皆一斉に私を見て言います。

このテーブルには質の悪い噂好きの令嬢はいないけれど、それでもこんなに皆さんが食いついて来るとは…


「どれも違います」

私はため息と共に訂正する。


「お相手はロエベ子爵令息のテオバルド様です。

皆さんの言われる通り今この国を不在にされていますので、国王陛下と王妃様にはまだ二人揃ってご挨拶ができておりませんの。

御披露目パーティーもまだお預けですわ」



「まあ、あのロエベ商会を持つロエベ子爵家のご子息でしたの」


「失礼ですが、私はロエベ子爵令息を存じませんわ。

どんな方ですの?」


「私も… 社交の場でお見かけした記憶がないですわ。

リディアーヌ様より歳上の方なら社交界デビューはされていますわよね?」



テオバルド様の事は私も知らなかったけど、私だけではなかったのね。


私は何と答えようか考えていると


「誰も知らない子爵令息なんて、本当に存在する方なのかしら?」


私の後ろから声が聞こえてきました。


声だけでも、誰だかわかる。

今日は別のテーブルでホッとしていたのに、わざわざ席を立ってまで絡みにくるなんて。


皆私の後ろに立っている人物を注目しています。


「イライザ…」


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