第五十二話 弥生に続き、大正も死亡
第五十二話目です。
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「フ、フフフフ、フハハハハハハ!!」
男が不敵に笑っている。
「……く! な、何がおかしい?」
歯を食いしばりながら大正が問う。
「イヤ、ハナシ、キイテタヨリヨワカッタシ。ソレニオマエラノキョウフシタカオオモシロスギルテワロタ。クサハエル」
聞き取りにくい喋り方ではあったが、大正たちには自分たちのことを馬鹿にしていることだけは確実に伝わった。
「く、ウザいし弥生さんの仇でもあるから、取り敢えずテメエはここでぶっ殺しておかねえとな!」
――『聖なる光線』!!
聖なる光線。聖なる光を凝縮させ、レーザービームとして放つ技だ。
便利な事に、邪悪な精神を持ったものしかダメージが通らない。
詰り、周りに味方が沢山居る状態で聖なる光線を乱射しても何も問題ないということだ。
勿論味方の目に直撃しても目が眩んだり失明することも絶対にないので安心安全!
その光線を大正は男へ向けて放った。
光線の太さは、一般的な人間の顔のおよそ三倍程だ。
そしてこの食堂には大勢の人間が居るが、この光線は邪悪な精神を持ったものにしかダメージが通らない為、精々巻き込まれて死ぬのは過去に罪を犯した者や其れ相応のクズだけだ。
そんな奴らが死ぬ分には何も問題ない。
寧ろ一石二鳥以上だ。
ドォオオオンッ!! と激しい音と共に男の首から上が削れる。
大正は男の顔へ向けて光線を放った為角度的に他の人に当たることはなかった。
「はっ! ゴミがっ!」
大正はそう暴言を吐きながら男に刺しっぱなしだった聖剣を抜く。
相変わらず出血はしない。
「ふぅ……」
溜息をつきながら取り合えず後ろを向く。
仲間が全員自分の後ろに居たからだ。
他の仲間を見る気もせずそのまま弥生の遺体へ駆け寄る。
「……弥生さん、本当に、終わりなのか? 嘘だろ? お前がこんな簡単に死ぬはずなんて……絶対に、有り得ない。有り得る筈がない! 違うか! おい! どうせ、どうせ死んでも魂だけになってその辺で聞いてんだろ? 応えてくれよ……やよい……」
縄文弥生は心肺停止しており、当然脳も機能していない。
完全に死亡していた……
「……く……や、よい……」
愛した女が亡くなってしまったのだ。
大正は涙を流さずには居られなかった……
『……く。う、ウワァアアアアアアアア!!』
弥生の遺体を抱きしめ、そのまま号泣してしまう。
まだ死んで間もないのにも関わらず、何故か弥生の体温は既に気温と同じになっていた。
しかし大正はそんなこと気にも留めなかった。
大正の声は食堂中に響き渡りる。
だがヱミリアたち仲間も、他の客たちも一切何も感じていなく、無表情の様だった。
しかし大正は弥生しか見ていないため、周りがどうなど分かりはしない。
「……あ、あれ? なんで、なんでだ! なんで、弥生の遺体が、どんどん冷たくなっていくんだ……」
少し落ち着いてきた大正は気付いてしまった。
段々と弥生の遺体が氷の様に冷たくなってきていることに。
「どうなってんだ! まるで、氷じゃねえか……」
大正がガタガタと震えながらそう呟くと、背後に何者かの気配が。
しかし大正は弥生に意識が集中しすぎていた故、本来感じられる程の気配も感じることが出来なくなっていた。
「大正危ない!!」
突然ヱミリアがそう叫んだ。
「え?」
ずっと弥生にしか意識がなかった大正が突然叫ばれて理解出来る筈もなく……
――ドォッ!
と重い音と共に、大正の心臓が貫かれた。
「……う、ガハッ。な、んで……」
意識が朦朧とする中、辛うじて後ろに居る、自分の心臓を貫いた相手を見ることが出来た。
「おま、えは、こ、ろした……は……ず……」
そこで大正の意識は途切れた。
弥生に続き、大正までもが死亡してしまった。
「ク、フフフ。ツギハ、オマエダァッ!」
男の矛先が、今度はヱミリアに向いてしまった。
「……そんな、こんな筈じゃ……『人体凍結』!!」
何かを失敗した様な口振りでヱミリアは男を凍り付けにした。
『人体凍結』は、名前の通り、人体を凍結する技だ。
因みにこの技はヱミリアの父、シデリアンから受け継いだ「何でも凍らせる能力」を使用したものである。
「多分長くは持たないわ。きっとこいつなら直ぐに私の氷を溶かして動き出すわ! 今の内にお願い! 弥生!」
『魔剣・魔微塵斬』
何処からともなく弥生が現れ、魔剣で男を微塵斬りにした。
どうやらさっきまで大正が抱き抱えていた遺体は偽物だった様だ。
「グ、アアアア!! ナ、ナゼイキテイル!? ジョウモンヤヨイハカクジツニシマツシタハズ……」
「作戦だったのよ。この大勢の客たちから良くない魔力がダダ漏れだったからヱミリアと協力して身代わりを作ったのよ。ヱミリアが氷で私の等身大人形を作り、そこに私が意思を入れた。飛鳥とカリミアにはこの作戦をしっかりと伝えていたのだけど大正くんにだけ伝え損ねてしまった。結果として大正くんを死なせてしまったのは本当に申し訳ないと思っている。でも大丈夫。私の能力にかかればあっという間に蘇生可能! という訳で早速大正くんを生き返させるわ!」
――『魂強制帰還』!!
『魂強制帰還』は魂を強制的に肉体に戻すことによって、例えば本人が生き返ることを拒否しようとそんなの関係なしに生き返らせてしまう恐ろしい技である。
その『魂強制帰還』を弥生は大正へ使った。
大正の遺体周辺が暖かい光に包まれる。
「あ、あれ?」
弥生が焦り始める。
それを見たエミリアたち三人も嫌な予感を感じた。
「なんで!」
焦りすぎて思わず大声をあげてしまう。
――大正くんの魂が何処にもない……
to be continued...
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