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はじめまして、顔も知らない旦那さま「顔も知らない旦那さま改定版」  作者: 井波裕子


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エピソード2

彼の名はアラリコ・ロエベ。

この国の1、2を争う大きな商会の会長だ。


もともとはしがない男爵家の次男坊だった彼は1代でロエベ商会を国でも有数な大商会にした程の人だ。

その偉業を称え男爵家が子爵へと位を上げる事もできた程だ。


そんな凄いやり手の商人…もとい子爵様がなぜうちに来たのかしら?


子爵はお父様と長い間話をしていきました。


ロエベ子爵が帰った後、侍従長がお父様が私を呼んでいると言いにきた。


「ロエベ子爵様はなんのご用できたのかしら?

お父様から何か聞いている?」

私はお父様の書斎へ向かいながら、隣にいる侍従長に聞いてみた。

「いえ、何も聞いておりません」

お父様の近くで何でも見聞きしている筈の侍従長も二人の話し合いの場では席を外していたようだった。


書斎に行くと難しい顔をしたお父様が座って待っていた。

このところ領地の事で苦労されているから、難しい顔など珍しい事ではないのだけど…

なんだか、少し様子が違って見える。


「お父様ロエベ子爵様は何の用でしたの?」


私の顔を見たお父様は顔に困ったような微笑みを宿した。


「ロエベ氏は事業拡大の為に協力をしてほしいと言ってきたんだよ

その代わりうちの伯爵領の為に無期限、無利子で融資をしてくださると。

しかも物資などもロエベ商会の方で融通してくださるそうだ」


「まあ、いいお話ですね、

大量の物資を確保するのも大変だとお父様言ってらしたものね。

でも、なぜうちにそこまで有利になる条件なんですか?」


「うん…この融資の条件は他にあるんだよ…」


「?」何か他にも条件の提示が…


「事業の協力と言うのがロエベ商会が今以上に新たな高位貴族との繋がりを作っていきたいから、私に後ろ楯をお願いしたいと言ってきたんだよ」


??

確かにうちは伯爵家の中でも古い家系だし、由緒ある家柄だけど…

高位貴族との繋がりを求めるなら、うちよりもっと上の家格の家の協力を得た方がいいわよね?


私はそれをお父様に問うと、言い難そうに。

「ロエベ氏の後ろ楯と言うのは婚姻による家同士の繋がりを強くする事なんだよ」


「それは子爵家の子息女と、うちの兄妹誰かとと言うことですか?」

子爵家に令嬢がいれば、お兄様へのお話だけど…まさか


「お前への結婚話だよ」


「… 私ですか?」


まあ、私も数年前に社交界デビューはしていますから、いつそう言った話がきてもおかしくはないのですが…


逆に今まで社交に力を入れないで、全然本気で相手を探してなかったですし、両親に怒られても不思議じゃないところなのです。


でもお兄様もまだだしいいかなぁ~とのんびりしてしまっていたのですから。


貴族の婚約、結婚は家の為です、それは重々分かっています。

なので否はないのですけど…


出来れば尊敬や敬愛できる方であってほしい。



「あの、お相手はロエベ子爵家のご子息ですよね?

私全然知らないのですが…」


いくら社交を怠けている私でも、独身で婚約者が決まっていない年の近い令息達の顔位はなんとなく覚えているはずです。


「ああ、それが少し事情があって社交界には顔を出していないらしい」


「そうですか」


じゃあ少ない私の貴族年鑑的知識の中にお顔がなくても仕方ないと言うことですね。


「それでだ、書類上の婚姻をお前とご子息のテオバルド殿との間で結んでほしいと言われたのだ」


「書類上?」

結婚の話にも驚いたが、普通の結婚でもないと言うことですね。





お読み頂きありがとうございます。

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