第五十七話 頭の可笑しいカオスな編入試験
第五十七話目です。
生前に通っていた高校に再度通う為、編入試験を受ける弥生達であった。
しかしその試験内容が……
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「……と言う感じで今に至るわ」
弥生達は高校の編入試験を受けながら生前の担任であった桃山安土先生にこの学校まで来た経緯を説明していた。
回想が長すぎて忘れかけていたが、ここしばらくの話は回想だったのだ。
「オゥ……今に至るまで、なんて、凄まじいことを経験してきたんだ……とてもじゃないけど信じられる話ではない。だが縄文さん。高圧ガストラックに跳ねられた上、中年の糞おっさんの煙草が高圧ガスに引火して爆破し、オーバーキルされた筈の貴女が蘇生し、おまけにエルフになっているんだ……行方不明になっていた明治と古墳、それにツノの生えた人外が目の前にいる……なんとなくだが分かる! アレはコスプレではない……と言うか古墳まで魔族になってるし、これはもう信じない訳にはいかないか……」
安土は弥生達の現実離れした話を信じてくれた、いや、ゲームや小説の中の存在だと思っていた魔族や死んだ筈の教え子が目の前に居るのだ。信じざるを得なかった。
だが別に弥生達は安土に信じてもらえなくても良かったと思っている。
無理に信じてもらわなくても、弥生の願いを叶える能力で強制的に信じ込ませるという手もあったのだから。
弥生にとってはわざわざ能力を使う手間が省けたので少し得をした気分だ。
「ねえ弥生~ここ分かんないんだけど、と言うか、異世界から来た私に日本の歴史なんて分かる訳ないじゃない!! 徳川とか織田とかザビエルもペリーも妹子とか後卑弥呼とか聖徳太子とか一万円札とか訳わかんないわよ!! 全員同じ顔に見えるんだけど!!」
ヱミリアが叫び出す。安土は結構適当な性格なので、五教科のテスト用紙を同時に配ってしまっており、皆先にやりたい教科からやっているのだ。
その中でもヱミリアは社会科の中の歴史の問題を解いているのだが、異世界人なので当然、歴史なんて分かる訳がない。
「あ~えーとね~ここの問題は~なになに? □の中に超能力者が複数居ます。以下の□の中から全て選んで記号で書きなさい。う~ん。卑弥呼と聖徳太子と~後織田信長もそうなのかなぁ?」
「縄文!! てめぇがエクタシィに回答を教えるということはァ! 詰まりカンニングということになるんだが? 二人揃って試験失格だぞ? ああ?」
弥生がヱミリアに回答を教えようとすると安土が激怒した。
だがこれが普段の安土のテンションだ。元気になって何よりだ。
「う~んと。ペットボトルの正式名称はポリエチレンテレフタレート……イギリスの正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国……なんだ。簡単だね。こんなの中一の問題じゃない? この学校ってこんなにレベル低かったっけ?」
飛鳥は理科の問題を解いていたのだが、理科のテストのクセにちょくちょく地理が混ざってくる。しかも問題が簡単すぎるし、この問題を作った教師は何を考えているのやら? もしかしたら復讐の意味も兼ねているのかもしれないが……
「ん? 今地球上にある大陸を全て答えろ! ですか? まず、アフロ・ユーラシア大陸。インド亜大陸。アフリカ大陸。北アメリカ大陸。南アメリカ大陸。オーストラリア大陸。南極大陸。アトランティス大陸。レムリア大陸。ムー大陸。あ、インド亜大陸とアフリカ大陸はアフロ・ユーラシア大陸に含まれていましたね」
カリミアはヱミリアとは違い、母が日本人、妹も日本に居るということで日本に興味があり、カリミアから見て異世界。詰まり日本が存在するこの世界のことを少し調べていたのだが、実在する大陸と伝説の大陸がごっちゃになってしまっている様だ。
「う、うっわ! 何これ、こっから難易度可笑しいって!!」
今まで静かだった大正が突然叫び出す。
「どうしたの?」
弥生が心配そうに声を掛けてみる。
「いやな、理科、なんだけど……最後の方がヤバイ。まず、宇宙が誕生したのは何百億年前でしょう? ビックバンについて簡単に説明しなさい。ビックバン以前には何があったか、また、ビックバン以前には時間と言う概念が存在しないということを理解し、言語化しなさい。地球の衛星が誕生した原因を答えなさい。ジャイアントインパクトの際のエネルギーをマグニチュードで表しなさい。四十六億年前から現在までの地質年代表を細かく書きなさい。例えば原生代の場合、シデリアンからエディアカランまで、中間のカリミアンやエクタシアンも忘れるなよ? また、第四期ならカラブリアンとかまで細かく書くこと。過去に地球上に存在した超大陸を全て答えなさい。ヌーナ大陸とも呼ばれているのはローレンシア大陸とローラシア大陸のどっちか〇で囲みなさい。内陸型と海溝型、火山性の地震の発生原因について書きなさい。人類は地球にとって害であるか? 顕生代の五大大量絶滅とその原因について簡単に説明しなさい。また、一番ヤバかったのは何回目? ビッククランチとは何か。アンドロメダ銀河と衝突するのは何億年後?……って知るかァアアアア!! これ、理科だけ難易度可笑しくないか!? 分かる訳ねえよ! 俺たちが異世界に行ってる間この学校に何があったっていうんだよ!!」
ヤケになってテスト用紙をビリビリに破きながら叫ぶ。それもそうだ。ちゃんと勉強しておけば解けそうな問題もあるが、少なくとも「ビックバン以前には時間と言う概念が存在しないということを理解し、言語化しなさい」は絶対に解けないだろう。
「大正君、ヤバいのは理科だけじゃあなかったわ。数学もよ。相対性理論を式で表せって問題……こんなの高校の編入に使う問題じゃないわ!」
「弥生ぃ~国語もヤバイよぉ~。古典の問題で、竹取物語を考えている時の紫式部の思考回路はどうだったか? ってもはや国語じゃないよね!! 意味わかんない! この問題考えた人馬鹿だよね! 絶ぇえええ対馬鹿だよねえ!!」
弥生とさっきまで簡単な問題を解いていて調子に乗っていた飛鳥もこのテストの異常さに気付き始めた。
「私達以外の時よ止まって!」
弥生がそう願うと、弥生達五人以外の時が静止した。
そう、今までやらなかっただけで、弥生は時すら止めることが出来るのだ。弥生の能力には不可能はない!
「時は止まった。皆、ちょっと集まって」
弥生がそういうと、皆駆け足で弥生の周りに集まる。
もっとも、全員すぐ近くに座っている為全員が駆け足で集まるのはぶつかったりして少々危ないが、ついつい皆急いでしまう。
しかし時が止まるなんて初めての経験なのだから何があったと焦るのは当然のことだ。
「皆そんな走ったら危なっ――」
しかし弥生の忠告は遅かった。
「きゃっ!」
「うぉっ!」
ドンッ! と大正とヱミリアが横からぶつかってしまう。
「いたたた……」
「ってぇなぁ……誰だよッ――」
気が付くと、二人とも赤面していた。
それもその筈。転倒した際に、大正がヱミリアを押し倒す形になってしまったのだから。
「あ、ご、ごめ……今避けるから」
そう言って、大正は起き上がるために腕に力を入れる。
「んみゃ♡」
「は?」
大正が腕に力を入れたと同時に、ヱミリアが喘いだ。
これには大正も驚き、「は?」としか言えなかった。
「ヱ、ヱミリア……何喘いでんだよ……そ、そう言えばさっきから手の感触が可笑しい様な……何か、妙に柔らかくて、いつまでも揉んでいられる……」
そう言いながら大正は自分の掴んでいる柔らかい何かを只管揉みしだく。
「んあああああああ♡♡」
すると大正の手の動きと連動するかのようにヱミリアが気持ちよさそうな声を上げる。
「は! ま、まさっ! まさかぁ!!」
そこで大正はようやく自分が何をしているのかということに気付くことが出来た。
「わああああ!! ごめん」
「あっ♡」
大正は慌ててヱミリアの上から避け、立ち上がった。
その際、やはり腕に力が入り、ヱミリアが声を上げてしまう。
そう、大正は転倒した時点でヱミリアの胸に手をついてしまっていたのだ。
おまけにヱミリアは大正に惚れている。故に立ち上がろうとしただけで感じさせてしまっていたのだ。
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