表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

落下

 私は、ただ登り続けた。

不思議と忘れなかったワイヤレスホンで、スマホのプレイリストの曲を聴きながら。

2000をゆうに超える曲をシャッフルモードで聴いていく。

お気に入りの曲たちのおかげで、足取りも軽くなる。

J-POPにV系ロック、ヘヴィメタに懐メロ。

洋楽のポップスにロック、いくら雑食で何でも聴くとはいえ色々入れすぎちゃった。

そろそろ、曲の入れ替えしなくちゃな。

あのアルバムは聴き飽きたし、ひさしぶりにあの人の曲をいれて。

あの曲もよかったし、CMのあれはなんという曲だったかな?

そんなことを考えながら歩いていたからか、それとも音量が大きかったのか。

その車が私のそばを通過するまで、近づいてくる走行音に全然、気がつかなかった。

舗装してある道路とはいっても、一車線しかない狭い道だ。

普通だったら、歩行者がいるなら徐行するだろうし、少なくとも制限速度そこそこで走るはず。

それなのにその車は、信じられないほどの猛スピードで下から走ってきて、私を抜き去っていった。

ぶつかりこそしなかったものの、ほんとにすれすれを通過していった。

急に車が通過して驚いたのと抜き去られる際の風圧で、私はよろけて転びそうになった。

(あ!やば!転ぶ!!)

とっさに左手でガードレールにつかまろうとした。

でも、その手はが空を切った。

よりによってガードレールが2メートルほど切れてる場所!

そのまま私の身体は、何もない空間へと投げだされた。

 

 (うそ!まじで!!)

あまりに急で、びっくりして。

私は声も出せないまま、落ちていった。

ドラマやマンガで「きゃあああ」って落ちていくシーンがあるけど、あれってウソだよねなんて考えが頭をよぎった。

驚きすぎると、声なんて出ない。

一瞬のような、永遠のような。

顔は上を向いているから落ちていく先は、見えない。

どこまで落ちるのか、落ちる先がどんなところなのか、まったくわからない。

見えているのは、私が転んだ路肩だけ。

それもどんどん遠ざかっていく。

(落ちたら、やっぱり死んじゃうのかな?ケガですむのかな?痛くないならいいなってまだ死にたくないし!ていうか、なんで落ちてるの?)

頭の中がぐちゃぐちゃで、パニックになった私の身体を衝撃が襲い、目の前が真っ暗になった。

 

*************** 

 

 なにか、聞こえたような気がして、目を開いた。

ぼやけてて、よく見えない。

だんだんとはっきりしてきた視線の先にあったのは、雲が浮かんだ青い空だった。

どうやら、どこかに横になっているらしい。

 

『やっと起きたか』

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ