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積木君は詰んでいる3  作者: とある農村の村人
3章 集う七人女神
13/55

⭐︎12話 嫉妬と怠惰と見定め

※2024/4/19文末に灘梨紅のイラストを追加しました!

※イラストが苦手な方はスルーで!

 ライラさんの来訪から10分程、姉さん達が買い出しから帰ってきた。

 七人女神の1人と一緒に。


「ぉ邪魔するぜっぇええええええ! ハッ! 洋! ずっとずっと会いたくてたまらなかったぜええええええ!」

「ぐ、ぐるじぃ……イヴざん……」

「よ、洋から離れろ! ば、馬鹿力過ぎるぅ!? ぬぎぃいい!?」


 秒で飛びつき大しゅきホールドの木林森イヴさん。

 前面に豊かな感触が押し潰れ、掃除機にも負けない荒い鼻呼吸、猫みたいな顔擦りを同時にやってきてる。

 愛実さんの引き剥がしにも、ビクともしない拘束力は、半年前よりグレードアップしてる。


「ふふ、喜ばしい再会ね。越子はまだ来てないのね」

「夕飯までには来るそうですよ、蒼義姉様」

「おいアリア! 抜け駆け義妹やってんじゃねぇよ! オレだってやりてぇのにズリぃ!」

「勝手にやればいいやろ。そういや蒼ちゃん、ぬいぐるみ好きだったやろ? 前にファンプレで、今人気のヤツ貰ったから上げるわ」

「物で好感度上げなんて、一時的なものです。ので蒼さん、この2日間お手伝いをさせて下さい。全身全力でやらせて頂きますので」

「ワタシもぁ、夕飯のお手伝いしたいからぁ、なんでも言って欲しいなぁ」

「梨紅は家事できないし、夜のご奉仕まで時間あるから♪ 今の内に空ちゃんをペロペロしちゃおう♪」

「にゃん?!」


 異性が増えれば増える程、カオスに成り果てる。

 七人女神の詰み場ともなれば、同性の愛実さんも近付けず、非常に脅威になってる。


「そ、空ちゃん! い、今助けにゃぷ!?」

「今度は愛実ちゃんをペロペロしちゃおっと♪」

「め、愛実さん!?」


 甘く可愛らしい声と謎の粘液音、そして頭上に舞う衣類。

 梨紅さんに何をされてるのか気が気でない中、インターフォンが鳴り、姉さんが対応してた。


「今行くわ。洋、越子が来たから出て頂戴」

「わ、分かった! イヴさん、一旦降りてくれる?」

「イヤ! こんまま一緒に行く! 離そうとしても絶対離れねぇからな!」

「イヴ、洋に頼んだの。わがままじゃダメよ」

「うっ……わ、分かったよ蒼の姉さん……」


 イブさんを始め、七人女神は姉さんに対し、素直に従う傾向にある。

 自由を手に入れ、真っ先に愛実さんを助け出した。

 七人女神の視線を背に、愛実さんと玄関へと向かった。


「お、お待たせ越子さん!」

「来た」

「いらっしゃ……目がギンギンだけど大丈夫?」

「洋に会うのが楽しみ過ぎて、久々にエナドリ飲み過ぎた」

「え、自分でエナドリ封印してたのに?」

「うん。ちゃんと今日まで封印してたよ。身体壊してお金稼げなくなったら、将来、洋を養えなくなっちゃうもん」


 エナドリ解放の代償なのか、いつものローテンションがハイになり、饒舌になってる。


「ところでぬちゃぬちゃな子が彼女?」

「ぬちゃぬちゃ? わっ!? め、愛実さん!? ごめん!? 気付かなくて!?」

「だ、大丈夫……た、単なるマッサージローションっぽいから……」

「梨紅の仕業かな、ドンマイ。タオル貸してあげる」

「あ、ありがとう……」

「慎ましやかなおっぱいは、皆同志だから」


 フォローになってないフォローに、下唇を噛む愛実さんは、タオルで身体を拭いまくった。


 ♢♢♢♢


 越子さんが来たことで、積木家に七人女神が集結。

 リビングに一同に会し、アリアさんが改めて再会の音頭とった。


「今日は私のサプライズに付き合ってくれてありがとう。突然の訪問を快く受け入れてくれた蒼義姉様、空ちゃんには感謝しきれないです」

「いいのよ」

「どういたしまして!」

「そして洋君、愛実ちゃん。君達2人が結ばれたことを、まず心から祝福しよう。おめでとう」

「あら、そうだったの? お赤飯も用意しないとね」

「ね、姉さん」

「アリア、私のことは気にせず続けて頂戴」


 本当に赤飯準備に取り掛かる姉さん。

 少し間の抜けた姉さんのお陰で、圧のある空気が若干解れた。


「しかしながら、中学時代を共に過ごした私達からすれば、愛実ちゃんは洋君に相応しいと思えない」

「で、アリアの滞在期間中に、2人を各々見定める事になったぜ!」

「いつ誰が見定めに来るかは内緒や」

「今日明日は対象外ですので、ご安心下さい」

「7人全員を認めさせた暁には、梨紅達は洋ちゃん達の絶対的な味方になるよ♪」

「見定めの際は協力プレイあり、上限無しで何人でもオッケー」

「もしぃ逃げちゃったりしたらぁ、ようくん達を絶対認めないってことになるから、よろしくねぇ」


「何もよろしくないんだが?!」

「愛実さんの言う通りだよ! 勝手にお兄ちゃん達の幸せを試すだなんて、間違ってるよ!」

「見定めは私達の問題であって、君達の問題ではない」


 反論をいくらしようとも、アリアさん達はもう引き下がらない。

 それ程までの言葉の重みと、真剣さなんだ。

 ここから先は真摯に向き合ってこそ、対等な関係になれるんだ。

 愛実さんの手を握り、意志を汲んでくれたのか、キュッと握り返してくれる。


「アリアさん達の見定め、必ず愛実さんと乗り越えてみせるよ」

「その言葉、君達の覚悟として受け取る。あびる」

「言質に動画、しっかりと証拠は押さえたわ。もう後戻りはできんよ、お2人さん」

「うん、分かってる」

「洋と一緒に進み続ける!」


 七人女神に覚悟が通じ、大きな圧から解放された。


「やはり私の目の狂いはなかったか……さて、堅苦しい話はここまでにして、今は再会を祝おうじゃないか」

「んしゃ! 家中を飾り付けすんぜぇ!」

「作業分担で効率的にいきましょう」

「あおさんのお手伝いするねぇ」

「梨紅は味見係がいいなぁ♪」

「アホ、サボりは厳禁や。ビシバシ体動かして痩せや」

「皆頑張って。アタシは洋と空と愛実とゲームしてるから」

「働かないものにはご飯はないぞ、越子」


 ドタバタと賑やかな時間は、夕飯時まで続いた。

挿絵(By みてみん)

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