表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

サダトモではなくトモゾウ


「な、なにがおかしいんだよ?胸が苦しいっていってんだ。早いとこ医者にみてもらわねえと」


「ないない。だっはっは。そんな必要ない」


 笑いながらのその返事についに何かが切れたヒコイチが、腰にお坊ちゃまをひっつけたまま拳をにぎってふみだしたとき、サダトモの姿が一瞬で消える。


   「っつ!?なんだあっ??」



 サダトモが消えた椅子のうえ。

 黒い何かが丸まっていた。

 いや、よくみれば、黒い毛皮だ。



「・・・まさか・・・」



 ヒコイチのつぶやきに、その毛皮が顔をあげた。


「 おはつにおめにかかります。じつはあたくし、二条のサダトモさまに頼まれ、サダトモさまのふりをして、おふたりを試すよう、いいつかわされてまいりました、カワウソのトモゾウと申します」


「・・・・・・しゃべった・・・」

「か、かわいい・・・」



 その、ぬるりとしなやかな毛皮の主は、ケモノの口でしっかりと言葉を話す。




「・・・まあ、・・・乾物屋よりもいいわな」


「さすがヒコイチさま。慣れるのがはやい」


「あの、あの、じゃあ、はじめからずっと、サダさんではなく、トモゾウさんだった?」


「そうなのです、ノブタカさま。 ―― いや、さすがお噂の方々。普通の人間とは胆の太さがちがう。いや、さすがでございます。 サダトモさまの命とはいえ、おふたりをばかしてだましました。どうかお許しください」


 ぺこりと頭をさげるケモノに、ヒコイチとお坊ちゃまはとにかく説明してくれと求めた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ