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第二十三話

挿絵(By みてみん)

家臣たちが経好に報告している。

「大内が居る城塞は三方が急な山に囲まれていて正面以外の道はありません。

我々がここをまっすぐ進むと、正面の道は敵に狙われやすいと思われます。

城塞の門も固く閉まっています。

こじ開けるのに人力では時間がかかると思われます。」

「わかった。このまま進むのは危険だな。」

「殿、徳山の湊で大砲の砲弾を補充して、船からおろして運んできております。

大砲で狙えば、大内の城塞の門を砲弾で時間をかけずに破壊することができます。

家来たちには、徳山の湊で京の商人から鎧の装備や長槍の武器を強化しております。」

「日が沈んで大内の軍勢が寝静まった頃、城塞を破壊して一気に攻め込むこととしよう。

城塞の近くまで近づき、敵がいない所で夜まで待機する。」


日が沈むころ、高嶺山の山頂付近にある大内の城塞の前の岩陰に経好一行は到着した。

しばらく夜半まで待機するようだ。

「鶴姫、疲れていないか。大丈夫か。竹筒に入っている水を飲んで休んでくれ。」

「経好様、元気でございます。」

「そうだと思う。ところで大内の状況は聴けるか。」

鶴姫はスマホの表面で高機能集音装置アイコンを作動させた。


大内と大蛇女らしき女の声が聴こえてくる。

『確かにここの裏手のクスノキの根元に小さな祠があったぞ。

家来に掘らせると中が空洞になっていて、ほら、これが見つかった。

シナモンの匂い、肉桂の匂いがするぞ。』

『これと勾玉を手に入れればあとひとつね。

さあ、続きをしましょうよ。』

『クスノキにあったこのものを持つと精気がみなぎってくる気がするぞ。』

『大内様の物が太く大きくなってきます。

私の舌でもっと反り返るほど元気にして差し上げましょう』

淫靡な喘ぎ声と男の獣のようなうめき声が続く。


「まだ起きているようです。」

「かれこれ半日営んでいるのか。

私も赤竜のお宝を手に入れた暁には鶴姫と。」

「赤竜の紋がある勾玉に竹筒の水をかけて裏を見ると、確かに桂の文字が浮かび上がってきます。

桂はシナモンを意味して、シナモンはクスノキですから、やはりクスノキの付近に祠が隠されていたのではないでしょうか。」

「そこから大内はクラウソラスの剣を見つけたのだな。

それを我々に返してもらう。

私が剣を手にすれば大内ごときよりもっと大きくて太くて固いものを鶴姫に差し上げよう。」

経好は鶴姫をじっと見つめている。

鶴姫はそっと経好に寄り添った。

暗がりで経好の右手が鶴姫の胸元に忍び込んでいる。

鶴姫の胸元から勾玉が光っている。

勾の奥に経好は右手の指を走らせ、鶴姫の胸の中を弄っている。

「経好様。声が出てしまう。ダメ。」

スマホからも、大蛇女らしいクライマックスを迎える声が高まり、大内の雄叫びが聴こえる。

その後、しばらくしてスマホは静かになった。


経好がさっと鶴姫の胸元から手を戻し家臣に指示をする。

「時が来た。城塞の門を狙え。」

大砲の先が城塞の門に狙っている。家臣が叫ぶ。「発射。」


暗闇で包まれた門が、強烈な光に包まれ、破壊音がした。

二度目の大砲が発射され、破壊音のあとに城塞の門に穴が開いた。

「進め。」

鎧をつけ長槍を持った家来たちが一斉に進む。

そのあとから家臣たちが火縄銃をもって突進する。


城塞の中に入った家来たちは、寝ていた大内の家来たちを難無く取り押さえた。

「大内はどこだ。」

観念した大内の家来は武器を捨てて両手を上げている。

返事が無いが、みんな城塞の奥の小高い林の前にある建物を見ている。

「クスノキの林の前に建物があるぞ。進め。」

建物から矢が飛んできた。


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