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積木君は詰んでいる3  作者: とある農村の村人
6章 西女祭招待券
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26話 招待券とゲスト

 コスイベ明けの平日。

 通学車両内で千佳さん達から、何かのチケットを手渡された。


西女祭(にしじょさい)招待券、今週の日曜日だから来てね」

「これが……宵絵(よいえ)さんにも聞きました。今時期になると招待券争奪戦が勃発する、危険物だって」


 西女(にしじょ)生徒会長3年、水無月(みなづき)宵絵(よいえ)さんもまた、千佳さんや芽白さんと同じ、最近幼馴染だと分かり、ずっと僕の事を想ってくれてる1人だ。

 そんな宵絵さんは毎朝恒例のモーニングコールで、招待券について話してくれたんだ。


 招待券は入場券となり、男は5枚、女性は1枚ないと一切の入場を禁じられてる。

 人気故に売買された過去があり、今では規制が厳しく、徹底的に取り締まってるそうだ。


「だね〜ふつー女子の花園に入れないもん〜禁域禁域〜」

「洋くんは入ったけどね」

「マジかーむっつりだなー洋はー」

「全部呉橋さんの原因ですから」

「そん時に、夏洋初お披露目だっけか? お、これこれ! 見てみ! カスミン!」

「初々しいこったー他のも見せろー」

「み、見せないでいいから愛実さん!」

「そう言われると意地悪したくなっちゃうじゃん♪」

「私のも見せたあげるね」

「千佳さんも!?」


 夏洋の初々しい黒歴史画像に、キャッキャ嬉しそうに共有する女性陣を、ただただ見届けるしかなかった。


 ♢♢♢♢


 教室に入って早々、赤鳥君に肩を組まれ耳打ちされた。


「西女祭招待券持ってるなら、1枚下さい……何でもしますんで……いでぇ?!」

「洋に群がんな! クソドリ!」

「何すんだ瓦子テメェ?! 5枚集める苦労も知らんクセに!」

「知らん!」

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。実はもう5枚手に入る予定なんだ」

「それを先に言えよ!」


 もう5枚は宵絵さんが、わざわざ郵送してくれるんだ。

 それを聞いた赤鳥君は、納得してくれた。


「1枚でいいからよ、届いたらくれよな。勿論タダじゃねぇからさ」

「うん」

「いいのか洋? コイツが西女に来たら、最悪お縄になるかもだぞ?」

「ならんし、何もしねぇよ!」

「どうだか!」


 冗談抜きに些細な行動一つで、一発アウトだってあり得るんだ。

 赤鳥君とは一緒に行動した方が、いいのかもしれない。


 自分達の席に着くと、峰子さんにもさっきの話が聞こえてたみたいだった。


「洋達も西女祭に行くんだな」

「峰子師匠はランパッパがいるもんな!」

「ランパッパって誰だよー」

「え? 蘭華(らんか)だけど?」


 峰子さんの双子の妹、義刃(ぎば)蘭華(らんか)さんは、西女で峰子さんを布教してる、峰子さん溺愛者だ。


「六っちゃんも行くだろ?」

「峰子からさっき貰ったからな。で、残り3枚どうすんだ?」

「既に渡したぞ。大地に太、大海に1枚ずつな」


 緑岡君は神流崎さんがいるから、丁度良かったのかもしれない。


「したら、西女近くで待ち合わせして、皆で一緒に回ろうな!」

「いいのか? 2人で回ってもいいんだぞ?」

「ぶっちゃけ洋の周りを固めとかんと、西女生徒にあれやこれやされそうでさ、その防衛策ってとこ! ダメ……か?」

「肉壁になんだろ? まぁ、面白そうでいいんじゃね?」

「洋は人気者だからな。変な虫に寄り付かれるのは頂けないな」

「良かったなーてか、愛実とずっと恋人繋ぎしとけば、良くないかー?」

「してても寄ってくるのがいるんだわ。明日久(あすく)先輩とかの翻弄系女子は特にな」

「「「あぁー」」」


 西女生徒会役員の1人、2年黒木馬(くろきば)明日久(あすく)さんには会う度に翻弄され、詰み体質上でも手強い相手だ。


「愛実さんの言う通り、皆に迷惑掛けるかもですけど、それでも回ってくれますか?」

「あぁ、一緒に楽しもうじゃないか」

「はいはい、迷惑上等だ。だからいちいち、かしこまんな」

「まぁーそん時はそん時で、楽しむ事優先だなー」

「皆ありがとな!」

「ありがとうございます!」


 きっと何かしら起きると覚悟しつつ、当日まで待ち遠しくもある僕らだった。


 ♢♢♢♢


 放課後、最寄り駅のホームを出ると、不意に手を握られ、声を掛けられた。


「おっと。約束通り届けに来たぞ、洋君」

「よ、宵絵さん? 郵送じゃ?」

「宵絵配達員だ。ふふふ、少し直接話したいことがあってな」


 近場のベンチに腰掛け、ピッタリ触れ合う密着感で、宵絵さんは口を開いた。


「今朝も話した招待券争奪戦なんだが、今年は荒れに荒れてる」

「も、もうですか?」

「あぁ。毎年、旬な著名人をゲストとして招いてるんだが、今年はゲスト自ら出演依頼して来たんだ」

「つまり争奪戦も、そのゲストが要因だと?」

「その通りだ。『グラビア界の超新星』灘梨紅、君がよく知る人物だ」


 七人女神の2人目、灘梨紅さんが早くも仕掛けて来た。

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