桃太郎vs桃太郎
緊迫する空気の中、動いたのはおじいさんだった。
「先手必勝!桃太郎キック!」
そう言っておじいさんはキックをするが、その瞬間に仰向けに転んでしまった。
「だっさ…」
思わず口に出てしまうほどのだささ!これには身長180の桃太郎(以下、桃キッズ)も目を見開きます。
「ここまでダサいネーミングセンスは初めて見た…くっ、やるな。だが、こちらも桃太郎という名前を渡すわけにはいかないんだっ…!」
「小童が!ただ体が大きいだけでわしに勝てると思わないんじゃな!」
あれ、さっきまであんなに嫌だとか言ってたのに意外とノリノリだな…
「それならこっちも!桃太郎パーンチ!」
「んな…?!」
桃太郎キッズは某アニメのヒーローの如く後ろを光らせながら腕を目の前に突き出した。
え?どうやったん?
「な…!どうやって光らせた!?」
ですよね〜、まずそこに疑問を持つよね〜
「ありがとう、おっちゃん!」
「おう、いつでも任せな!桃坊!」
…おっちゃん…あんたの仕業か…。
よく見ると鏡で太陽の光を反射させていた。
「…く、小癪な!」
「これってなんの戦いやっけ?」
「普通の戦いじゃなかった?」
「せやな、そんならなんでダサさとか光とか入れて争っとるん?」
「そんなん、決まっとるだに」
「え?」
「 romanのため、だべさ…」
「「なるほど…?(何言ってんのかわかんないけど、なんか、かっけー…)」」
「よし、最後はカッコよさで勝負しようぜ、じいさん!」
「同感じゃ!小僧!」
「これで…!」
「決めるのじゃ…!」
「put the period!!」
「…ふ、甘い!come to the period!!」
「…かっけえ…」
その声は誰のものだったのだろうか。楓か、エリカか、ポコ助か、おっちゃんか、それとも《私》か…どちらにせよ、その光景は後に ”MOMOTARO戦争“として、名を馳せるのだった。
「…」
「…」
「…っう!何が起こって…っは!じいさん!無事か?!」
「…やる…な…」
「小僧も…な…」
「…っふ、俺は負けた。お前は、最高にかっこいいぜ…。お前らの好きにしろ。だが、一つ、お願いを聞いてくれるならば…村人たちは関係ない。どうか、村人たちの命は取らないでやってくれ…俺のことはどうとでもしていいから…」
「…お前も、カッコよかったじゃ」
…なんか語尾おかしくね?
「「「じいさん!」」」
「あぁ、お前らは無事じゃったか?」
「うちらのことは気にせんでもええ!じいさんは最近鬼になったばかりやで!?無理すんなや!」
「いや、お前らが勝手にやらせたんじゃろ!!!」
「そうだったっけ〜?」
「ちゃうと思うで。うん!せやかて、じいさん。これからどうするん?」
「そこらへんはお前らに任せるのじゃ。…あ、でも__ということだけ守ってくれはいけないじゃろか」
こうして、おじいさんたち一行は無事に村襲撃を成功させた。
〜数日後…とある村〜
「ねえ、奥さん、聞きました?」
「ええ。聞きましたよ」
「○×村で鬼の襲撃があった、でも負傷者はなぜかゼロ」
「どうやらその村にはあの話題の『鬼退治士』桃太郎さんがいたそうよ」
「あれ?でも負けたんじゃなかった?」
「さあ?」