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積木君は詰んでいる3  作者: とある農村の村人
8章 闘技の女帝と東海高校四大美女
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40話 好きな人の為に

 夕食後、洗い物やらを済ませ、イヴさんとVRAの話や、七人女神との関係、そして略奪戦を乗り越えないといけない事を語った。


「成程です! 泥棒猫ちゃん達が沢山いるということですね!」

「すごく簡単に言えばね」

「にしても、既に2人の防衛に成功した洋ちんと愛実ちんは、素直に凄いよん」

「周りの皆がいてくれたからだよ」


 七人女神一人一人が数人分、数十人分の秀でた才能や能力があるんだ。

 だからこそ、周りの皆が心強い味方なんだ。


「問題は乙夜街道アリアだ。全てを手にしてる彼女は、誰がどう見ても非の打ち所がない」

「でもでも、略奪戦じゃないと、よー君が奪えないなんて変だよね。私なら正々堂々と、こんな風に攻めちゃうけどね♪ ムチュー♪」

「ちょ!? ふーちゃん!?」

「「「甘えん坊アウト!」」」


 唇を尖らせてアタックしてきたふーちゃんを、3人が息ピッタリな連携で阻止してくれた。

 そのまま余計な動きをさせまいと、拘束されたふーちゃんを横目に、しゅーちゃんが口を開いた。


「洋さん。今回の木林森イブさんとの略奪戦なんだけど、私も同行させてくれないか」

「あー! 抜け駆けズルいよ! しゅーちゃん!」

「秋子ちんってほとんどゲームしないよねん?」

「見学席から応援じゃダメなんですか?」

「ゲームだけに焦点を当てたら、桜の言う通り応援一択だ。でも、今回はVRAを使った何かだ。運動神経ならこの場にいる誰よりも優れてる」


 しゅーちゃんの両親が大手ジム経営と、スポーツ用品店の社長さんのなのもあって、休日は義刃姉妹と一緒にインストラクターとしても手伝ってるんだ。


 それに一つ一つ努力を積み重ねて、東海高校でトップの成績を誇る努力家なしゅーちゃんだ。

 今までゲームに触れて来てなくても、僕らが教えれば順応出来る筈だ。


「ゲームは土曜日までに出来る限りの事をする。それに、好きな人の為に動きたいんだ。それじゃあダメか?」


 腹を決めたしゅーちゃんの決心は、僕を納得させるには充分だった。


「分かったよ、しゅーちゃん。そうと決まれば、色んなジャンルゲームを把握しておかないとだね」

「洋さん……」

「むぅ……今回はしゅーちゃんに譲ってあげるけど、次は私だからね!」

「何を言ってるよん。次はワタシだよん」

「私はいつでもいいですよ」

「ふふふ、仲良いのはいいけど夜更かしはダメよ」


 極度のゲーム酔いな姉さんが、リビングテーブルに移動してると、僕のスマホから着信音が鳴り響いた。

 画面の名前は話題に上がってる、イヴさんだった。


「皆。イブさんから電話だけど、大丈夫?」


 コクリと頷いてくれた皆が耳を傾け、電話を繋いだ。


「もしも」

《洋! オレだ!》


「い、イブさん。声が近いよ」

《すまんすまん! ナハハハハ! ビデオ通話に切り替えるぜ!》

「うん」


 直前まで身体を動かしてただろう肌が艶めいたスポーツウェア姿のイヴさん。

 引き締まりながらも女性らしらを良い所取りしてる、抜群のプロポーションは、軽く見惚れてしまう程だ。


《お? どこぞの馬の骨な美少女が4人いるじゃねぇか! オレって女がいるのに、そいつら誰なんだよ!》

「い、今から説明するから話をわぁ!?」


 説明不要と言った具合に、強引に画面前へと移動して来たしゅーちゃん。

 ちょこんと僕の前に座り、姿勢を正し言葉を放った。


「木林森イブさん。自己紹介が遅れましたが、私は市瀬秋子と言います。洋さんの()()()で、花嫁候補の1人です」

《は、はぁああああああ!? お、幼馴染!? 花嫁候補?! 意味分からねぇよ!?》


 強烈で容赦のない自己紹介で、頭をわしゃわしゃ掻き乱すほど、猛烈に僕としゅーちゃん達の関係性を否定するイヴさん。

 そんな姿にピンと閃いたふーちゃんも、画面前に身を乗り出して矢継ぎ早に口を開いた。


「やっほーイブちゃーん♪ 兼森吹雪ちゃんでーす♪ よー君の幼馴染で、花嫁候補の1人だよー♪ ちなみに一つ上だから年上のお姉さんでーす♪」

《はぁ!?》


 ふーちゃんの追い打ちで、青筋浮かべて歯をギリギリ鳴らすイブさんは、獲物を今すぐにでも食らいつきそうな猛獣そのものだ。

 普通なら冷静にさせる場面でも、ライバルと認めた幼馴染は止まらず、今度はひーちゃんが画面前に身を乗り出した。


「北坂向日葵だよん。洋ちんの幼馴染で花嫁候補の1人だけろ。そして前の2人とワタシともう1人は、東海高校四大美女でもあるよん」

《なぁ!?》


 スマホが今にも壊れそうな程、近距離で画面を握り締めてるイブさんは、もう冷静さを失ってる。

 些細な発言でも怒り爆発するんじゃないか内心ヒヤヒヤなまま、オオトリのさーちゃんがビシッとやる気満々で画面前に座り、僕は静かに息を呑んだ。


「榮倉桜です! 洋ちゃんと幼馴染で稲荷漬けの1人です!えっと、あっと……ハッ! 沢山食べられます!」

《お、おぅ》


「あ、あれ!? 今までの反応と違いませんか?!」


 ギャフンと言わせたかったのに、天然性格で思い通り行かなかったさーちゃんは、軽く涙目だった。


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