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積木君は詰んでいる3  作者: とある農村の村人
3章 集う七人女神
12/55

☆11話 色欲と傲慢と憤怒

※2024/4/17文末に瑪瑙くららのイラストを追加しました!

※イラストが苦手な方はスルーで!


 愛実さんと僕、アリアさんとくららさんとで、ソファーの端々を陣取り、会話の攻防繰り広げられてる。


「第一前提、愛実ちゃんと私達とでは、日々の時間の貴重性が違う」

「めぐみちゃんはいつでも、ようくんに会えるんでしょ? 今日と明日ぐらい、わたし達がようくんの傍にいても構わないよねぇ?」

「むしろ愛実君は遠慮し、ポジションを譲るべき立場なんだ」

「どんな理由があっても思い通りにさせないっての! シッシ!」


 僕の懐に座り、何人たりとも寄せ付けない態度に、アリアさん達は眉をピクピク動かし、圧を増してた。

 このまま残りの七人女神が増えれば、平和的な解決は訪れず、悪化の一途を辿る事になる。

 同時に愛実さんも不利になる。


 それに両者から、僕の口出し無用と固く言われてる以上、見守るしか出来ないんだ。

 ハラハラドキドキと生きた心地のしない中、インターフォンが鳴った。


「3人目が来たな。一時休戦だ」

「おけー! 行くぞ洋! 初っ端から分からせてやんだからな!」

「わぁっ!?」


 モニターで確認せず、玄関先へと一直線。

 玄関を開けた先にいた3人目は、同年代とは到底辿り着けない色香をムンムンに放つ、灘梨紅さんだった。


「あー洋ちゃん♪ 半年会わない間に、もっとカッコ良くなったね♪」

「り、梨紅さんも一段と大人っぽくなったね」

「でしょ♪ おっぱいなんかJカップ目前だよ♪ あ、そうだ♪ 再会を祝して、揉んで大きくしてみない♪」

「どいつもこいつも胸マウント取るんじゃねぇぇえええ!」

「あん♪」


 愛実さんの怒り胸叩きで、カットアウトタートルネックからIカップが溢れ落ちそうだった。

 ノーダメージは勿論、気持ち良さそうな表情で胸を揉みしだいてた。


「んっ♪ で、足下の見晴らしが良さそうな貴方が、洋ちゃんの彼女ちゃんの愛実ちゃん?」

「洋の彼女の瓦子愛実ですが!? 見晴らし良いですが?!」

「お、落ち着いて」

「あはは♪ ムキになっちゃって可愛い♪ でも、そんなフラットボディーで洋ちゃんを今後、満足させて上げられるの?」

「な、何をおぉおお!?」

「近所迷惑や」

「あ♪ あびるちゃん♪」


 若干の苛立ちを見せ、スマホ片手に現れた、八百万神あびるさん。

 藍色セミロングボブ、黒のストリートファッションにデニムは、海外風なファッションだった。


「お久やな、洋クン。元気そうで良かったわ」

「あ、あびるさんも」

「で、隣の日焼けっ子が彼女?」

「瓦子愛実です! よろし」

「言っておくけど、アンタとは無駄に絡むつもりはない。そん手も早く引っ込めてや」

「ぐににに! ふん!」


 強引握手に眉を顰めるあびるさん。

 よっぽど嫌だったのか、バッと手を引き離してた。


「……洋クン。こん先こん子に振り回されてもいいんか? 線引きせんと、こん子の胸みたいに下り坂人生にな」

「せめて地平線って言えよぉお!」

「あだっ!? 乳叩くなや?!」

「だったら梨紅のを叩いて♪」

「へ、変態ぃいい!」

「あん♪」


 初っ端からペースを崩され、疲れの色が見え始めてる愛実さん。

 特にあびるさんとの相性が悪いのか、火花を散らしてる。

 無駄な争いを避けるべく、あびるさんと梨紅さんには中に入って貰った。


「大丈夫、愛実さん」

「ま、まだ平気」

「……どんな時でも、僕は愛実さんの味方だから」

「わ、分かってるけど……ぱ、パワー欲しいからさ、ギュッてハグして欲しい……」

「う、うん」


 七人女神とのお泊まり会は、きっと僕らにとっての大きな試練だ。

 大事な愛実さんを守り、七人女神に僕らの事をちゃんと理解して貰うんだ。


「自宅前で白昼堂々とイチャつくのは、あまりよろしくありませんよ」

「にゃん?!」

「ひょわ!?」


 不意な声掛けをしてきた、眼鏡越しの眼光を光らせる、インテリ美女に磨きがかかった満欠月ライラさん。

 進学先の偏差値75超え黶城(あざしろ)学院のグレーの制服を、可憐に着こなしてる。


「お久し振りです洋さん。集合時間に寸分狂いなく着きました」

「い、いらっしゃっいライラさん」

「お邪魔させて頂きます。の前に、隣にいる小麦肌の健康そうな女の子が、彼女さんですか」

「か、瓦子愛実です! よろしくお願いします!」

「ご丁寧にありがとうございます。それにしても……」

「にゃ!?」


 握手のまま引き寄せ、愛実さんの身体を揉み始めた。

 身体目当ての梨紅さんと違い、ライラさんの手付きは真剣そのものだ。


「健康優良体にも関わらず、貴方の姉や従妹のように発育していないのは、おかしな話です」

「だ、だからって、も、揉むな!? てか、なんで姉貴達のこと知ってんだ!?」

「砂漠の中で一本の針を探す訳じゃないんです。女子陸上で有名人だった貴方なら尚更です。情報収集に10分も掛かりませんでした」

「こ、怖いんだけど!?」

「そんな貴方に比べ、ワタシは絶賛発育中の抜群のプロポーションだと自負してます。知力も身体も人脈も上回ってますのに、洋さんは貴方を選び結ばれ、ワタシは憤慨してます」


 怒りの炎を瞳に宿し、愛実さんを睨み殺しそうなライラさん。

 重圧と身長差もあり、一歩引き下がりそうな愛実さんを守る為、強引に2人の間に割り込んだ。


「ら、ライラさん! 越子さんとイヴさん以外集まってるから! 中で待ってて!」

「……分かりました。ただし瓦子愛実さん。洋さんの彼女として相応しいか、厳粛に見極めさせて頂きますので、覚悟なさって下さい」

「の、望むところだ!」

「立派な威勢が虚勢でないといいですね」


 半年間で七人女神はズバ抜けて成長しているんだと、再認識させられた。

挿絵(By みてみん)

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