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病院を退院。
1週間で5キロ体重が減る程に地獄のような入院生活、生き地獄で
あった。生きて帰れて良かった。日常とかけ離れた異世界であり、
なんだよ、意外と簡単に異世界に行けるじゃないか、と。
2度と行きたくはないが。
入院当初からハプニングで、右腕に点滴がなかなか入らず内出血。
「ちょっとベテランのナース呼んできます」ってお前もナースじゃ
なかったのかよ!?と、ツッコミどころ満載。
カーテンに4方向仕切られた冷房の聞かない蒸し風呂状態の4人部屋、
お腹と腕の痛みに耐えながら、右手は点滴で動かせる範囲が狭い中、
石のように硬いベッドと石のように硬い枕の上で悶々と不眠の日々。
せめてマイ枕は持ってくるべきだったと後悔。
まさか令和のこの時代にこんな古い設備に頼ってるとは思わなかった。
救急も受け入れてる地元で1番大きな病院よ?さすが田舎。東京一極
集中の弊害?病院内の売店にも行ったが・・・さすがに枕はなかった。
さらに手術日とその翌日は点滴のみの絶飲食で喉がカラカラ。
おい!干からびて死んでしまうわ!(今まで1日3リットルは飲んでた)
別の部屋では認知症の方がいるのか大きな声を出している人も。
いや、自分も大きな声を出したい気分なんだが・・・。
なんとか寝るために、脳内をファンタジー妄想で埋め尽くし、必死に頭を
動かすことに。「頭よハイになれ、異世界に羊が1000匹」だめだ眠れん。
スマホでも見てみるか・・・あ、自分、3Gのガラケーだったわ。
久しぶりに過去のメールの送受信でもみて気を紛らわそう。
そんな感じで朝まで起きてるときも、無意識のうちに寝てる時もしばしば。
体の中からありとあらゆる悪いものと良いものがほとんどなくなり、体から
どうしても消えることのない産業廃棄物だけ残った気がする。
まあ、体は軽くなったのでよしとした方がいいのか。
退院後、職場に提出用の診断書や生命保険用の診断書の手続きをすることに。
診断書を貰って入院保険金の段取りをしたら、入院で失ったお金が結構戻る。
いや、若干儲けるかもしれない。そう思っていたのだが・・・
「職場に提出する診断書は2~3日でできますが、生命保険用の物は3~4週間
かかります」
お金が入るの、めっちゃ先じゃないか。なんか涙が流れそうで流れなかった。
家に帰ってから死んだように寝入った。