33話 西女の友人達
全員が集まり、千佳さんと真里さんのクラスにやって来た。
「和中洋カフェ……欲張りセットかよ」
「にしても、めっちゃ大盛況だな!」
「お、チャイ服娘、真里パイセンじゃねー?」
タイトな青チャイナ服に、二つお団子ヘアーの真里さんが、楽しそうに接客をしていた。
並ぶこと10分程で、人数分の席に座れ、真里さんが来てくれた。
「来てくれたんだねぇ〜ありがとう〜」
「チャイナ服良きですわー」
「でしょ〜千佳の格好も中々だよ〜」
「ん? 千佳先輩らしい人が、見当たらないけど……」
愛実さんの疑問通り、カフェ内に僕らが知る千佳さんの姿はどこにもなかった。
そんな中、黒髪の爽やかイケメン騎士の人に、記憶の千佳さんの姿とピッタリと重なった。
「もしかして、あの騎士さんですか?」
「ピンポーン〜洋クン、さっすが〜おーい千佳〜」
歩き方や佇まい、容姿や雰囲気すらも、西洋騎士に成り切ってる千佳さんが、可憐な微笑みを見せた。
「皆、今日は来てくれてありがとうね」
「騎士様から千佳先輩の声が出てる! 凄い新鮮!」
「立派な胸がぺったんこっすけどーどーしてんっすか?」
「胸潰しインナーだよ。別人になった気分だね」
「ほーん。したらば、脇腹辺りに解放ギミックがあんだよな。ほれ」
「あ、ちょ」
六華さんの魔の手で、千佳さんの胸元がドンドン膨れ上がり、全て解き放つ様に、胸元のボタンが弾け飛んだ。
豊満な谷間の露出と沈黙に、六華さんはタラタラと汗を流していた。
「……す、すんません」
「い、いいの。な、直してくるね」
愛実さんと菫ちゃんは、下唇を噛み締め、赤鳥君達は両手を合わせ、喜びに満ちてた。
♢♢♢♢
ドリンクとパフェをサービスして貰い、30分程楽しい時間を過ごし次に向かうのは、林間学校で交流深くなった1年生のクラスだ。
久し振りの再会に、緊張と嬉しさが混じる中、とても大きいクマの着ぐるみが、目の前に現れた。
「で、デケェクマのゆるキャラだな、こりゃ」
「義刃さんとどっこいどっこいだな。俺よりでけぇわ」
「確か今年生まれた、西女のマスコットキャラ『クマ定』だったか。デザインも造形も全て愛らしいな」
「あ、クマーが照れてるー」
「今すぐギュッとして貰いたいです!」
「私の方からギュッとする! えいや!」
愛実さんのハグに若干驚くクマ定も、優しく抱きしめ返してた。
微笑ましい光景に、中の人が誰なのか分かり、クマ定の方も思わず声を出してた。
『お久しぶりです! 積木さん!』
「その声、やっぱり蛍さんだったんですね」
西女生徒会役員1年、斑田蛍さん。
引っ込み思案と男性恐怖症の克服に、少しばかり協力した仲だ。
『沢山お話したいんですけど、見回りがあるので、また後で!』
「はい、頑張って下さいね」
『ありがとうございます! 是非楽しんで下さいね!』
ルンルンと軽やかステップで、去って行った蛍さん。
あの姿を見れば、高校生活も順調そうで、なんの心配もなさそうだ。
「見たか大海。あのゆるキャラでも隠し切れん、ダイナミックバディーな揺れを!」
「ふっ……3次元女子の乳揺れには、流石に目を奪われてしまうな……」
「林間学校で拝見した時より、更に実ってましたれふねぇ〜」
「不埒です兄者達!」
「いだだだ?! か、肩が?!」
「て、的確な痛みにギブアップだ!」
力量を知ってる黄坂君にはせず、2人同時に技を決めた菫ちゃん。
女性陣の自業自得だろうという、視線攻撃も合わさり、2人のダメージは大きかった。
♢♢♢♢
1年生クラスで1時間程過ごし、自販機近くの休憩スペースで休んでる時。
ふと背後から肩を叩かれ振り返ると、誰かにギュッと抱き締められた。
「だーれか、わかるよねー?」
「こ、こんなことするの、あ、明日久さんしかいないですって!」
「なぁー!? 洋を離せぇい!?」
西女生徒会2年、黒木馬明日久さん。
会う度に翻弄してくる、着崩し怖い系美人さんだ。
明日久さんの胸埋めを、愛実さんが引き剥がしてくれた。
「洋はもう、私の彼氏なんです! 明日久先輩!」
「それはおめでとうーでも、おっぱい足りないからって、ムキになっちゃったらー育つものも育たないよー?」
「それとこれとは別でしょうが!?」
「め、愛実さん! お、押しつけが強いんだけど?! いだだだ!?」
強力な胸埋めからの解放後、霞さんが明日久さんに話し掛けていた。
「ほんでー? 挨拶しにきたんっすかー?」
「いんやー? もうそろそろ、お昼でしょー? でー宵絵会長が、君達とお昼を食べたいらしいから、迎えに来た訳ー」
「ふほぉー! マジっすか! あの水無月会長とお昼! 是非是非ご一緒させて下さいませ!」
「ふっ……オレが認める3次元女子の1人と食事か……行ってやろう」
「光栄の極みれふね〜」
「美味いもん食えんなら」
「六華はお腹空いてるのか?」
「ほわわわ! 水無月会長様と会えるなんて、お友達に自慢出来ちゃうです!」
「行く機会満々だしー早速行こうかー」
明日久さんを先導に、宵絵さんの元へと向かう僕らだった。




