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第十話 婚約の儀と閨

朝食を食べた後、鶴姫は昨日と同じように入浴のあと肌の手入れと化粧をして、昨日より更に豪華な金や銀や紺や紫をちりばめた衣装を着せられて、広間に向った。


鶴姫は婚約の儀が開かれる広間の後ろの部屋で控えさせられて、経好が到着するのを待っていた。

「鶴姫、今日はまた一段と美しい。眩いばかりの姫君で私の自慢の婚約者である。」

経好が控えの部屋にやってきた。

女中頭が小声で、婚約の儀を披露します皆さまが到着しましたら、この襖を開けることになっております。


控えの襖の向こうではもうすでにがやがやとした声が聞こえてきた。

「経好殿もこれでやっと後継ぎの嫁が決まりそうで何よりです。

心からお祝いさせていただきたい。」

近隣の来賓も到着されたようだし、屋敷の主だったものや家臣、家来も席に着いたようだ。

経好殿の父上が開会のあいさつを始めた。

「本日は、我が息子にしてこの屋敷の主である経好の婚約の儀を開催することができ、誠に嬉しい限りである。今宵は酒、肴も用意しておる。それでは経好と婚約者の姫を紹介させていただきたい。」


襖があいた。

おおっというどよめきとともに拍手が鳴りやまない。

「これは美しく神々しい女神のような姫君。経好殿の父上も一安心ですな。」

来賓の一人がそう叫んでいる。

家臣や家来も次々に褒めちぎっている。


プロポーションは普通だけれど、お化粧と豪華な衣装で、私は美人さんに移っているのか。映え写真は記録に残せないのが残念。

顔の下から当てられているろうそくのような白い光の照明が女優鏡のようになっていて、更に顔を白く美しく見せているようね。


家来たちが経好と鶴姫の前にひとつ台座を用意した。

台座には和紙で書いた文字がある。

鶴姫が呼んでみると草書体ながら、『赤龍の宝珠』と書かれてあった。


宴は延々と続いた。

途中で何回か衣装替えの色直しのタイミングがあり、そこで軽く水を取り厠で休憩を取った。経好様もその同じタイミングで何回か休憩を挟んでいた。

鶴姫はぐったりする寸前に、経好様の父上が婚約の儀の初日の中締めのあいさつで初日は終わった。


女中たちに連れられて、鶴姫は湯船の部屋に戻った。

そこでまた湯につかって体を清められた後、肌が透き通る襦袢に軽い小袖だけの恰好で経好様の部屋に取れられた。

「待っていた。鶴姫。」

鶴姫も『私も同じ気持ちです。この日を待ち望んでおりました』と心の中で思い、

筆で、『私も』と書いた和紙を見せた。


経好に小袖をはぎ取られ素肌が透ける白い襦袢のまま、抱き寄せられた。

そのまま二人は寝床に横たわった。


鶴姫は目を閉じ、キスを待った。

鶴姫の唇に経好の唇の感触を感じた。


唇と唇は接触したまま、経好の右手が白い襦袢の私の胸元に入ってくる。

二つの柔らかい双丘の桃色の蕾の一つに、経好様の指を感じる。

うっ。声は出ないものの、心の声がそう出ているように感じた。

鶴姫は自分の柔らかな双丘の先の蕾が固くなっていくのを感じていた。

周辺の乳房も固く鳥肌がたっている。


経好の左手がゆっくり鶴姫の背中から次第に下に位置がずれてくる。

戦国時代だから、下着は無い。

お風呂に入ったのに、もう茂みの奥が湿りけを増している。

その濡れそぼった奥にゆっくりと経好の左手の指がゆっくりと侵入していこうとしている。

思わず鶴姫の体がのけぞった。


恥ずかしいけれど幸せ。

転生して初めて幸せな気分。

今度は経好様が私の手を取って経好様の褌の奥に導こうとしている。


固くそそり立ったものがある。経好様のいちもつから体液が出そうになったら女中を呼ばないといけなかったよね。

これ以上は穢れないように、経好様のものに触れてはいけないよね。


「姫、そこまで。」

女の声がした。

女中頭かしら。

さっと胸元を閉じて、唇を外すと鶴姫は寝床から半身を上げた。

鶴姫が前を見ると、諏訪という名の占い師が座っていた。

諏訪が追い打ちをかける。

「まだ婚約の儀であり、結婚したわけではない。三種の神器も無い中で、これ以上イチャイチャするのではない。経好様が穢れる。離れよ。」

さっと鶴姫は経好様から離れた。

諏訪が更に追い打ちをかける。

「婚約の儀で閨を同衾していいのは、いちゃつくためではない。市川家を守る赤龍の神様に身を捧げ清めるために同衾するだけ。

さよ、寝床は二つ用意して離して敷け。

こんなことだと思って今来たら案の定、穢れたことを。だから巫女上がりはダメだと言ったのに。」

さよという女中頭があわててもう一つの寝床を用意した。

「経好殿、明日も明後日も私がそばで赤龍の神様に祈祷します。赤龍の神様に穢れを見せては婚約破棄になります。それで困るなら婚約者とは離れて寝て頂きます。」

経好は残念そうな顔をしつつ、しぶしぶ、離れた寝床に移った。

「鶴姫、婚約の儀のあと、早く三種の神器を集めて必ず早く夫婦になるから、」それまで待ってくれ。」


鶴姫もがっかりした顔で離れた寝床に臥せった。


鶏が鳴く声がする。夜が明けたようだ。

一睡もしていない気がする。

今日も又宴会が続くのか。


そして二日目の宴も二人の間に台座がもう一つ置かれて和紙で『赤龍の宝勾玉』と書かれていた。


二日目の宴も、二人の間に台座がもう一つ置かれて和紙で『赤龍の宝剣クラウソラス』と書かれていた。

三日目の宴がもうすぐ終わる頃、経好が宴の衆に対して立ち上がって挨拶をした。

『皆様、三日間にわたり婚約の儀に参加頂きありがとうございます。

私は、赤龍の印が入った三種の神器を集めて、改めて横に居る鶴姫と結婚披露宴を開きます。そして結婚の証を皆に披露し正室の姫君と結婚いたします。』

経好は、宴の全員にそう宣言した。

「異議なし。」

「異議なし。」

「万歳。」

「万歳。」


やっと婚約の儀が終わった。鶴姫が脱力しかけたその時に、一人の男性と一人の女性が立ち上がった。

「僕は異議あり。」

「私も異議あります。」

男は経好様より少し若そうな好青年だ。あれは転生前の令和の時代にいた取引先の男性に似ている。

女を見ると、その取引先の男の横に居た女で、私の悪口を言っていた嫌な女にそっくりではないか。誰?


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