4話 有名な7人の美少女
中学校入学初日、小学からの親友、春馬恋次、泡瀬幸兎とクラスが別だと分かって、お先真っ暗になった。
幸先不安な新しい環境と詰み体質の相性は、悪い意味で相性抜群。
教室で波風の立たない為、自ら孤立の道を選んだ僕に対し、話し掛けてくれた女の子がいた。
「初めまして積木洋君。乙夜街道アリアだ。アリアと呼んでくれ」
同じ歳とは思えない大人びた佇まいの、赤髪ストレートショートの美少女。
彼女は赤ちゃんデビューから今に至るまで引っ張りだこな、絶賛人気活躍中の女優だ。
「おいアリア! オレを混ぜないなんて、ズリぃだろうが!」
「あぁ、すまない。積木君、彼女は」
「木林森イヴ! 次からはオレにも一声掛けろよな! 積木!」
勝ち気で大きな声の、緑髪をヘアバンドで纏めた美少女。
あらゆる運動競技に精通し、ジュニア総合格闘技大会では優勝を飾った子だ。
「なになにぃ? アリアちゃん、イヴちゃん。つみきくんと楽しいお話するのぉ?」
「チョコでも食べたのか? 口横に付いてるぞ」
「拭いてやっから動くなよ!」
「えへへぇ、ありがとぉイヴちゃん」
「紹介しよう。彼女はくららだ」
「瑪瑙くららだよぉ。つみきくんもお菓子食べるぅ?」
物腰柔らかな雰囲気のフワフワ青髪の美少女。
昨年、人気月刊漫画誌で異例の小学生デビューを果たし、人気グルメ漫画連載してる、現役中学生漫画家だ。
「どうせ今日は午前中で終わんだし、ウチらと遊ぼうや」
「勝手に決めるなって! まぁ、別にいいけどさ!」
「久し振りに体動かしたぃ」
「積木君、彼女はあびるだ」
「八百万神あびるや、よろしく」
気怠げに常にスマホをイジる、藍色ボブの美少女。
同世代で爆発的人気を誇り、総SNSフォロワー数300万人超えのインフルエンサーだ。
「せっかく遊ぶならさー♪ 梨紅と大人の遊びしちゃおうか♪」
「ひゃ!?」
「わぁー大胆だねぇ」
「ええええエッチなのは、おおおお大人になってからだ!」
「今日もイブちんはピュアっピュアやな」
「彼女の名は梨紅だ」
「ご紹介されちゃいましたー♪ 灘梨紅でーす♪」
同学年で頭一つ飛び抜けた発育抜群ボディを、僕の後頭部に押し当ててきた、橙色セミロングの美少女。
人気沸騰中のシークレットスターに並ぶ、人気アイドルユニット・ハニークレープの1人だ。
「積木洋さん。これ、貴方の学生証ですよね」
「え? あ!」
「ワタシが持って来るまで気付けないなんて、貴方はイケない子です」
「誰だって落としもんの1つや2つすんだろ! でも次から気を付けろよな!」
「拾って貰えて良かったねぇ」
「もし困った時は遠慮せず頼ってや」
「梨紅お姉さんも手伝っちゃうぞぉ♪」
「彼女はライラだ」
「満欠月ライラです」
真面目さと眼鏡が似合う、黄色ストレートロングの美少女。
小学全国模試で1位の連覇記録を持ち、新入生代表挨拶にも抜擢された才女だ。
「……遊ぶんならゲームがいい……」
「わたしと同じインドア派だもんねぇ」
「遊ぶなら徹底的にだ! 無理しない程度にな!」
「まぁ、勉学の息抜きがてらに付き合いますよ」
「最先端にアクティビティー施設みっけたし、そこ行こや」
「その後はショッピングね♪」
「彼女の名前は越子だ」
「夢現……越子……ねぇ、アンタってゲームやる……?」
「に、ニンニン堂とかサバブラを……」
「……ふーん……サバブラ、一緒にやろ」
制服下にパーカーを着る、ジト目な紫色の巻髪美少女。
顔出しゲーム配信者として登録者100万人を超え、最近ジュニアeスポーツ大会で優勝した子だ。
アリアさんに声を掛けられてから、ものの数分で、七人の美少女達に席を取り囲まれた。
「み、皆はお友達なんですか?」
「私達の両親が親友同士でな。彼女らは幼馴染であり親友だ」
「生まれる前からの仲って事だよぉ」
「つ・ま・り・皆の身体の隅々まで知ってるって訳♪」
「もしもっと知りたいのであれば、貴方もそれ相応の対価を払うべきです」
「とりま、ウチらと連絡先交換しとこや」
「おとおと男の子と初めて連絡先交換すんだから、やややや優しくしてくれよ!」
「早くスマホ出して……ほら、早く」
入学早々、有名な美少女7人の連絡先が新たに増え、日に日に詰み体質に拍車が掛かってると、身に染みてた。
「予鈴が鳴ったな。皆、そろそろ自分の席に戻ろうか。まぁ、私は隣の席だがね」
隣席のアリアさんは時間の許す限り、矢継ぎ早に話し掛けてくれ、1週間経つ頃にはアリアさんの存在が、僕に中に馴染んでいた。




