☆10話 強欲と暴食
※2024/4/14文末に乙夜街道アリアのイラストを追加しました!
※イラストが苦手な方はスルーで!
当日に決まった、積木家での愛実さんと七人女神とのお泊まり。
姉さんと空は買い出しで、我が家は愛実さんとアリアと3人きり。
ソファーで両側から密着され、身動きを封じられてる状態だ。
「ちょ、ちょっとアリアさん? 洋にくっつき過ぎじゃないですか?」
「私達の定位置だ、気にするな。むしろ愛実ちゃんこそ、密着する割に押し当てるものがないじゃないか」
「あ、ありますし?! だ、だろ洋!?」
「無粋な質問は良くないぞ。君のBもない胸と、Fカップの私とでは比べ物にならないだろ」
「ぐ、ぐぬぬ……」
フニフニとムギュムギュの異なる柔らかい感触に、ドキドキが止まない。
そんな無闇に動けない中、インターフォンが鳴った。
抜け出す動機ができた以上、動かざるを得ない。
「で、出るからごめんね!」
「「あ」」
強引に脱出し、一目散にインターフォンのモニターを確認。
両手一杯の荷物と大きなリュックを背負った、くららさんだった。
少し痩せたのか、ぽっちゃり体型がスッキリで、残したい部分だけがしっかりと残ってた。
画面越しの姿もそこそこに、慌て気味に玄関扉を開けた。
「くららさん!」
「やっほぉーひさしぶりだねぇ、ようくん。元気そうでよかったぁ」
「く、くららさんも!」
「これぇ、食材とかお菓子沢山買って来たから、遠慮なく受け取ってねぇ」
「ありがとう! あ、持つね!」
「ありがとぉ」
外見に変化があるだけで、中身が変わってなくて一安心。
リビングに案内すると、ソファーでバチバチに火花散らす2人が、パッと何事もなく視線を向けて来た。
「久し振りだな、くらら」
「おひさしぶりぃ、アリアちゃん。小麦肌の可愛い女の子が、ようくんの彼女さん?」
「か、瓦子愛実です! よろしくお願いします!」
「よろしくねぇ。これぇ、低脂質で高タンパクのお菓子ぃ。胸を大きくしたそうな、めぐみちゃんにあげるぅ」
「ど、どぅも……で、デカィ……」
無自覚の善意で、胸マウントを取ってしまったくららさんは、アリアさんとの再会をほんわかと喜んでる。
ただそれよりも、精神的ダメージにプルプル震える愛実さんに、すぐ寄り添った。
「愛実さん。僕は愛実さんにしかない魅力を、沢山知ってるから」
「洋……」
「ほぅ、なら私にしかない魅力も知って貰おうか」
「ちょ!?」
アリアさんの誘い手で、Fカップに手の平が着地。
不可抗力で手先が動き、軽く揉んでしまった。
「んっ。甘美な刺激だ。もっと揉んでくれたまえ!」
「ねぇねぇ、わたしも混ざった方がいいのぉ?」
「当たり前だ。遠慮はいらない」
「そぅ? ちょっと恥ずかしいけどぉ、ようくんが喜んでくれるなら、遠慮なくどうぞぉ」
「にぃ!?」
エレガントワンピース越しの、Fを超えるボリュームが指先を沈め、またもや不可抗力で揉んでしまった。
「あぁ、コレクセになっちゃうヤツだねぇ。もっとしてほしいなぁ」
「近い将来、洋君のものになる胸だ。好き放題にしてく」
「させる訳ねぇでしょうがぁあああああ!?」
渾身の脳天ダブルチョップで、2人を一瞬無力化した愛実さんに、ギュッと懐に抱き寄せられた。
顔にフニっと触れる仄かな感触は、安心感すら覚える。
「あたたぁ……めぐみちゃんの無い部分を補おうとしただけだよぉ?」
「ムキィイイ!」
「ストレスは発育の妨げになる。一度落ち着いて、冷静になった方がいい」
「誰のせいだし!? てか、人の彼氏を好き勝手させる訳ないでしょうが!」
「今更だねぇ」
「今更だな」
「ぐっ。と、兎に角! また洋に同じようなことをしたら、容赦無く行くからな!」
「眼が本気だねぇ」
「果たして君に乗り越えられるかな」
引き下がるどころか、果敢に前進し続けるアリアさん達は、最上級の詰み要素だ。
「よ、洋! 洋からも言ってやりな!」
「あ、そうだよね。えーアリアさん、くららさん。善意であっても、ああいった事はしないでくれると助かります」
「なら、ハプニングを装って揉ませるまでだな」
「おぉ、色々閃いちゃうねぇ」
「だ、ダメに決まってるでしょうがぁ!?」
愛実さんの咆哮をものともせず、余裕なアリアさん達。
僕らの戦いはまだ始まったばかりだ。




