表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積木君は詰んでいる3  作者: とある農村の村人
5章 コスプレイベント
24/55

23話美神ナナ・レイ

 接客から早数十分、誰しもが視線を奪われる女性2人が来店し、もるにゃーさんが親し気に対応していた。


「おかえりなさいませ♪ れったや♪ なーにゃん♪」

「たーま。よっしー部長いる?」

「ねぇ、いつまで部長さんって呼ぶの? 卒業して数年経つんだよ? まぷっ!?」

「顔近付けんでも聞こえるわ、アホ」

「よっしーさんなら来てるよ♪」

「お二人とも! こちらですぞ!」

「お疲れっす。おら、行くぞ」

「ぷりゃん!? も、もう! 頬っぺた掴まないでよ!」


 ハーフっぽいクールな小柄な黒髪美少女。

 動きの一つ一つが大人フェロモン爆発する、グラマラスな黒髪美女。

 身長差は優に20cm以上、嫌でも美神ペアと姿が重なってる。


「よーみゃん。あれがナナ・レイだ」

「うぉ?! 急に現れないで下さい! 最上川さん!」

「んな事より、接客ついでに敵情視察してきな」

「お、押さないでってば?!」


 見かけによらず力のある押しに、よっしーさんのテーブルまで強制移動させられた。


「ん? 新顔じゃん」

「美人さんだね! 凄く若そうだけど、学生さんって大丈夫なの?」

「バイト許可があれば大丈夫ですぞ! そして、こちらの素晴らしきニューフェイスこそ、先程お知らせした、よーみゃんさんですぞ!」

「へぇー……ちょっくらスカートん中見せあだっ!?」


 躊躇なくスカートを捲く立てようとされて、本能的に頭目掛けてチョップが出てしまった。


「す、すみません!? つ、つい!」

「よ、よーみゃんちゃん大丈夫?! (れい)が悪いんだからね!」

「んだよ。本物の女装野郎か、確認すんだけだったんだぞ」

「いやはや! いつになっても、お2人の仲が健全でなによりですぞ!」

「な、何なんだこの人達は……」


 まるで3人だけ別世界から来たような、そんな気持ちにさせられていた。


 ♢♢♢♢


柳家(やなぎや)(れい)。日本生まれ日本育ちのクォーター、26ちゃい」

古賀峰(こがみね)奈南(なな)だよ! 怜と同じ歳で親友です!」

「当時大学の同好会で部長を就いておりました、吉田と申します! 28歳ですぞ!」


 間近に接する事で尚分かる、美神ペアの常人ならざるオーラに、身体を緊張させるには充分だった。


「こ、高校1年の積木です。皆さんが今日秋葉っぱらに来たのは、コスイベの為ですか?」

「まぁな。優勝賞品も賞金もウマウマだし、コスイベに出る度コス需要が爆伸びしたり、元ネタが爆売れしたり、オタク経済に多大な影響と貢献をしてるんだとさ」

「もう怜と一緒だとコス尽くしだよ!」

「毎度毎度コスイベ情報仕入れて、前のめりで持ち掛けてくんのはどっちだよ」

「わ、私です……えへへ」


 影響力も認知度も王座に相応しい器だ。

 そんな美神ペアから王座奪還なんて、本当に出来るんだろうか。


「ところで、後ろにいるの誰だ?」

「へ? わっ?! 最上川さん!」

「よーみゃんと同じ高校の1年最上川です。今日は美神ナナ・レイから王座奪還しに来ました。よーみゃんと、もるにゃーさんが」

「堂々とご本人様達の前で言うじゃん」

「残念だけど無理だと思うよ?」


 挑戦者は大人しく指を咥え、王座を見上げ続ければいい。

 オーラだけで屈させる気満々だ。


「分かりませぬぞ! よーみゃん殿の本番コスプレ次第では、王座奪還も無きにしも非ずですぞ!」

「よっしーさんの言う通りだよ♪ れったや♪ なーにゃん♪ 余裕でいられるのも、今の内だよ♪」

「もるにゃー、てめぇ……って、プリン!」

「よっしーさんの注文した、デラックスにゃんだふるプリン・にゃんにゃん呪文詠唱付き・スペシャルエディションバージョンです♪ ご指名の私とよーみゃんちゃんが、愛情込めて呪文詠唱しちゃうぞ♪」

「流石よっしー部長! 最高っす!」

「お安いご用ですぞ!」


 軽く打ち合わせした通り、もるにゃーさんと恋人握りで、振り付けと台詞が始まった。


「ときめきラブリー♪ にゃんだふる♪ ご主人様にアイラブにゃー♪」

「にゃーですぞ!」

「にゃー」


「こ、恋して愛してキュンキュン大好き沢山あげちゃうにゃん!」

「にゃんですぞー!」

「にゃーん」


「にゃんと素敵な今日だけ特別♪ あーんをプレゼント♪」

「お、お口を開けてくれないと、にゃい()ちゃうにゃー」

「準備万端ですぞぉおおお! さぁ! 怜殿のお口へ!」

「あーん」

「もぐもぐにゃんにゃん♪ もっと食べて欲しいにゃん♪」

「あーむ。うまぁー!」


 あーんで全てのプリンを食べさせ、ひと息つく間もなく、同じ注文をしているお客さん数十人にも、同じ光景が繰り広げられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ