第四十五話 飛鳥、ペラペラになって絶望する
第四十五話目です。ただのネタみたいになってしまった。
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『グギャアアアアアアア!!』
それは唐突に現れた。
「「「「「うわああああああああああ!!」」」」」
弥生たち五人の死角から巨大なヒグマが飛び出し、襲い掛かってきた。
反射的に全員その場から逃げ出す。
「な……あれはヒグマか? だが明らかに可笑しい! 体長が十メートル程の化け物に見えるのは気のせいだろうか……」
「魔力を感じる! 魔物化してるわ!」
必死に逃げている中、大正は一度後ろを振り返りそう思ったのだが、どうやらそうではないらしい。ヱミリアが言うに、五人を追いかけてきている巨大なヒグマは魔物化しているのだそうだ。
しかし何故日本、いや、この世界で魔物が存在しているのかが疑問に残る。
だが今はそんなことを考えている場合ではない。このままヒグマの魔物から全力で逃げれば近くの街まで辿り着くことが出来るがそれは推奨出来ない。
考えるまでもなく問題が多すぎるからだ。体調十メートルの化け物が山を走り回ればただの自然破壊。本来魔物の居ないこの世界故生態系が滅茶滅茶になってしまうかもしれない。
だがそれはまだマシな方だ。最悪街までこの魔物を撒くことが出来ず、着いてきてしまった場合……後はもう言うまでもないだろう。きっと想像を絶する程悲惨なことが起きるであろう。
それ故、この魔物は今ここで出来るだけ被害を最小限に抑える様気を付けながら殺さなければならないのだ。
「きゃっ!」
ここは山だ。当然木の根がそこら中にある。油断した飛鳥がその木の根に足を躓かせ転んでしまった。
「「「飛鳥!」」」
「古墳さん!」
転んでしまった飛鳥を置いていくことは出来ない。弥生たちはその場に止まり、ヒグマの魔物から飛鳥を守ろうとしたが既に手遅れだった。
「う、うわあっ!!」
弥生たちが攻撃態勢に入った時には既に飛鳥はヒグマの魔物に踏みつぶされてしまっていた。
弥生たちの顔は一斉に青ざめる。
しかしヒグマの魔物にとって、飛鳥を踏みつけるという行為は人間が蟻を踏み殺す行為に等しかったのだ。そのままヒグマの魔物は弥生たちに向かってくる。
「このっ! よくも飛鳥を! 死ねェ!」
ブチぎれた弥生は魔剣を創造し、ヒグマの魔物を縦に両断した。
『グ、グヴォオオオオオオ!! (いってぇー! やめてくれぇ!)』
縦に両断されたものの、意外にもゴキブリ並みの生命力を誇っていたこの魔物は半分になった右半身で叫び続けていた。
だが弥生の心は鬼になっていた。と言うより、殺意に満ち溢れて正気ではなくなってしまっていたのだ。
因みに表情はまるで悪魔の様、そしてこの世の者とは思えない程恐ろしい目をしていた。
『シネェエエエエエエ!!』
信じられないことに弥生は魔剣を使って両断した魔物を微塵斬りにし始めたのだ。
『ギィイイイヤァアアアアア!!! (やめて! 死んじゃう! もう私のライフはゼロよ! オーバーキル過ぎるってぇーー!)』
泣き叫ぶ魔物に対し、大正とヱミリア、カリミアは流石に同情した。
「「「やりすぎ、可哀そう(笑)」」」
五分後、気が付けば魔物は粉上になっていた。最早微塵斬りどころではない。
気が済んだのか、弥生の表情は悪魔から人間に戻っていた。エルフだけど。
「無意識だったわ。今後気を付けないと」
記憶は無い。しかし自分が何をやらかしたのかを弥生は大体理解していた。
四人はふと踏みつぶされた飛鳥を見つめてみる。
飛鳥はギャグマンガの様に紙の様にペラペラになっていた。
「ギャグ補正が発動したのね! 良かったわ」
「は? どう考えても可笑しいだろ! ここ漫画の世界じゃない」
「ぎゃぐほせい? って何よ」
「すみません。私にも分かり兼ねます」
色々言い合っていると、突如突風が発生した。
「きゃあ! スカートが」
「やべっ! 見ちまった」
突風で弥生のスカートがめくれ、大正がガン見してしまう。案の定大正は弥生にボコボコにされたが今はそんなことどうでも良い。
「ペラペラになった飛鳥が居ないわ!!」
ヱミリアがペラペラになった飛鳥が居ないことに気付く。どうやらさっきの突風で飛ばされたらしい。
「「「飛鳥ぁああああ!!」」」
「古墳さぁああああん!!」
取り合えず飛鳥の名前を叫んでみるが意味などない。
やはり探してやるしかない様だ。
「今の風は確か西に向かって吹いていたよな?」
「そうなの。じゃあ取り合えず飛んで探してみないかしら?」
「全く。シルルに続き飛鳥まで探さないといけないなんて! 西……だからそのまま日本海に落ちてなければ良いけど……」
「冗談でも笑えませんよ?」
こうして弥生たちは飛鳥を探しに空を飛んで只管西へ向かった。勿論途中木などに引っかかっていないかどうか気にしつつ。
一方その頃風で飛ばされた飛鳥はと言うと。
「あー! あれは私たちが通ってた高校!」
どういう原理なのか分からんが、ペラペラになった飛鳥は普通に喋ることが出来る。と言うより、多分こういう物理に反したことに対して突っ込んではいけないのだろう。突っ込んだ時点で負けだ。
「あー! っていうかいつになったら元の体に戻るのぉおおお!! 何処まで飛ばされるのぉおお!! 待って! 止まってぇええええ!!」
偶然にも飛鳥は召喚される前まで通っていた高校の真上を通ったのだが、そのまま風に乗ったまま更に西へと飛ばされて行ってしまった。
この先は日本海だ。弥生の発言はフラグだったらしい。
「わああああああああ!! 海! 海ぃいいい! たしゅけてぇえええ!! もう方向感覚分かんないよぉおお!! しかもここで風が止んだら……あああああああああ!!」
日本海の足のつかない程深い所まで来た途端、風が止んだ。風が無くなれば当然飛鳥は海にドボンだ。
もしも風に意志があるとすれば完全に嫌がらせである。
「わあああああああ!! 助けて弥生! 大正くん! ヱミリア! カリミアぁああ!! おかぁさああああん!!」
――アレ?
海にドボンと落ちて泣きわめいていると、一つのことに気が付いた。
「あ……私の質量B0の紙と殆ど変わんないから浮くんだ……」
そして飛鳥は一つの結論に辿り着く。
「この体で空腹感を感じるのか分からないけど、きっと飢え死にするまでこのままなのね……」
――早く、助けて……弥生ぃいいいいいい!!
to be continued...
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