☆14話 人生ゲーム
※2024/7/6文末に八百万神あびるのイラストを追加しました!
※イラストが苦手な方はスルーで!
就寝前の自由時間、越子さんの持ち寄った人生ゲームをすることになった。
姉さんと空は見学兼銀行係で、人数的に3人3チームに別れ、僕はライラさんと越子さんとチームで、早速始まった。
「9ですね。……おや、弁護士に就職です。資金面は困らないですね。ふふふ、養い甲斐があります」
「ライラのお金で1番大きい家も買お……愛の巣ってやつ」
「そ、空。お給料頂戴」
順調なスタートを切る僕らだけど、ライラさんと越子さんはゲームとリアルをリンクさせて、物凄く期待の眼差しを送って来てる。
「やったー♪ アイドルになっちゃった♪ ゲームでも現実でもアイドル街道まっしぐら♪」
「お、オレがアイドルとか似合わねぇよ!? 想像しただけで体が痒くなっちまう!?」
「デカパイ2人とグループなんて、私だけ絶対浮くヤツじゃん!? ゲームだけでも公平にして欲しいんだけど!?」
愛実さんの思いの丈とは逆に、梨紅さんとイヴさんの胸に挟まれて、追い討ちを掛けてる。
「ほぉ、新米役者か。下積みをコツコツ積み重ねるの大事だな」
「アリアが言うと皮肉やな。ま、ウチも下積みした事無いけどな」
「わたしも初めて描いた漫画が、そのまま連載してるからぁ、下積みは分からないかなぁ」
リアルが最初から順風満帆過ぎて、人生ゲームが見劣りしてるアリアさんチーム。
ゲームは中盤に差し掛かり、それぞれヒートアップしてた。
「ふふふふ、今度は男の子ですね。これで5人目ですが、まだまだ欲しいです。チラチラ」
「5人目もアタシの子供……ライラの子供は最初だけ。だよね、洋」
「誤解を生んじゃうから!?」
お腹を摩るジェスチャーで、ポッと頬を赤らめる2人。
何故か他の皆も、軽く上を見上げて頬を染めてた。
「やったー♪ 女の子生まれたよ♪ 親子アイドルユニット組んじゃおうかな♪」
「コウノトリさんが運んでくれたんだな! ありがとう!」
「つ、突っ込んでいいのか? す、スルーでいいのか!?」
マスに止まる度に振り回される愛実さんは、もう頭がパンクしそうな感じだ。
「戦友の俳優と結婚か……ふむぅ……該当者が一切思い浮かばんな」
「所詮、数や知名度を首からぶら下げる男なんて、下半身を主軸に思考する獣や。いなくて当たり前や」
「いくら善人ぶって近付いても、一目でバレバレだもんねぇ」
「あぁ。それに比べて、洋君ほど理想な異性はいないな」
「「「「「「「同意!」」」」」」」
七人女神の息ぴったりな同意に、愛実さんの声も混じってた。
そして終盤に差し掛かり、アリアさんチームが1位を独走中だ。
「海外旅行で結婚指輪を無くす、一回休み。何ですかこのふざけたマスは。腹の底から怒りが込み上げてきます」
「制作元にクレーム入れるべき……アタシ達に喧嘩売ったこと後悔させる」
「げ、ゲームだから!?」
本気でやりかねない2人の頭を撫でたら、コテンと頭を肩に乗せて落ち着いてくれた。
「新人アイドルのプロデュースに5000万投資♪ いつの日か巣立っちゃうなんて悲しいよぉ♪ うっうっう♪」
「お金が勿体ねぇ! オレが一から鍛え上げてやんよ!」
「でも、ゲームだから5000万払うからな。……滅茶苦茶痛い出費過ぎんだろ」
アイドル街道を進んできた愛実さんチームも、なんだかんだでゲームを楽しんでる。
「埋蔵金を掘り当てる10億獲得。乙夜街道家の総資産と比べれば、かなり見劣りするな」
「ウチの数十件分の経済効果やな。んな現実味ない埋蔵金は、どっかに寄付すりゃいいんや」
「消え物に還元するのいいんじゃなぃ? 美味しい食べ物食べ放題だよぉ?」
夢のある人生ゲームを、余裕で上回る現実のアリアさんチームは、そのまま1位でゴールイン。
「一位のアリアチームには、ちょっとしたご褒美ね。何がいいかしら?」
「では、就寝前に洋君のギュッと1分ハグを」
「なんならウチは、洋クンの歯磨きしたいわ」
「明日のモーニンコールかなぁ?」
「だそうよ、洋」
「あ、う、うん」
ご褒美を今か今かと待ち遠しそうな眼で見つめるアリアさん達を、愛実さん達は羨ましそうに眉を顰めていた。




