第七十九話 見つけましたよ盗られた私の服!
「ごふぉぁあ……」
大量の血を吐き出したディアボリであったが、よく見ると心臓の辺りから女の様な細い手が生えている様に見える。
「何だ……これ。目の錯覚か?」
お陰で助かった戦国だが、状況が理解出来ない。
「何だ! 何が起こった!?」
「な、何々何!」
「奴の心臓の位置にあの手を誰かが召喚
したと言う事でしょうか?」
戦国と同様に大正と飛鳥は混乱しているが、カリミアだけは冷静に考察していた。
その直後――
『うわあああああああ!』
「ぐゔぉああああああ!」
ディアボリの身体が真っ赤に光ったかと思うと、一気に爆発し、赤い光は辺りを覆う。
皆の戦闘力ならこんな光にここまで驚くことなんてない筈だが、ディアボリが吐血した件で驚いていたところに来たので大袈裟に驚く。
ディアボリに至っては今にも死にそうな叫び声を上げている。しかしそれもその筈、自分の身体が謎の光を発し、爆ぜたのだから。
どうしようもなく最低な奴ではあるが、死際にくらいは叫ばせてあげよう。
一分程経ち、光は収まっていく。
だがディアボリの亡骸は何処にも見当たらない。
ディアボリの居た場所、詰まり戦国の目の前には代わりに上半身裸の女が居た。
「え――」
戦国は状況が理解出来ずポカンとする。
『見ちゃだめぇ!』
「あゔぁ!」
目の前の女の身体は普通に美しかったので戦国は見惚れてしまったのだが、令和が嫉妬し、剣になったままぶっ叩いてしまう。危ないので勿論刃ではない部分でだが、それでも令和剣の威力は凄まじく、数メートル吹っ飛んでしまう。
しかし、戦国と令和がイチャついているのを気にも留めず、大正が口を開く。
「お前は……ドラゴナ……」
「ええ、そうですわ。実は私邪神のほ」
しかし目の前の女、ドラゴナが喋り終える前にそれは起こった。
「おわああああ!」
突如大正の頭上に洋服屋の紙袋が出現し、大正の頭をすっぽりと覆ってしまう。
その紙袋には「ASUKA」と大きく書かれている。
飛鳥が大正の頭上に紙袋を創造したのだ。
「excellentです飛鳥!」
そう言ってカリミアはドラゴナを魔法陣で囲む。
「ナンデスノォ?」
ドラゴナは訳がわからず同様する。
「召喚! 服!」
カリミアがそう言うと、ドラゴナに女物の服が着ささる。
服を召喚……詰まり、何処かの女の子が着ている物を奪ってしまったことと同義である。
詰まり、何の前触れもなく突如として服を剥ぎ取られた女の子が居ると言うことだ。
飛鳥とカリミアの役割は逆の方が犠牲者が出ずに済んで良かっただろう。
「お、おい何をするんだぁ!」
少し怒り気味に言いながら「ASUKA」の紙袋を脱ぎ捨てる。
「令和さんと同じ理由だよ! あんな下品な女体、大正君には刺激が強すぎるもんっ」
飛鳥は大正の膨らんだ股間を見ながら恥ずかしそうに言う。
「ぉひゃぁ!」
飛鳥に見られ、変な声を出しながら両手で股間を隠した。
「それで、先程何か重要そうなことを言い掛けていた様ですが……」
カリミアがドラゴナに問う。
話を遮った直接の原因は飛鳥だ。カリミアはその隙に服を着せただけなので自分で話を遮っておいてもう一回聞くなどと言うふざけた行為では決してないのだ。
「では重要なことをお教え致します」
ドラゴナが真面目なトーンで話始め、思わず皆真剣に耳を傾ける。
「実は私邪神のほ」
言いかけていた台詞を言い直そうとしたその時――
『ズドォオオン!』
と激しい音が鳴る。
既にメチャメチャに破壊された状態だったこの学校が完全に吹き飛んだ音だった。
そう、文字通り吹き飛んだのだ。
しかし校内に居た大正やドラゴナ達は全くの無傷だ。
彼らなら学校が吹き飛ぶ程度で死にはしない。しかし唐突に起きたことだったので判断が間に合わず邪竜であるドラゴナ以外は大怪我くらいはしても可笑しく無い筈だった。
ドラゴナ以外は皆動揺する。学校が吹き飛んだのは分かるが、何が起きたのか良く分からなかったのだ。何故自分達は無傷なのか。弥生とヱミリアは無事なのだろうかと。
大正達が動揺しているところに一人の美少女が歩いてやってきた。
ドラゴナも含む全員がその美少女を見て目を丸くした。
皆の反応も無理は無い。年齢は高校生くらいで長い水色の髪、そして全員が知っている顔だ。
そして――もっとも不可解なのが、何故か上半身裸だと言うこと。
「見つけましたよ、盗られた私の服!」
その美少女、シルル・デヴォンは恥じらいながらそう言い放った。
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