第四十九話 紅黒髪の少女とトイレノックの恐怖
第四十九話目です。
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飛鳥は命乞いをするが、弥生は聞く耳を持たない。
そのまま「ンッ!!」とあまり可愛らしくない声を上げながら魔大剣を飛鳥に振りかざす。
――きゃああああああああああ!!
悲鳴を上げ、まだ死にたくないと恐怖しながら飛鳥は目を瞑る。
バリィインッ! ズガァッ! と耳が痛む程大きな音がする。
「ん? あ、あれ!?」
飛鳥は今目の前で起こっていることが理解出来なかった。
それもその筈。いとも簡単に街を更地にすることの出来る魔大剣がまるでガラスの様に割れ、それが地面へ落ちて行っていた。
更にその魔大剣を使いこなす弥生が気絶し、今飛鳥の目の前に居る正体不明の謎の紅髪と黒髪が混ざった少女にお姫様抱っこされていた。
「……訳が分からない……」
そう思いつつも、実際この訳の分からない状況は現実の出来事なのだ。受け入れるしかない。
勇気を出して紅黒髪の少女に質問をしてみる。
「あ、あの! 聞きたいことが……」
「そう焦らずとも近い内に分かりますわよ? 嫌でも理解してしまう、運命は必然ですからね?」
ますます紅黒髪の少女が何者なのか分からなくなってしまった。
「……あ、そうでしたわ。飛鳥さん。弥生ちゃんが目を覚ましたら破壊した街を元に戻すよう言っておいて下さいね?」
「――!! なぁ……なんで、私たちの名前と弥生の能力を……」
飛鳥は青ざめ、紅黒髪の少女を警戒する。
敵か味方かも分からない上、少女の能力は未知数。警戒するに越したことはないだろう。
「『千里眼!』う~ん。明治大正とヱミリア・エクタシィはいちゃついてるので弥生ちゃんはカリミア・エクタシィに預けますね」
「え? い、いちゃ……え! 大正くんとヱミリアが!?」
飛鳥は少女の発言に驚くが、少女は無視し、そのままホテルの中に入って行った。
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「あ……やっぱり誰も居ないなぁ。こうなった原因私と弥生だけどちょっと気味悪い……」
ホテルの中に入ると人気が一切無かった。避難しているのだから当然だろう。
飛鳥が周りをキョロキョロと見渡している中、少女は弥生を抱えながらスタスタと速足で階段を上って行った。
カリミアたちは五階に宿泊しているのだ。
「あ! ちょっと待ってぇ!」
いつの間にか少女が上の階へ上っていることに気付いた飛鳥はダッシュで少女を追いかける。
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「……ここですわね」
「そうなの?」
飛鳥と少女は五階にあるカリミアの部屋の前まで辿り着いた。
少女は千里眼を行使したり、魔力を感じ取ったりしながらカリミアの部屋を見つけ出したが飛鳥は少女に着いてきただけだ。
部屋に行く前に弥生と大喧嘩を始めてしまった為部屋の場所を全く知らなかったのだ。そして、魔力を感じ取ったりするのを面倒に感じた飛鳥は、カリミアの部屋を探すのは全て少女に丸投げしてしまった。
――コンコン
行き成り入るのは失礼なので少女はカリミアの部屋の扉を二回ノックする。
するとドグゥォオオオオン!! と内側から扉が破壊され、壊れた扉が飛んで行く。
「危ないですわね!」
瞬発力の良い少女は素早く右方向に回避する。
「うわぁっ!!」
しかし残念なことに、丁度少女の真後ろでボーと突っ立っていた飛鳥の顔面に破壊された扉がクリティカルヒットした。
「あぅ……い、痛い……」
飛鳥は泣いてしまった。
だが誰も気に留めはしなかった。可哀想に……
「……何故、この様なことをしたのです?」
少女がカリミアにドアを破壊し、吹き飛ばした理由を問う。
「え? ま、まさか知らないのですか?」
カリミアは物凄い驚いている様だ。
まるで常識を知らないと言われた時の様。
「なにがでしょう?」
驚いたカリミアの発言に対して少女は首をかしげる。
本当にカリミアの言っていることは理解不能であった。
そして、これがカリミアの物凄い驚いた理由だ……
――ノック二回はトイレの時ですのでてっきり馬鹿にされたのかと……
「……はい?」
思わず聞き返してしまう。
「いえ、ですからノック二回はトイレの時ですのでてっきり馬鹿にされたのかと……」
「それはさっき聞きました。そんな下らない理由でドアを破壊するなんてあなた馬鹿?」
カリミアは結構細かい。少女はこの人面倒臭いと思うのであった。
「取り合えず……そうですね。『召喚! 新しい扉』」
カリミアも最早なんでもアリだ。扉を破壊してしまったが為に新しい扉を召喚し、扉を修復してしまった。
召喚魔術の使い方は間違いなく間違っている。
「さあ! リベンジですよ!」
どうやらわざわざ扉を修復したのは少女にもう一度ノックをやり直させる為の様だ。
「はい?」
少女の反応は当然である。
この魔族何言ってるんでしょう? そんなのどうでも良いでしょう?
しかしカリミアが五月蠅く言うこのノックが後に役に立つことになるなど、誰一人として知る由もなかった……
to be continued...
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