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第十九話

「酒も美味いし、精もあの高貴の方の匂いがする。」

巨乳大蛇女は女の姿のままで首には勾玉をつけている。

まだ眠っていない。

「まだ残りの桶は下で飲み直そう。どうも人間の姿では酒を舐めるのに窮屈だ。」

桶を持って、巨乳大蛇女は洞窟の奥のもとに居た場所に戻って行く。

「諏訪は肝心な所で役に立たない奴。

赤龍の宝があればあの方と結婚できると諏訪に言わせて、屋敷に乱入したこの私がこの赤龍の勾玉を見せて、一同ひれ伏すという場面が台無しになった。

勾玉を見せる前に家来に囲まれてしまった。

それにしてもまさか赤龍の紋を背中に持った貧乳女が現れるとは想定外。

貧乳女があの方と結婚しようなど妄想狂もいいところだな。

あのお方が手に入らなければ、あの屋敷に乱入してきた大内とか言う若い男にするか。高貴さでは劣るがあの男の方が色仕掛けをかけやすいかもしれぬ。」


岩陰から思わず出て貧乳ではないと言いそうになったが鶴姫はじっと我慢した。

鶴姫は裸のままでまた貧乳と呼ばれないように襦袢を羽織ってから、右手にスマホのような物を持って、気づかれないように左右の岩陰を利用して鶴姫も細い下道を辿って、大蛇女に付いて行った。


大蛇女は下まで降りると、海水のあるくぼみに体を浸し、勾玉を首から外しくぼみの近くに置いた。

海水に浸った女が沈んだかと思うとゾロリと音がして、大蛇が舌を舐めずりながら海水の窪みから出現してきた。

そのまま桶に首を突っ込み大蛇の舌で桶の液体を舐め始めた。

大蛇は音をたてて複数の桶を舐め尽くしている。

やがてすべてを舐めつくすと、大蛇は海水の窪みの横で横たわって目をゆっくりと閉じていった。


勾玉は大蛇のすぐ横の窪みに置いてある。

岩陰が身を乗り出して大蛇の目が閉じていることを確認した鶴姫は、静かに音を立てないように大蛇を跨いで、勾玉がある窪みに近づいていく。

ゆっくりと歩けばいいのよ。

すぐそこに確かに赤龍の紋が入った勾玉が見えたわ。

窪みに到達した鶴姫は、勾玉を手に取り自分の首にかけた。

右手にあるスマホのような物が急に輝きだした。

光を帯びたスマホの表面のアイコンが輝いている。

サンダーレーザー電磁波と書いたアイコンが眩い光を出している。


大蛇が眩しそうに眼を開けた。

思わず鶴姫は大蛇と目が合ってしまった。

洞穴への出口は、大蛇の向こう側なのよね。



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