第五十六話 上空二万メートル(成層圏)で楽しい楽しい空の旅
第五十六話目です! 今回は普段より地文が多くなってしまいました。
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弥生達はホテルを発った後、適当に上空ニ万メートル辺りを飛行していた。上空二万メートルと言うと、高度が高すぎて地球の丸い形がハッキリと分かってしまう程だ。
勿論上空ニ万メートルと言う物凄く高いところを飛んでいるのにはしっかりと理由がある。
まず、空を飛んでいるところを人に目撃されるのはマズイ。動画を撮られ、SNSに投稿されでもしたら一気に拡散され、あっという間にネット上で有名となり、その内朝の情報番組等で取り上げられ、今後この世界で行動しにくくなってしまうだろう。
そして、飛行機と言うのは上空一万メートル辺りを飛行する。流石に飛行機よりも更に一万メートル高ければ動画を撮られはしないだろう。
しかし人工衛星と言うものがある。運が悪ければ人工衛星に写真を撮られ、科学者達に見られてしまうかも知れないが、こればかりはどうしようもない。
自分達の都合で人工衛星を破壊すると言うのも可能だが、流石に罪悪感がある。
だが最悪、ゾンビドラゴンの時の様に『写真に撮られたことを無かったことにすれば良い』
因みに、この時の弥生達には魔術や能力を使って自分達の姿が見えない様にすると言う発想はなかった。
「なんかホテル無くなっちまったから適当に空飛んでるけど、次何処に行くのか考えてあんのか?」
大正は弥生に素朴な疑問を告げてみる。
「そうね。学校に通ってみようと思うんだけど」
「「「「は?」」」」
弥生の発言に全員が驚く。
そもそもこの世界、日本には神護に何処かへ飛ばされたシルルを探しに来たのだ。
幾ら優れた能力を持っていても、シルルは中学生くらいだ。心配して当然で、出来るならば一刻も早く行方不明のシルルを見つけ出して保護したいところだ。
しかしそこで弥生は学校へ通うなどと言い出したのだ。皆の「は?」と言う反応は当然であり、寧ろ正しいだろう。
「どっどどう言うことだ!?」
「学校に通うって何の為に……」
大正と飛鳥は弥生が何を考えているのか一ミリも理解出来なかった。
因みにヱミリアとカリミアは異世界の住人である為学校に通うなどと言われてもイマイチ実感が湧かない様だ。
日本について多少の知識を持っているカリミアであってもやはり実感は湧かなかった。
「皆が「は?」って思う気持ちは分かるよ? でも、なんて言うか、直感で学校に行くべきだ。行くと何かが起こると感じたのよ。私の直感はいつだったけ? 前に、願いを叶える能力で強化していたから信用出来る筈。ほぼ確実に何か起こるわ!」
弥生は必死に皆に学校へ行く理由を話す。もしも皆が「嫌だ。学校なんて行きたくない!!」等と言っても能力で洗脳でもして連れていくことも出来るが、そんな、まるで屑の様なことを弥生は絶対にしない。もし「嫌だ。学校なんて行きたくない!!」と言われてしまったら独り寂しく学校へ編入しに行くつもりだ。
「……分かった。それなら学校へ行ってやろう! 最悪、シルルに何かあったとしても弥生さんの能力でどうとでもなるだろ」
「うん。私も大正くんと同じ意見」
「私とカリミアは別に良かったけど」
しかし、弥生の心配は全く必要なかった。弥生が必死な顔をしながら納得のいく説明をすると、全員笑顔で学校へ行っても良いと言ってくれた。
「それにしても……ここって上空二万メートルだよな? 酸素濃度薄いと思ってたけど普通に呼吸できるし、思ってたより寒くなくないか?」
大正はふと思った疑問を弥生に問いてみる。
「酸素濃度が薄い問題は、私の能力で皆の身体を酸素なしでも生きられる様に変えちゃったのよ。それと、上空二万メートルは成層圏なのよ。成層圏というのは……なんて言うか、オゾン層の辺りで、紫外線を吸収するところ……だった、筈? だからそこまで寒くならないのよ」
弥生はあまり自信なさげに答える。
と言うかそもそも成層圏だとか、物凄く難しい内容なのだから別に自信がなくても良いだろう。
「疑問形だな? 成層圏だか中間圏だか熱圏だか宇宙空間だか知らねえけど弥生さん、良く分かってないだろ?」
大正はニヤニヤしながら遊び半分にからかった。
「あ、ははは……まあ取り合えず今は多分気温〇度くらいだと思うし、あ、でも空気薄いと体感温度とかあまり感じないのかな? まあ実際今普通に飛んだり会話したりしてるし、別にもうそんなことどうでも良いじゃない?」
「そ、そうかぁ?」
弥生はこんな難しい話はもうどうでも良いと思った様だが、大正はあまり納得のいかない様だった。
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数分後、遂に弥生たちが通っていた学校の上空まで辿り着いた。
しかし上空二万メートルから真下にある学校まで普通に降りていっても大勢の人に目撃されてしまう。そこで、弥生の能力で全員の姿が周りの一般人からは認識できない様にし、普通に学校まで降りていった。普通に二万メートルから降りると時間が掛かるので一度飛行魔術を解いて落下し、地面に叩きつけられる前に再び飛行魔術を発動するという方法を使った。
落下中、何百キロものスピードが出た訳だが、皆ジェットコースターの様に笑顔で楽しんでいた。ただ、大正と飛鳥は怖かったらしく、地面に着くまでずっと叫び続けていた。
飛鳥の叫び声はともかく、大正の叫び声なんて聞いても喜ぶのは大正に惚れている弥生やヱミリア、そしてこの場には居ないがシルルくらいなものだ。飛鳥は自分自身も叫んでいる為大正の叫び声なんて耳に入ってこなかった。
「うわあああああああああああああ!! 助けてくれええええええ!!」
「きゃあああああああ!! 助けてええええええ!!」
この日、学校の周辺で少年と少女の叫び声を聞いたという噂が後に広がっていくのであった……
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