第十五話
「上陸したぞ。殿と鶴姫様に籠をご用意しろ。」
船を降りた家来の声を聞きながら、鶴姫は経好と手を繋ぎながらゆっくりと浮島に上陸した。
経好が今後の進路を鶴姫に説明し始めた。
「漁師の知り合いがいる家来に聞くと、浮島のここから北にまっすぐ進むと江の浦というところに社があり、その付近から洞窟の穴があるらしい。」
家来が補足する。
「半年くらい前にこのあたりで大きな地震があったと聞きます。
その後に付近を漁船で通ると、気味が悪い変な甲高い声も聞こえてくることがあると聞いております。
浮島の南は魚が豊富にとれる漁場ですが、海賊が付近を牛耳っておりますし、ここ半年で戻って来ない漁師たちも大勢いたので、最近漁師たちはこの辺りに近づかないようにしているらしいです。」
浮島の江の浦にある社までは平たんな道ではあるが所々にどこからか落ちてきた大きな岩が散乱している。
地震の影響かも知れない。
「殿、鶴姫様、籠の準備ができました。力の強い家来が殿と鶴姫様を籠で社まで運びますのでお入りください。多少揺れますがご勘弁を。」
家来に用意された籠で社に向った。
鶴姫は鎧の胴具を脱いで小袖に着替えて籠に乗っている。
籠の中は狭いので、経好様とぴったり体が密着する。
「鶴姫、船で見かけた銀色の四角のものは先日大内の水軍にやられそうになったときに助けてくれた巫女の力を呼び寄せるものなのか。」
鶴姫もスマホのような物体の機能は十分判っていなかったが、多分そうよねと思い、頷いた。
経好は黙ると顔を鶴姫に近づけてきた。
「口吸いの続きだ。」
鶴姫は静かに目を閉じた。
唇には経好様の感触を感じる。振動がちょうどいい加減で私の口腔の中で経好様の舌がリズミカルに動いてくる。
経好様と密着しているからか、何だかまた体がキュンとなってきそう。
左手は背中へ、右手は胸元へと鶴姫の敏感な部分を触ってくる。
私の背中の赤龍の痣に気持ちよさを増幅する部分があるみたい。
うっ、思わずまた声が出そうになるが、まだ声は出ない。
経好が鶴姫を持ち上げて対面で抱っこされた。経好の両手で鶴姫の体を支えている。
鶴姫の両足は交互に経好の足と交差している。
鶴姫の湿りけを帯びたデリケートな部分と経好の固く膨らんだ下半身が籠の上下の振動でお互い擦りあって気持ちよさが増していく。
挿入されておらず着衣越しの刺激なのに、鶴姫は我慢できずに上半身を何度も何度も痙攣して反り返らせた。
胸元も開けて二つの蕾がむき出しになっている。
「殿、そろそろ洞窟の穴がありそうな社が見えてきました。」
鶴姫はあわてて胸元を戻し、経好の膝の上から降りてすました顔に戻った。
「籠から降り立った経好が祠の近くの洞窟の入口を見たとたん失望の声を出した。大きな岩で入口が塞がっている。これでは洞窟の中に入れないではないか。
勾玉がこの中にあるはずなのに。
半年遅かったか。」
経好は家来たちと社の祠近くでどうするか協議をしていた。
鶴姫は社の祠の隅に小さな鳥居と白狐のお稲荷様が祭られているのに気付いた。
空が曇りだし風が吹いてきた。
風神雷神は触ってない。通常の天候で荒れてきたのか。
稲光が天を走ったかと思うとすぐに大きな雷鳴が近くで轟いた。
雷が近いかも。
鶴姫は地面に赤黒い印があったので、その上に立ち上がってスマホを天に掲げてみた。
眩い光のあと大きな音と衝撃がした。
鶴姫はその場でゆっくりと体が傾いていく。意識が遠のきそうだ。
「雷が鶴姫様に。」家来が叫んだ。
それに気づいた経好が駆け寄って、鶴姫が地面に倒れる瞬間、鶴姫の体を受け止めた。
「鶴姫!」
地面に寝かされた鶴姫の顔は青ざめて意識が戻らない。
「しっかりしろ。」
経好が鶴姫の胸元を広げて胸骨の付近を何度も押している。
鶴姫の息が止まっているのに気付いた経好さ、更に口で空気を鶴姫の口に送り込んでいる。
しかし、鶴姫の顔や全身や腕などの肌は青いままだ。
経好がふと考えて、鶴姫の背中の赤龍の痣を摩った。
再び、胸骨の付近を押し、口から空気を送り込み、赤龍の痣を摩るという事を繰り返していく。
鶴姫が右手の持ったスマホが急に輝き始めた。