☆11話 色欲と傲慢と憤怒
※2024/4/17文末に瑪瑙くららのイラストを追加しました!
※イラストが苦手な方はスルーで!
愛実さんと僕、アリアさんとくららさんとで、ソファーの端々を陣取り、会話の攻防繰り広げられてる。
「第一前提、愛実ちゃんと私達とでは、日々の時間の貴重性が違う」
「めぐみちゃんはいつでも、ようくんに会えるんでしょ? 今日と明日ぐらい、わたし達がようくんの傍にいても構わないよねぇ?」
「むしろ愛実君は遠慮し、ポジションを譲るべき立場なんだ」
「どんな理由があっても思い通りにさせないっての! シッシ!」
僕の懐に座り、何人たりとも寄せ付けない態度に、アリアさん達は眉をピクピク動かし、圧を増してた。
このまま残りの七人女神が増えれば、平和的な解決は訪れず、悪化の一途を辿る事になる。
同時に愛実さんも不利になる。
それに両者から、僕の口出し無用と固く言われてる以上、見守るしか出来ないんだ。
ハラハラドキドキと生きた心地のしない中、インターフォンが鳴った。
「3人目が来たな。一時休戦だ」
「おけー! 行くぞ洋! 初っ端から分からせてやんだからな!」
「わぁっ!?」
モニターで確認せず、玄関先へと一直線。
玄関を開けた先にいた3人目は、同年代とは到底辿り着けない色香をムンムンに放つ、灘梨紅さんだった。
「あー洋ちゃん♪ 半年会わない間に、もっとカッコ良くなったね♪」
「り、梨紅さんも一段と大人っぽくなったね」
「でしょ♪ おっぱいなんかJカップ目前だよ♪ あ、そうだ♪ 再会を祝して、揉んで大きくしてみない♪」
「どいつもこいつも胸マウント取るんじゃねぇぇえええ!」
「あん♪」
愛実さんの怒り胸叩きで、カットアウトタートルネックからIカップが溢れ落ちそうだった。
ノーダメージは勿論、気持ち良さそうな表情で胸を揉みしだいてた。
「んっ♪ で、足下の見晴らしが良さそうな貴方が、洋ちゃんの彼女ちゃんの愛実ちゃん?」
「洋の彼女の瓦子愛実ですが!? 見晴らし良いですが?!」
「お、落ち着いて」
「あはは♪ ムキになっちゃって可愛い♪ でも、そんなフラットボディーで洋ちゃんを今後、満足させて上げられるの?」
「な、何をおぉおお!?」
「近所迷惑や」
「あ♪ あびるちゃん♪」
若干の苛立ちを見せ、スマホ片手に現れた、八百万神あびるさん。
藍色セミロングボブ、黒のストリートファッションにデニムは、海外風なファッションだった。
「お久やな、洋クン。元気そうで良かったわ」
「あ、あびるさんも」
「で、隣の日焼けっ子が彼女?」
「瓦子愛実です! よろし」
「言っておくけど、アンタとは無駄に絡むつもりはない。そん手も早く引っ込めてや」
「ぐににに! ふん!」
強引握手に眉を顰めるあびるさん。
よっぽど嫌だったのか、バッと手を引き離してた。
「……洋クン。こん先こん子に振り回されてもいいんか? 線引きせんと、こん子の胸みたいに下り坂人生にな」
「せめて地平線って言えよぉお!」
「あだっ!? 乳叩くなや?!」
「だったら梨紅のを叩いて♪」
「へ、変態ぃいい!」
「あん♪」
初っ端からペースを崩され、疲れの色が見え始めてる愛実さん。
特にあびるさんとの相性が悪いのか、火花を散らしてる。
無駄な争いを避けるべく、あびるさんと梨紅さんには中に入って貰った。
「大丈夫、愛実さん」
「ま、まだ平気」
「……どんな時でも、僕は愛実さんの味方だから」
「わ、分かってるけど……ぱ、パワー欲しいからさ、ギュッてハグして欲しい……」
「う、うん」
七人女神とのお泊まり会は、きっと僕らにとっての大きな試練だ。
大事な愛実さんを守り、七人女神に僕らの事をちゃんと理解して貰うんだ。
「自宅前で白昼堂々とイチャつくのは、あまりよろしくありませんよ」
「にゃん?!」
「ひょわ!?」
不意な声掛けをしてきた、眼鏡越しの眼光を光らせる、インテリ美女に磨きがかかった満欠月ライラさん。
進学先の偏差値75超え黶城学院のグレーの制服を、可憐に着こなしてる。
「お久し振りです洋さん。集合時間に寸分狂いなく着きました」
「い、いらっしゃっいライラさん」
「お邪魔させて頂きます。の前に、隣にいる小麦肌の健康そうな女の子が、彼女さんですか」
「か、瓦子愛実です! よろしくお願いします!」
「ご丁寧にありがとうございます。それにしても……」
「にゃ!?」
握手のまま引き寄せ、愛実さんの身体を揉み始めた。
身体目当ての梨紅さんと違い、ライラさんの手付きは真剣そのものだ。
「健康優良体にも関わらず、貴方の姉や従妹のように発育していないのは、おかしな話です」
「だ、だからって、も、揉むな!? てか、なんで姉貴達のこと知ってんだ!?」
「砂漠の中で一本の針を探す訳じゃないんです。女子陸上で有名人だった貴方なら尚更です。情報収集に10分も掛かりませんでした」
「こ、怖いんだけど!?」
「そんな貴方に比べ、ワタシは絶賛発育中の抜群のプロポーションだと自負してます。知力も身体も人脈も上回ってますのに、洋さんは貴方を選び結ばれ、ワタシは憤慨してます」
怒りの炎を瞳に宿し、愛実さんを睨み殺しそうなライラさん。
重圧と身長差もあり、一歩引き下がりそうな愛実さんを守る為、強引に2人の間に割り込んだ。
「ら、ライラさん! 越子さんとイヴさん以外集まってるから! 中で待ってて!」
「……分かりました。ただし瓦子愛実さん。洋さんの彼女として相応しいか、厳粛に見極めさせて頂きますので、覚悟なさって下さい」
「の、望むところだ!」
「立派な威勢が虚勢でないといいですね」
半年間で七人女神はズバ抜けて成長しているんだと、再認識させられた。