二話 モンスター創造
ブックマークと評価が一人ずつつきました!
本当にありがとうございます!
モチベーション上がりましたよ!
とりあえず、二話です。
※主人公は寝ぼけて口調が一定しないかもです。書いてて、なんか主人公、違くね? とも思ったけど、これが主人公だ! とも思ったので、このまま生きます。
疑問点等ありましたら、教えてください。
では、どうぞ。
俺がダンジョンマスターになったと認識してから三回寝た。
そして今のが、三回目の覚醒だ。
まあ起きただけだが。
気付いたことは幾つかある。
まずこの空間――核玉の間というらしい――は、常に明るい。
だんじょんこあが置いてある空間は常に明るいのだ。
暗くなることはないらしい。
寝にくい。
次に、ダンジョンマスターというのはダンジョン内のカースト制度において絶対の権限を持っているらしい。
つまり、俺はダンジョンで一番偉いのだ。
ダンジョンに所属する――服従、隷属とも言う――生物やモンスターは、俺へ絶対服従し、命令に背くことができない。
これは、メイスに聞いたことだ。
メイス曰く、喋りたくないけど命令されたから喋ってる、とのこと。
自由にしていいよって言ったら、一言も話さなくなった。
報告・連絡・相談は最低限話せと命令し直した。
気安い感じに話しかけてくれる。
あと、このダンジョン。わりと崖っぷちだ。
地脈だか星脈だかの影響で、迷宮得点という迷宮機能を使うための点数が貯まっていく。
分かりやすくダンジョンポイントと呼ぶことにした。
一時間ごとに一ポイントだ。
じゃあ毎日二十四ポイントだな、と言ったら、一日は十四時間だと返された。
さすが異世界。
自転が違う。
と思ったが、そうでもない。
一日、十四時間。一時間、七七分。一分、七七秒。
一週間、七日。一ヶ月、七週間。一年、七ヶ月。
メイスに計算して貰ったが、前世とあまり変わらなかった。
それにしても、この世界。どんだけ七が好きなんだ?
前世基準で、こちらの一日はおよそ二十三時間だ。
はぁ、二十時間くらい寝たい。
まぁ、メイスに起こされてしまうが。
それで何が崖っぷちなのか。
このダンジョン。作り始めてすらいないのに、外界と繋がっているらしい。
ほら、小鬼が俺の餌になりにきただろ?
どうやらあれは侵入者なのだそうだ。
だが、メイスに発声器官を付けたことで、ダンジョンポイントを三〇〇〇も使ってしまった。
残りおよそ五五〇ポイント。
さて、何をするかと言うと、
「……穴、掘って」
たった三日で、前世の俺の言語を習得したうちのオートマータが言った。
ダンジョンは外界とは別の空間に存在している。二階層以降は。
基本的には、ダンジョンポイントで階層を追加し、また部屋を追加する。
そのポイントがまだ足りていない。
だから、今は少しでも一階層を拡張する必要があるのだ。
ダンジョンは一階層の最大が、一辺十キロメートルの立方体。
だが、維持費用というものがあるらしい。
なので、一辺一キロメートルの立方体までが、目安らしい。
この大きさまでなら費用はかからないから。
あ、単位も俺の前世のものに合わせて貰った。
そっちの方が分かりやすい。
テーロとかホーンとかボアールとか、覚えられん。
細かいことは面倒なので、全てメイスに丸投げた。
マスター権限とやらの、ほぼ全てをメイスが使えるようにした。
メイスが持っていないのは、命令権やダンジョンマスター変更権くらいだろう。たぶん。
そして俺は今、食事中だ。
食事中と言っても仕事もしている。
ダンジョン拡張だ。
つまり、土と岩を食っている。
食えば食うほど、ダンジョンが広がるという寸法だ。
素晴らしいな。
まさに食っちゃ寝生活。
俺はなんて、働き者なんだ……!
「…………掘って。…………早く」
……はーい。
なんか、尻に敷かれている気がする。
「そういえば、なんで一階層のフィールドが『地底』なんだ?」
「……私、地属性。
……だんじょん、地属性」
ふむ。ダンジョンコアの属性に合わせて、ダンジョンの初期フィールドが決まっているのか。
だからって洞窟と繋げるなよ。
「いや、山でも良くね? 砂漠とか」
そう。
空があっても良いと思うのだ。
水場があっても良いと思うのだ。
しかし、このフィールド。上から下まで、全て土で埋まっている。
いや、石とか岩とか洞窟とかあるけど。
天井に穴は無い。
日も射さなければ、水もしみでない。
「……水場、作る?」
「いや、いらない。
何だかんだと文句は言ったが、一階層でも多く増やしたい。
どうにかして、掘る」
「……もんすたー、作る?」
「いや、いらな…………。モンスター?
モンスターって作るものなのか?」
「…………」
メイスはコクコクと頷いた。
こうして見ると小動物のような可愛さがあるな。
前世の家のペットのリルみたいだ。
世話なんてしたこと無いが。
ああいや。それは置いておいて。
「もしかして、掘削してくれるモンスターっている?」
「…………」
「よし。命令だ。喋って説明しろ。
さすがに、同じ味ばかりで飽きた。
それにそろそろ寝たい」
「……分かった。
……もんすたーを配下にする方法。
……三つある」
メイス曰く。
一つ目、ダンジョンマスターとダンジョンコアの権限でモンスターを作る。
二つ目、ダンジョンポイントで召喚、あるいは創造する。
三つ目、外界のモンスターを服従させて、命令が適用されるようにする。
なるほど。
分かりやすい。
「とりあえず二つ目だ。
背に腹は変えられん。
とりあえず掘削要員がほしい。
何を喚び出せる?」
「……どらごん」
「…………マジか!?」
「……ただ、一〇〇〇ぽいんとでも足りない。
……下位竜の成竜はBランク。
……最低でも一〇万ぽいんとかかる」
「高ッ!!」
さすがに無理だわ。
十万だと…………、二十一年くらいかかるな。
「てか、何でドラゴン喚べるの?」
「……ますたー、王竜。
……下位竜、喚べる」
「詳しく」
「……竜種にも階級、ある。
……亜竜、下位竜、上位竜、王竜。
……ますたー、王竜。
……だから二階級下、下位竜、喚べる」
「なるほど。
ダンジョンマスターが竜だから、竜が喚べるのか。
じゃあ、メイスの二階級下は喚べないのか?」
「……私、おーとまーた、特殊個体。
……あと弱い、階級低い。
……たぶん、それで喚べない」
なるほど。
例えば、俺が下位竜なら、二階級下のモンスターがいないから喚べない。
メイスも似たようなものか。
「そういえば、ランクって何?」
「……戦闘能力の基準。
……およその強さ、表す。
……ますたー、B。
……私、E。
最弱、G-以下。
神様、SSS以上、測定不能」
へぇ。俺ってやっぱり強いのか。
まあ、〈大神〉と比べるのは馬鹿らしいな。
さて、別の方法でモンスターを作ろう。
「とりあえず、ポイントの使用は諦める。
三つ目はできそうだが、小鬼が数匹いても進む気がしない。
だから一つ目の説明をしてくれ。
喋れよ?」
「……分かった」
ここからの説明はとにかく難しかった。
ただ、メイスはどうしても喋りたくないらしい。
なるべく分かりやすいかつ簡潔に伝えてくれた。
まあ、俺もドラゴン。
五回も聞けば覚えられたよ。
とりあえず実践した方が絶対早い。
まず生物には大まかに三つの『ファクター』がある。
『フォーム』『エッセンス』『アトリビュート』の三つだ。
何故かこれはカタカナ英語だ。
そういえば、『メイス』も流暢に発音してたな。
元々こっちの世界の言葉はうまく話せるのか?
名前とか……。
まあ、それは置いておこう。
この要素は、基本的にはダンジョンマスターとダンジョンコアの物だけが、使用できる。
メイスのは順に『機械装甲(特殊)』、『勤勉』、『地』。
俺は、『竜』『人』、『王』『怠惰』、『星』『地』。
何故か俺には、三要素が二つずつあるが、たぶん転生の影響だろう。
前世の俺は確かに怠惰な人間だった。地属性だったかは分からん。
まあ、置いておこう。
モンスターを創造するのはわりと簡単だ。
この三要素を組み合わせ、魔素を込める。
そして最後は運頼みだ。
要素とか魔素とかを理解するのに時間がかかった。
要素は初めから例をあげて貰えば分かりやすかったな。
確かに俺は、怠惰な人間だった、星属性の竜の王族だからな。
魔素は……あれだ。
生命の源とか、モンスターの餌とか、肉体を構成する元素的なものだ。たぶん。
「それで、『ファクター』ってどこにあるんだ?」
「……核玉、……私の本体に触れて?」
メイスがこの部屋の中央にある水晶玉を指指す。
俺は近づき、傷付けないように、そぉーっと爪で触る。
もしこの玉が砕けたら、メイスは死に、ダンジョンは消滅し、ついでに俺も消滅する。らしい。
そぉーっと、だ。そぉぉーーっと。
「……ファクター、一月、三個まで出せる。
……今は、十五個まで。
……どんなモンスター、欲しい?」
「あぁー。掘削要員」
素直に答えた。
とりあえず、穴を掘る。
最近気づいたことだが、外界と繋がればゲーム参加者が侵入する可能性がある。
ダンジョン拡張は急務だった。
寝てたけど……。
「……んー?
……『地のアトリビュート』『勤勉のエッセンス』。
…………フォームは?
…………うーん」
「『機械装甲』はダメなのか?」
「……『機械装甲』は特殊。
……単体だと使えない。
……だんじょんの機能、少ない、から、『カオス』、作れない」
「『カオス』って何だ?」
「……半人半獣。
……半魚半魔。
……鷹頭で獅子の胴、とか?」
なるほど。
ケンタウロスとかグリフォンとかか。
「とりあえず、『竜』で良くないか?」
「……ん。……強そう」
核玉――正真正銘のダンジョンコアに触れて、念じた。
現れたのは、透明な球体の容器と、液体の入った小さな瓶、黄色く光る小さな球体。
「これが『ファクター』か」
「……………………」
メイスも驚いているのだろうか?
無言でコクコク、コクコク、と何度も頷いている。
これは、幻想的だ。
これはモンスターを作る『ファクター』。
要素か因子なのだろう。
五回も聞いたメイスの説明を思いだし、行動に移る。
まず、無色透明の容器――『竜のフォーム』を床に置く。
次に、サラサラとした白い透明な液体――『勤勉のエッセンス』が入ったポーション瓶のような瓶。
爪で一閃。
栓を開けたら、『フォーム』に注ぐ。
すぐさま『フォーム』を満たすあたりに、勤勉さを感じる。
次も『アトリビュート』を入れるだけだ。
黄色く光るそれは、大きさに見合わない存在感を放つ。
『地のアトリビュート』。
大地の偉大さを感じる。
それを『エッセンス』を注いだ『フォーム』に入れる。
飛沫を立てた後、その光は、『フォーム』と『エッセンス』を黄色く染め上げた。
光る球体は、ダンジョンコアにも負けないほど神秘的だ。
右前足を伸ばし、魔素を与えていく。
不断、俺が駄々漏れさせている妖気や竜気というものは、魔素で構成されているらしい。
気とは、体内から溢れて漏れ出している魔素のこと。
魔素を与えるには、体内にある気の元を無理矢理外へ出すようなものだ。
四回目の説明で、できるようになった。
『フォーム』が、俺の妖気や竜気で満たされると、少しずつ小さくなっていく。
できたのは小さな結晶。
『気石』と呼ばれる、モンスターの核だ。
気石は周囲から魔素を集めて肉体を形作り、新たなモンスターが誕生する。
ずんぐりとした胴体に尖った鼻。
四肢は短いが、手のひらは大きく爪は鋭い。
全身は細かそうな毛で覆われている。
尻尾は四肢と同様に短く、棒状だ。
退化しているのか、光を移さない目。
その近くから伸びる雄々しい一対の角。
俺と同様に土気色のそいつは、まさしくモンスター。
俺の前世ではありえない体長と、特徴を兼ね備えていた。
一言で言えば、竜角と竜爪を伸ばした巨大な土竜である。
あ、モグラのことだよ、土竜。
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