第八十七話 総理大臣vs.ガンマ線バースト
お久しぶりですね。
大切なパソコンが故障してしまったりしてショックを受けていたのですが少し立ち直れてきました。
ちょびちょび書いていたら結構長くなりました。
「おかしいですね。私は変態様たちと一緒にディアボリと戦っていた筈……お、戦国さんに令和さん。それに……ご存知ない方が……物凄い力を感じます。あのディアボリと同等かそれ以上……只者ではありませんね」
困惑していたカリミアであったが、見知った顔を見かけ安心する。
しかし直ぐに大化の存在に気付き警戒する。
何も知らないカリミアにとっては、ディアボリと同等は確実の敵が増えたようなものだった。
「(……もう、終わりですね)」
内心絶望する。
「ご安心して良いでございます。私は味方でございますからねでございます」
自分の発する魔力を抑えながら笑顔で言う。
「ぷっ。くく愉快なお方ですね。少なくとも敵ではないのは分かりました。私はカリミア・エクタシィ。貴女のお名前をお聞かせください。ございます様?くく」
大化の口癖がツボにハマってしまった。
と……次の瞬間カリミアの足元の地面に拳程の大きさの深い穴が空いた。
怒った大化が高速でレーザーのようなものを放ったのだ。
「ひょえっ!」
思わず変な声が出る。
「実はちょっと気にしているでございます。流石にそこまで笑われると……」
ここまで大化は怒ってはいるものの、顔と声はいつも通り冷静であった。
流石七次元の存在である。
しかしカリミアはそれが恐ろしかった。
次の瞬間一気に感情が爆発するのでは? と心配になる。
『怒るでございます!』
大化は遂に怒りの感情を爆発させてしまう。
その際の迫力が凄まじく、衝撃を呼び、空間が揺れ、地面に伝わった衝撃で大地が解され大化を中心とした半径十キロ程が液状化してしまう。
地盤の硬さによって被害は様々であるが、酷い所では最早液状化現象の域を超えて冠水している。
さらに近くの一級河川が決壊し氾濫を起こした。
爆心地から数十キロの間に飛鳥たち以外の人は居ない。
と言うのもディアボリとの戦いの時点で広範囲が更地になってしまっており、もうその時点で助からなかった者も多いがこの時点で国が避難指示を出していた。
普通の人間からしたら未知の災害である。
避難所には直ぐに自衛隊が派遣された。
今回の大化の怒りの大災害で総理大臣が対応に動く。
「伍堕忌禍津厄神であったディアボリの時は手を出す訳にいかなかったが、今こそ接触する時だ。必ずカリミアたちをシルル様から守り抜く!」
首相官邸の自室にてそう決意したのは、延展神護。カリミアの実の父親で、伍堕忌禍津厄神第四位。禍魔神とも呼ばれる存在である。
「では、行くか」
そう言って、首相官邸のある東京都千代田区から、カリミアたちの居る北海道まで瞬間移動をする。
「こ、これは……」
カリミアの魔力を頼りに瞬間移動をしたのだが、液状化の規模がおかしく、辺り一面冠水しておりカリミアの姿は見当たらない。
「冠水しているのは分かっていたが、ここまでとはな……カリミアが溺れ死ぬ何てことは無いだろうが、心配だな……」
娘を心配するのは当たり前のことだが、以前の神護からは考えなれないくらいの変化である。
「うおわぁあああああああああああああああああ! 何とッ! 何と言うことでございますッ!」
「あれは!」
やってしまったという感じで慌てている大化を発見する。
「明治大化だな……カリミアは何処に居る?」
神護は少し呆れていた。
第四位の神護はディアボリよりも遥かに実力が上で、大化と同じ七次元の存在である。
にも関わらず口癖が意味不明などころか感情的になって災害を起こすなど、同じ次元の存在として恥ずかしい。
「なっ……伍堕忌禍津厄神の第四位! 禍魔神ではないかでございます!」
七次元の存在は高次元の全知のネットワークのようなものにアクセスでき、様々な知識を持ってはいるが、大化は伍堕忌禍津厄神について戦国と飛鳥の記憶によって禄でもないクソみたいな存在であると言う認識を持っており、高次元のネットで神護の名前と容姿だけ調べ、詳細はきちんと調べもせず嫌悪する。
「平成戦国程度の能力で強引に創造したからか? 色々と不具合が発生しているようだ……知能が七次元の領域に達していない」
覚悟を決めた眼になり、左手で大化の頭を鷲掴みにする。
「な、なんなのでございます? そんなに硬くて大きいので力強く掴まれたらときめいてしまうのでございます!」
赤面しながら言う。
中身はともかく、イケメンの大正の身体を女体化しただけあって結構可愛らしいのだが神護は気にも留めない。
「もはや滑稽だな」
神護はそう言いながら右手で大化の顔面を殴り飛ばした。
ドゴオオンと爆発の
ような衝撃音が鳴り響き「なっ何でございますぅうううう!」と叫びながらぶっ飛ぶ。
一瞬で一キロ程飛ばされたが、「ございますッ!」と言いながら全身に思いっきり力を入れる。
すると大化の身体が空中でピタリと停止した。
「お、成功でございます♪」
嬉しそうに成功を喜んでいるが、何をしたのかと言うと、まず自分の身体を後ろの方向へ飛ばす運動エネルギーが存在している訳だが、そのエネルギーを消すことができれば止まるのだ。
詰まり、全身に力を入れることでエネルギーを抑え付け、消したのである。
転がるボールを足で抑え付けると止まるのと少し違う気もするが同じようなものだと思えばいい。
「ございます♪ ございます♪」
成功したのが余程嬉しかったのか、笑顔でそう言いながらくるくると横に回転する。
「何を楽しそうにしているんだ……」
神護が瞬間移動で回っている大化の前に出現し、謎の回転に困惑する。
「あ、もう追いついたでございますね。流石伍堕忌禍津厄神の第四位でございますッ!」
回転したまま流石と褒め、そのまま神護に体当たりをする。
「なっ何ィイイイイイイイイイイイイイ! 目の前に瞬間移動したせいで、避け切れない!」
実はこの体当たりの速度は七次元の存在が瞬間移動をする間も与えない程の超速度だった。
風圧どころか大化と大気の間で摩擦が生じ、その摩擦熱で冠水している大量の水が一気に蒸発し、水蒸気となる。
そして、気体を構成する分子が電離し、プラズマ状態となり、電磁波が発生。
波長の長さ的にガンマ線だったのだが物凄い大量に発生した為、ガンマ線バーストとなってしまったのである。
しかも大化は回転することによってガンマ線バーストを発生させたので、ガンマ線バーストは大化を中心に全方位に発生した。
しかもまだまだ大化は回転し続ける。詰まり新しいガンマ線バーストが発生し続けるのだ。
「(グッアアアアアアアアア)」
神護は最早声に出して叫ぶことすら叶わない。
声を発するよりも目の前で発生したガンマ線バーストが直撃し、跡形も無く消滅する方が早いからだ。
ギリギリ心の中で叫ぶことはできた。
ガンマ線バーストは太陽が百億年で放出するエネルギーを上回ると言われている。
それが全方位に放出され、今も放出され続けている。
初めの一発で地球は跡形も無く消滅し、それによってまず月が迷子になる。
地球と言う親を失った月は祖父の太陽に吸い込まれる……と思いきやその太陽すら一瞬にしてガンマ線バーストが直撃し、死を迎え……ただけなら良かったのだが、太陽は恒星である。
死に際に超新星爆発が発生するのだ。
しかし皮肉なことに、超新星爆発のエネルギーが発生するよりも先にガンマ線バーストによって月も他の惑星も、それに付いている衛星、小惑星帯も逃さず、冥王星たち準惑星よりも更に果てしなく外側まで被害が及び、最終的におとめ座超銀河団丸ごと滅ぼしてしてしまった。
ここまで来ると、夜空の自ら光る星ほぼ全てが超新星爆発をしていることになる訳だが、ガンマ線バーストが未だに新しく生成され続けている以上超新星爆発がショボく見えてしまう。
「あ、やっちまったでございます……ヤッバイでございます……天の川銀河どころかアンドロメダ銀河すら超新星爆発の影響か、なんかエグいことになってるでございます……おとめ座超銀河団丸ごと消えた……ずっとずっと遠くの銀河にまで影響及んでもおかしくないかもでございます」
数分の間、地球があった場所で呆然と立ち尽くす。
いや、足場なんて無いのだから浮き尽くすとでも言おうか。
そして、次の行動を決める。
「やっちまったものは仕方ないでございますし、過去に戻るしかないでございますねでございます」
前に向かって歩くと前進するわけだが、そんな感じの感覚で【過去に向かって移動し始めた】
四次元からは歩く感覚で時間を移動することができるようになる。
実際には歩く動作をする必要は無く、移動するという意思を持つと目的地ならぬ目的時へと移動を始める。
「あ、あれ? 進めないでございます……」
時空間に障害が発生し、進めなくなってしまう。
例えるなら、土砂崩れで道が塞がれてしまう様な感じだ。
次回もお楽しみに。




