☆16話 夫婦と覚悟
※2024/9/9文末に夢現越子のイラストを追加しました!
※イラストが苦手な方はスルーで!
目が覚めると姉さんのいた場所に、嬉しそうなくららさんが横になってた。
「あ、ようくん、おはよぉ。えへへ、モーニングコールっていいねぇ」
「く、くららさん? ここって僕の部屋だよね? どうなってるの?」
「オレが教えてやるよ。洋達が寝静まった時に、運んできたんだぜ」
狭いシングルベッドで、イヴさんとくららさんに挟まれてる状態を、あびるさん達が見下ろしてきてる。
「しかも、イヴのお姫様抱っこや。今度、ウチにそれやってや、洋クン」
「勝手な言動は許しませんよ。ですよね、洋さん」
「そ、それより愛実さんは?」
「君の布団に包まって、私達を睨みつけてる」
「え? あ!」
壁際で布団包まれ+梨紅さんの胸埋め拘束されてる。
僕に近付けさせないと実力行使したんだ。
「洋君。皆と話し合ったんだが、結論から言うと、私達は君と夫婦になる為、本気で動く事になった」
「でも、皆集まるのは無理……だから、個人個人で動く……」
「うだうだやるつもりはないぜ! 今年中にケリつける!」
「ワタシ達7人を乗り越えた暁には、今度こそ洋さんと愛実さんを認め、心からの祝福を約束します」
「略奪婚ってヤツや。あれ? ちょっと違うか?」
「合ってると思うよ♪ なんだか燃えちゃうなぁ♪」
「ようくんとめぐみちゃんが今拒んでもぉ、わたし達は止まらないからぁ」
逃げられない略奪戦を勝手に決められて、納得は出来ない。
それでも、僕は愛実さんと一緒に乗り越えないと、ダメなんだ。
「……愛実さんと2人っきりで話がしたいから、ちょっと出て欲しいんだ」
「分かった」
素直に聞き入れて、部屋を出てくれた七人女神。
まずは真っ先に愛実さんの布団拘束を解いた。
「大丈夫、愛実さん」
「洋の匂いに包まれてたから平気」
「ホッ……愛実さん。アリアさん達は今後、本気で略奪しに来るつもりだ」
「だろうな。洋の事、私に負けないぐらい本気で愛してるみたいだしな」
「うん。それでも、僕は愛実さんと一緒にいたいんだ」
「えへへ……だったら、乗り切るしか道はないよな!」
七人女神は詰み人生史上、最強の詰み要素だ。
乗り越えた先にこそ、詰みを克服出来るんだ。
「ありがとう愛実さん」
「大事なパートナーだろ?」
重ねる手の平から勇気を沢山貰える。
一つ一つの言葉が背中を押し、支えてくれる。
そんな大事な大切な愛実さんの為、七人女神と立ち向かうんだ。
話が終わったと扉越しに言い、アリアさん達が入室した。
「どうやら覚悟が出来たみたいだな」
「うん」
「いつでも掛かって来い!」
「立派な威勢が虚勢で終わらないといいですね」
「ウチに掛かればチョチョイのチョイや。ま、足掻くだけ足掻いてくれや」
「どんな結末になるか見ものだねぇ。期待を裏切らないでねぇ」
「オレは勝負事で略奪してやるぜ! 余裕の宣戦布告ってヤツだ!」
「誘惑が手っ取り早くていいよ♪ 未来の旦那様を満足させるのも大事でしょ♪」
「性格の相性ならアタシが一番……それに一生養える……ふっふーん」
「君達の覚悟、しかと試させて貰う」
一切の妥協はしない、遠慮もしない、略奪したもん勝ち。
個人個人の本気が垣間見える中、アリアさんが小さくパチンと手を鳴らした。
「さて、洋君。まだ朝まで少し時間がある。私達と一緒に二度寝と洒落込もうじゃないか。えてぃ」
「させねぇから!?」
アリアさんに脳天チョップを食らわせた愛実さんは、僕の手を握り、リビングへとダッシュ。
後を追って来る七人女神と、リビングで僕の取り合いが勃発。
異音を聞き取った姉さんの登場で、場は静まり、それからお泊まり会は水面下で火花を散らすだけで、平和そのものだった。