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第53話 新たな道


 ギーゼラとの婚約についてだが、俺が思っていた以上にあっさりと正式に決まった。

 次男だからということもあるのか、俺に関しては放任主義であり割となんでも許してくれる。


 まさか第二夫人を作るという話すらもあっさりと了承されるとは思ったいなかったが、色々と詰められるよりはマシだろう。

 ギーゼラの両親の方も何の問題がなく、何なら泣いて感謝されたぐらい。


 オールカルソン家は有力貴族だと思ってはいたが、俺が思っている以上に権力を持っているようだ。

 とにかく想像の百倍くらいあっさりと婚約が決まり、ギーゼラは家出をすることなく自由に動けるようになった。


 貴族学校の方も問題なく、暗殺者が紛れ込んでいたという理由で俺達は退学。

 俺達以外にも退学するものが多く、ここも特に疑問に持たれることなく退学することができ、アリスことローゼルも俺達の退学に合わせて学校を辞めた。


 俺のいない貴族学校に通う意味がないという理由はもちろんのこと、そもそも何か急用ができたとのことで、ローゼルはミスリエラ教国に戻るらしい。

 元々こんなに長い期間滞在していたこと自体がおかしいのだが、ローゼルの付き人もちょくちょく見に来てはいたし、ドラグヴィア帝国に滞在していたのは許可を取っての行動だったっぽい。


「ローゼル、なんだかんだ世話になった。お陰で回復魔法を極めることができたよ。ありがとう」

「いやいや、極めたなんて全然まだまだだから! エリアスにはもっと教えることがあったんだけどね。何かあった時はミスリエラ教国に来てよね。その時はまた指導してあげるから」

「ああ、機会があったら寄らせてもらう。もうドラグヴィア帝国には来ないのか?」

「んー、どうだろう。かなり大きな問題みたいだし、他にも色々とやるべきことも放っぽり出して来ているから、しばらくは来れないかも」

「そうなのか。ローゼルこそ、いつでも俺の家に来ていいからな」

「ふふ、それは嬉しいわね。どこに行っても崇高な人って感じで扱われるから、ここでの生活は本当に良かったわ」

「そう思ってくれていたのなら良かった」


 俺はローゼルと握手を交わす。

 最初は何をしでかすのかと警戒していたが、変ではあったけど良い人だったな。


「コルネリア。エリアスへの指導を引き続きよろしくね」

「はい。ローゼル様に代わって、私に指導できることはさせて頂きます」

「ええ。分かっていると思うけど、エリアスは史上最高の回復術師になる素質を持っているから」

「分かっています。何せ、私がローゼル様にそうお伝えしたのですから」

「ふふっ、確かにそうだったわね。……それじゃもう行くわ。またね」


 そう言うとローゼルは門から敷地内を後にし、豪華絢爛な馬車に乗ってミスリエラ教国へと帰って行った。

 ミスリエラ教国にある遺跡には、超古代兵器であるミリオンゴーレムがいるし、一度は行ってみたい国。


 冒険者となるからには色々な国に行きたいと思っているし、ローゼルに会うって意味でもミスリエラ教国には行く。

 俺はそんなことを考えながら、ローゼルが乗って行った馬車を見送った。




※     ※     ※     ※




 ローゼルを見送った二日後。

 俺達もいよいよ動き出すことになった。


 まずはグレンダールの街の冒険者ギルドで、冒険者として登録を行う。

 そこからは俺の家を拠点にしながら、依頼をこなして冒険者ランクをあげていく予定。


「ようやく冒険者になるのですね。色々な未来は思い描いていたつもりでしたが、冒険者になることは流石に考えておりませんでした」

「まぁ正直、貴族が冒険者になる必要がないもんな。金のない人間が夢を掴むためになる職業だし」

「……申し訳ない。私の夢に二人を巻き込んでしまった形になった」

「そんなことありませんよ。腕を試すにはもってこいの職業ですし、私はこれまでにないくらいワクワクしております」

「俺も同じだ。あの家にずっと籠る予定はなかったし、誘ってくれたのは良い切っ掛けになったよ。タイミングもバッチリだったと思うしな」


 あのまま貴族学校に通い続けていても、時間を無駄にしていた。

 そう考えると、驚きはしたもののギーゼラの提案はありがたかった。


「そう言ってくれて良かった。お世辞だとしても心が軽くなる」

「お世辞じゃないから安心してくれ。それでだが……冒険者としての目標みたいなものはあるのか?」

「名を残したいってことぐらいしか考えていないな。とにかく有名になって、英雄として語り継がれたい」


 凄まじくアバウトな内容だな。

 英雄として有名になるということは、各地にいる有名な魔物を倒していくって感じがいいのだろうか。


 ミスリエラ教国にいるミリオンゴーレムもそうだし、ここドラグヴィア帝国にはドラゴンが住まう谷がある。

 そこにいる宝龍が、ドラグヴィア帝国では有名な魔物。


「なら、俺達のひとまずの目標は宝龍の討伐か?」

「宝竜がひとまずの目標。エリアス……大きく出たな」

「世界に名を残す英雄となるなら――宝龍は通過点だろ」

「ふふっ、いいですね! 夢は大きくいきましょう。それから力試しとして、神龍祭に出るというのはいかがでしょうか? 名前も売れますし、一石二鳥かと」


 神龍祭……!

 聞き馴染みのある単語に、思わず派手に反応しそうになったが堪えた。


 エリアスに転生してから、初めて聞き覚えのあるイベントにテンションが上がる。

 神龍祭とは、四年に一度ドラグヴィア帝国の帝都にて開かれる武闘会。


 武闘会と銘打たれているが、魔法や飛び道具もありのなんでもありの大会。

 帝国一の最強を決めるというのがコンセプトであり、四年に一度開催される。


 『インドラファンタジー』では第百回大会というメモリアルであり、優勝商品には紅蓮の天槍とオリハルコン。

 更に白金貨二十枚が貰える――メリットの大きすぎるイベントだった。


 ただ報酬が豪華な分難易度が非常に高く、初見では絶対に攻略できず、対策しても優勝確率は一割程度というセーブ&ロードが必須の大会。

 『インドラファンタジー』を愛する者としては、ワクワクせざるを得ない。


「神龍祭に出場するというのは良いアイデアだな! 二ヶ月後に開催されるし、それに合わせて帝都に行くのはありだと思うが、エリアスはどう思う?」

「俺もいいと思うぞ! 神龍祭は俺も気になっていた!」

「珍しくテンションが高いな。ふふ、エリアスも乗り気なら決まりだろう。当分は冒険者ギルドで依頼をこなし、帝都への旅費を貯めつつランクを上げよう。そして二ヶ月後の神龍祭に出場する」

「神龍祭の結果次第で、エリアス様が仰っていた魔物を倒すかどうかの判断をしましょう」

「そうだな。人間しか出場しない神龍祭で優勝できなければ、本物のドラゴンを倒すことなんて不可能だ」


 これから先の予定が決まった。

 今日からは神龍祭を見据えて鍛練を行いながら、依頼をこなしてランクを上げていく。


 そして帝都に行ったら、第何回の神龍祭なのかを確認する。

 もしメモリアルの第百回大会ならば、『インドラファンタジー』の主人公がいてもおかしくない。

 主人公に会えることも楽しみにしつつ、冒険者ギルドに着いた俺達は、冒険者登録をするために中へと入ったのだった。


ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!!

『ブックマーク』と、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです<(_ _)>ペコ

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