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桃太郎誕生

「何じゃあ、子供か」

とりあえず潰れたスイカによって赤くなっている岩を目印にして洗濯物を置くことにした。

そして、恐る恐るカゴに入った赤ちゃんを抱き上げた。


「あぶ〜」


「む?何じゃ、かわいいのう。わしらには子供ができなかったからの。まるで孫ができたようじゃ」


「あぶ〜!」


「いや〜かわいいのう。おや?ここに手紙が…」

見ると、赤ちゃんが入っているカゴの中に一枚の手紙があった。

「なになに〜?『どうか可愛がってください。名前は好きに決めていいです』、か…。お前、捨てられたのかい?」


「あぶ〜?」


「いや、子供に言ってもわからんか!じゃあな!」

そう言っておじいさんはくるっと後ろを向いて家に帰っていくのだった…。

としようとしたおじいさんだったが、後ろにくんっと服を引っ張られた。

「ぬ?!」


「おい、貴様。何そのまま家に帰ろうとしてんだい?!」

「はい?」

向くと、十代くらいの帽子を被ったお姉さんがいた。

「え〜と、どちら様で?」


「そんなのはどうでもいいんだよ!それで、お前さんはこの捨てられた可哀想な赤ちゃんを見て何とも思わなかったのかい!?」


「かわいいって思ったよ?」

「そうじゃない!」


「引き取ろうとか、家に連れて行こうとか、そういう気にはならなかったのか!?」


「いやぁ…申し訳ないが、微塵も…」

「はぁ〜、これだから、最近の人間は…」


そうして、なぜかその場でそのお姉さんはおじいさんに説教を始めた。


〜5時間後〜

「あの〜、結局何が…」

「あぁ!?」

「すんません…」

あまりにも長い説教だったのでおじいさんは反論すべく口を出したが、それは明らかに逆効果で、凄まれておじいさんにはなす術がなかった。


『…っく!かくなるうえはこのスイカをぶつけて逃走するしか…』

なんて危ない考えが脳裏をよぎるレベルだった。

ちなみにスイカは持ってきていた二つ目のスイカである。一代目はすでに桃に潰され、スイカジュースとなって川の一部となり、一部は岩に飛び散ってしまっている。

その瞬間、違う帽子と眼鏡をかけたお姉さんが草陰から出てきた。


「ちょっ、エリカ!おまっ何してんねん!」

「…あ、その、これはちg…

「何人様に迷惑かけとんねん!信じられへんわ〜!」

「その、ね?だから話をk…

「すんません、すんません、こいつ、頭に血いのぼったら何も考えらんなくなるアホなんです。どうか許してもらへんやろか?」

「いや…大丈夫じゃ」

「ありがとうございます!ほんま、この恩はどこかで…ほら、あんたも謝りい!」

「申し訳ない…」

「この子もこう言ってますねん。ほんますんませんな」


「ところであんたらは…」

「あぁ、うちの名前は楓や。よろしゅうな!」

「私はエリカだ」

「ほぉ。わしは…ま、名乗るほどでもない。おじいさんとか好きなように呼んでくれ。それで、ここはあんたらのようなわけえもんが来る場所ではないが、何しにきたんだい?もう日が暮れるし、何かの縁だ。手伝うぞ?」


「…いや、大丈夫や。じゃあうちらはいくな。…あぁ、そうだ。じいさん、村へ出る予定はある?」

「ちょっ楓!?」

「黙っとき…それであるんか?」


「いや、特にはないが…」

「じゃぁ、一ヶ月後、村に行かないことをお勧めするねん。じゃな!」


こうして二人組はいってしまった。


『…訳あり、か。まぁ、誰にだってかくしたいことはあるよなぁ…』


おじいさんはそのまま家に帰ることに…


「さて、…尾行するか」


…しなかった。

そう。何を隠そう、おじいさんはお姉さんたちについていくことにした。

「あの感じ、何か隠してることがわかる。だから、もし何かあるならば、このスイカで止めなければ…!あ、この赤ちゃんにもスイカを置いといてやろう。よし、これで大丈夫じゃろ。さ、追いかけねば!」


おじいさんはなぜかスイカに絶対の信頼を置いていた。

そうして、赤ちゃんを置き去りにしたまま、おじいさんは二人の女性を追いかけるのであった。


〜家〜

「にしてもおじいさん遅くないか?」

家ではおばあさんがおじいさんを待っていた。

「はぁ…川に行ってみるか…」


こうしておばあさんはおじいさんが洗濯に行った川へ向かうのであった。

「ここら辺だと思うのじゃが…む!?」


おばあさんが見たもの、それは…赤く染まった(スイカ色に染まった)岩とその場に置いてある洗濯物(置きっぱなしにしたもの)だった…!

「んなっ!?おじいさん!おじいさんどこじゃ!?」

しかし呼んでもおじいさんは出てこなかった。


「まさか…熊にでも襲われて、そのまま…」

おばあさんは絶望に暮れた。

心なしかスイカと桃の甘い匂いがするのは気のせいだろう。そう、気のせいだ。

「くうう…こんなことならば、芝刈りをおじいさんに任せればよかった…」

そう。いくら恨み言を吐いていても、おばあさんとおじいさんは仲が良かった。

だから、おばあさんはとても悲しんだ。


その時、近いあたりから赤ちゃんの声が聞こえた。

「む?赤ちゃん?」

「おぎゃあ!」

「おぉ!こんなところに…何で」

そうしておばあさんは見つけた。

スイカを抱えた赤ちゃんを…!

「あぁ…スイカ…これはスイカかい?そういえば、おじいさんは桃愛好家だったのと同時にスイカ狂愛家だったのお」

ここにきて新事実。おじいさんはスイカ狂愛家だった!いやでも少し察していたというか何というか…。


「まさか、お前はおじいさんの生まれ変わり…!?あぁ、おじいさん…。よし、お前はこれから桃太郎じゃ!おじいさんと同じ名前じゃ、良い名じゃろう?」

またまた新事実。おじいさんの名前は桃太郎だった。って、え!?スイカ太郎的な名前じゃなかったの!?


そうして二代目桃太郎とおばあさんは家に帰ったのだった。

今回は少しギャグ要素を薄めにしました!

今度から面白くなるようなならないような…、ま、期待しといてください!

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