17話 通学と新生徒会
お泊まり会から一夜明け、いつもの高校生活が始まった。
数ヶ月前向かいに引っ越して来た、同級生の伊鼠中霞さんと一緒に登校だ。
「おはよう霞さん」
「はよーとりま、付き合えて良かったなーおめー」
「ありがとう。でも、まだ心から喜べないんだ」
「?」
通勤通学車両で愛実さんと合流後、西女に通う一個上のギャル、白石千佳さんと原真里さんとも合流し、土日に起きた事を報告した。
「中学の同級生達が略奪しにね……確かにまだ心からおめでとうは言えないね」
最近幼馴染だと知り、ずっと想ってくてた千佳さんも、真剣に話を聞いてくれてる。
「いくら有名人だとしても、ちょっと勝手すぎるよねぇ〜」
千佳さんと幼馴染の真里さんも、七人女神の略奪に否定的だ。
「そんでも、乗り越える気なんだろー?」
「うん。乗り越えなくちゃいけないんだ」
「きっとさ、3人にも迷惑掛かるから、先に謝っえて?!」
「水臭ぇー巻き込まれ上等ーあーしらの友情パワーで、七人なんちゃを打ち負かそうぜー」
「だね。私からすれば彼女達は、ポッと出のヒヨコだよ。丁重に巣に帰してあげないと」
「って事で〜私達も協力するからね〜」
心強い味方がいるだけで、心に余裕ができる。
3人には感謝してもしきれない。
♢♢♢♢
千佳さん達と別れ、北春高校まで歩いてると、霞さんが何かに気付いてた。
「ん? なぁー校門とこにいんの、会長じゃねぇー?」
「挨拶するなんて、珍し……目が合った」
「めっちゃ乳揺らしてコッチ来てねぇ?!」
爆走して来た彼女こそ、3年の生徒会長呉橋星さん、モテない絶世の美女だ。
「ハロー諸君! グッモーニング! ちょっくら洋君を拝借するぜ! あばよ!」
「ぴゃ!?」
「よ、洋!?」
「速ぇー」
強制的に生徒会室まで連れられ、部屋の中心で椅子に座らされた。
「あ、洋お兄ちゃん! 来たんだね!」
「も、萌乃ちゃん先輩? これは何なの?」
「もうすぐ分かるよ♪」
飛び級才女の3年生徒会会計の晴屋萌乃先輩の言う通り、御髪を直した呉橋会長が目の前に立ち、萌乃ちゃん先輩も並んだ。
「えー本日をもって私、呉橋星と!」
「晴屋萌乃は!」
「「生徒会を引退します!」」
「え」
「ほんで、生徒会と縁深い洋君に、一足先に新たな役員のご紹介! いざ尋常に刮目せよ!」
「みんなー入って来ていいよー!」
萌乃ちゃん先輩の声で、新生徒会役員4名がゾロゾロと入って来た。
「新生徒会長は元書記の暗堂芽白ちゃんになりましたー! イエーイ! ドンドン! パフパフ!」
「改めてよろしくね積木さん」
「か、髪が、ば、バッサリ……」
「心機一転でね。えへへ……」
芽白さんも千佳さんと同じく、最近まで幼馴染だと知らなかった1人だ。
腰丈まであった黒髪がショートに変わってて、生徒会長就任の驚きが薄れてる。
「副会長は師走沙良ちゃんのままだよ!」
「芽白の右腕として頑張るっす! ふんす!」
運動系万能人間の2年師走沙良さんは、変わらずに触れ合いコミュニケーションも激しい。
「そして、新生徒会書記に1-Cの武元千沙ちゃんが、芽白直々にスカウトされました! きゃぴ♪」
「武元です。千沙と呼んで下さい。よろしくです積木」
「よ、よろしくお願いします」
「最初はお堅いけど、馴れたら猫ちゃんみたいになるぜ! おーよしよし♪ ごろごろにゃー♪」
「星さんのごろごろ気持ちいいです。もっとして下さい」
顎下を撫でられ幸せそうな糸目の千沙さん。
漠然とした事前情報だと、成績は学年上位一桁、運動神経抜群、敬語口調、ナイスバディー、そして帰宅部。
制服を綺麗に着こなし、茶髪の三つ編みが清純さを出してる。
「最後に新生徒会会計に、洋お兄ちゃんもご存知の、竹塔瑠衣ちゃんがスカウトされました! いえーい!」
「されちゃった♪ 今後とも生徒会をよろしくね♪ 積木君♪」
「瑠衣さんは意外だったよ」
「小中と生徒会長やってましたから♪ えっへん♪」
同じ1-Bのコミュニケーションマスター瑠衣さんの事だ。
今後の生徒会を盛り上げてくれる筈だ。
「とまぁ、引退と紹介はこんぐらいにして……YOU、今日の放課後空いてるよね?」
「え? きゅ、急になんですか」
「やましい事はこれっぽちもねぇべさ。ほら、これ見んさい」
呉橋会長から受け取った紙には、北春高校・黶城学院生徒会親交会の日程が書かれていた。
そんな黶城学院は七人女神の1人、満欠月ライラさんの通ってる高校の名前だった。