☆13話 夕食と布団決め
※2024/6/16文末に木林森イヴのイラストを追加しました!
※イラストが苦手な方はスルーで!
夕飯は大人数に適した豪勢な焼肉だ。
くららさんの差し入れ食材で、高級肉やらデザートの高級アイスもあり、気分はまるでお高いお店の焼肉だ。
「さて、問題は誰がどこに座るかだな」
アリアさんの発言で、七人女神と愛実さんの視線が、一気に突き刺さってきた。
僕としては彼女の愛実さん一択だ。
ただし状況が状況なだけあって、そう簡単にはいかない。
「なんや、誰もなんも言わんのなら、ウチは洋クンの隣がいいわ」
「勝手に話を進めないで下さい、 あびるさん。まずは皆で討論すべきです」
「後出しジャンケンとか、1番ダサいんよ。って事で、洋クン。隣座らせてや」
「おいおいおいおい! 5分交代で譲るんだろうな!?」
「それじゃあ、もう片側は梨紅が頂きまぁす♪」
「えぇー? ようくんにアーンしたかったのにぃ、みんなずるいよぉ」
「正面貰い。洋を見ながら焼肉、飯が進む」
「なら私は洋君の懐に座らせて頂くか」
「「「「「「ズルぃ!」」」」」」
僕を巻き添えに言い合いする七人女神の、柔らかな揉みくちゃに意識を持ってかれそうになる。
愛実さんも割って入ろうと、決死に動く声と手が見えてる。
愛実さんに手を伸ばそうにも、必ず誰かしらの身体に触れてしまう以上、僕からは手出しができない。
「決まらないのなら、こうするしかないわね」
姉さんと空に挟まる形で、座り場所は事なきを得た。
とは言え、愛実さんと1番離れた場所になり、なんともやるせなかった。
「さぁ、どんどん焼いて食べましょう」
「「「「「「いただきます」」」」」」
「ふふ、息ぴったりね」
ホットプレート2台で肉と野菜が焼かれ始め、匂い移り防止で軽装になる女性陣。
梨紅さんに至っては、ど迫力の大人な水着姿で、視線を向けられない。
「まずは野菜からだ。サラダを盛ったから食べて欲しい」
「あ、ありがとうアリアさん」
「飲みもん何がいいんや? お茶? カルピソ?」
「お、お茶で」
「ベストな状態のお肉を確保したので、今すぐ食べて下さい」
「う、うん。ら、ライラさんもちゃんと食べてね」
「白飯がねぇじゃねぇか! 今モリモリによそってきてやるから待ってろ!」
「ふ、普通盛りぐらいでいいからね! イヴさん!」
「ようくん、このタレ美味しいからぁ、食べてみてぇ」
「どれどれ……あ、サッパリしてて、箸休めにいいかも」
「洋、あーん」
「え、越子さん? ちゃんと食べてる?」
「自分のは面倒臭いからいい。今は洋に食べさせたい、あーん」
「洋ちゃん♪ お腹いっぱいになったら、梨紅が添い寝してあげるね♪」
「だ、大丈夫だよ」
常時七人女神のご奉仕を受け、愛実さんの付け入る隙もないまま、焼肉のシメになった。
「冷麺一択だな」
「ビビンバだろうが!」
「うどんやろ。肉焼いたとこで作るうどんはめちゃ美味い。これ常識や」
「うどんより焼そば派、目玉焼きもあれば尚良し」
「チャーハン作ろうよ ♪絶対に美味しいから♪」
「アイスだよぉ、甘味こそ食後の至高なんだよぉ」
「クッパしかあり得ません」
「皆、落ち着きなさい」
積木家の焼肉シメに則り、ミニソフトクリームをペロッと完食。
食後の運動も兼ねてか、総出で後片付けが始まり、あっという間に終わった。
「それじゃあ洋、皆と銭湯に行って来るわね」
「うん。あ、姉さん。ちゃんとアヒル軍曹持った?」
「えぇ。軍曹、洋に挨拶」
《ポケォー》
オモチャのアヒル軍曹を鳴らし、ニマッと笑う姉さんを先導に、女性陣が銭湯へと行った。
そして家風呂で男1人、束の間の安堵に浸り、疲れを癒した。
♢♢♢♢
女性陣が銭湯に行って1時間強、血色のいい湯上がり姿で帰って来た。
ラフな寝巻きの相乗効果もあってか、ふとした身近の魅力が増してた。
「皆、聞いて頂戴。今日の寝る場所についてだけど、お泊まり布団が2組しかないの」
「あぁーこんな大人数で泊まることないもんね」
話題が話題なだけあってか、七人女神と愛実さんの視線が一気に突き刺さって来た。
恐らく誰かしらと一緒のベッドで寝る前提で、話は進む筈だ。
誰かが妙案を口走る前に、僕の口から案を言わせて貰った。
「じ、じゃあさ? 僕と姉さんと空とで、父さん達の寝室で寝ればいいんじゃない? そうすれば、僕らの部屋は空くでしょ?」
各部屋のベッドに2人寝て貰えば、丁度布団が足りる計算だ。
「そうね。皆は、私達の部屋で寝て頂戴。シングルベッドで狭いけれども」
「分かりました。では、私は洋君の部屋で寝させて貰おう」
「アウトアウトアウトぉおおおお! 彼氏の部屋は彼女の特権でしょうが!」
「やだー♪ 愛実ちゃんったら、洋ちゃんの部屋でナニかするつもりだったの?」
「し、しないし?!」
「わかりやすい動揺だねぇ」
「コソコソせずに、堂々としてればいいのに、目論見がダサいわ」
「な、なにをぉおおお!?」
「では、この場で清廉潔白で過ごす事を、誓約書に書き留めましょうか」
「面倒臭い……全部洋が決めればいい……そしたら万事解決……」
「だな! って事で洋! オレらの中から選べ! ドキドキ!」
期待の眼差しの中、僕が真っ先に選ぶのは勿論、彼女しかいない。
「1人目は愛実さんで。もう1人は公平にじゃんけんで」
「洋!」
「分かった。皆、恨みっ子無しの一発勝負だ。いくぞ」
「「「「「「「せーの! ジャンケンポン!」」」」」」
あいこ無しでたった1人勝利をもぎ取ったのは、乙夜街道アリアさんその人だった。