第三十九話 魔神となった延展神護
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仲良しになった弥生とヱミリアは、仲良くベタベタしながらドラゴナを倒した大正たちの居る魔王の間へ向かっていた。
魔王の間が近づくにつれ、あちこちが破壊されてた跡が増えてくる。と言っても弥生たちも魔王城の廊下を破壊しまくっていたので、壊しすぎ等と人のことを言える立場ではない。
「あ、弥生! ヱミリア!」
「お姉様!」
「弥生さん!」
「ヱミリアさまに、私の、その……妹……」
戻ってきた弥生たちを大正たちは歓迎する。カリミアは照れながらもちゃんと実の妹である弥生と向き合っていこうと決めた様だ。
「それにしても、弥生さんと魔王……仲良すぎないか? 一体何があった? 嫉妬しちゃうなぁ」
「私も嫉妬しちゃいますね! なんで魔王とそんなに仲良さそうなんですか?」
「お二人が仲良くなられるのは親族として嬉しい限りです。しかしベタベタし過ぎかと……」
どうやら皆酷く嫉妬深い性格の様だ。だが逆に言えば、それだけ弥生とヱミリアは自分たちのことを大切に想ってくれる良い仲間を持ったと言えるだろう。
「皆凄い言ってるけど、私の親友同士が仲良くなるのは良いことだよ!」
嫉妬せずまともなことを言ったのは飛鳥だけであった。
「実は私とヱミリアは、義理の従姉妹以前に幼馴染だったのよ。昔のと同じ仲良しに戻っただけよ」
散々驚かされてきた大正たちは今更弥生とヱミリアが幼馴染だったと言う事実に驚きはしない。元よりそんなことだろうと大体の予想はついていたのだ。
だがこの間ヱミリアはずっと弥生の腕を抱きしめてベタベタしていた。
「ヱミリア、流石にベタベタしすぎよ! 暑いしちょっと離れて?」
「それなら氷魔術を使えば解決よ?」
「……はぁ……そういうことじゃなくて……」
いつの間にか、いや、きっと幼い頃からだったのだろう。ヱミリアは弥生のことが大好きで、何がなんでも腕を放さないつもりらしい。大正やシルルといい、弥生は本当に好かれやすい様だ。
「まあ仕方ないわね。こんなにベタベタするのは今日までだからね?」
弥生は子供を相手にするかの如く弥生に言いつける。
「えー? ずっとこうしてたいわ!」
「言うこと聞かないと……嫌いになっちゃうかもしれないわよ?」
「だ、だめぇええええええ!! 嫌いになっちゃいやぁ!」
我儘を言うヱミリアに対して弥生は悪い顔でそう言うと、ヱミリアは必死に嫌いにならないでと叫ぶ。完全に子供と化してしまっている。魔王・ヱミリア・エクタシィ様は一体何処へ行ってしまったのだろう……
「ところで、これからどうする?」
大正が皆に聞く。これ程まで皆仲良しになってしまったのだから人間界に戻る理由もないし、何よりももうこれ以上の目的が無くなってしまったのだ。大正だって元々弥生探しと魔王の討伐が目的だったがその目的ももう必要なくなった。
「もう皆で魔王城に住んで、暇つぶし程度にたまに瞬間移動で冒険者ギルドへ行ってクエスト受けてくるだけでいいんじゃないかしら?」
「もうそれでいいや」
「それ最高だよ!」
「私も賛成です」
大正だけ疲れ切った様で適当な返事な気がしたが、皆大賛成であった。
「それじゃあまず、魔王城の破損したところを直さないとね!」
飛鳥がワクワクしながらそう言うと、突如天井が破壊され、見た目二十代くらいの強そうな男性が降りてきた。
「わああ! 直そうと思った途端に!!」
皆驚くが、飛鳥に至っては混乱して状況を理解出来ていない。
『血迷ったかヱミリア! 縄文弥生を殺せ! 命令だ!!』
天井を破壊して現れたのは、数百年前、鎌倉に肘打ちで一キロメートル程飛ばされ、その後行方不明となった延展神護であった……
「行き成り私を殺せだなんて、面白いこと言うじゃあない!」
神護のことを見たことのない弥生は、どうせこいつも私の強さを良く理解していない無能だと思っている。
「あれが……延展神護様。私の実の父上……」
カリミアは初めて実の父を目にしたが、正直失望してしまった。ヱミリアから聞いていた話と違う。行き成り私の妹を殺せだなんてただのゴミじゃないか!
「叔父さん! ずっと行方不明になっていたのに……生きて……」
ヱミリアは素直に神護が生きていたことを喜ぶが、残念ながら神護は既にヱミリアの知っている叔父さんではなくなっていた。
「下らんことで涙を流すな! 魔王の癖に! 魔王は魔神である俺の言うことを聞いてれば良いんだよぉ! さあ! 縄文弥生を殺せェ!!」
「嫌よ! なんでそんな酷い人になっちゃったのよ! 昔の叔父さんはもっと優しかったのに! 鎌倉にお父様を殺された時も一緒に怒ってくれたのに! なんで……」
ヱミリアは神護の性格が最低最悪な屑野郎に変わってしまったことに対して、酷くショックを受けている。
「俺は鎌倉の奴にぶっ飛ばされた後、邪神様に回収されたんだ。そこでこの憎しみは使えると言われてな! 邪神様の力で魔神にして貰ったのだよ! フハハハハハハ!!」
神護はゲス顔で高笑いをしながら楽しそうにそう言った。
「邪神だと!」
「聞いたことない神様ですね」
「邪竜の次は邪神と魔神が関わってくんなんてもう訳分かんないよ!」
「お父上様の脳みそはどうやらどうかしておられる様ですね」
邪神という神様のことを皆知らない様だ。知らないからと言って、カリミアは神護をディスりすぎだ。余程弥生を殺せとヱミリアに命じたことが気に食わなかったのだろう。
「さあそろそろ行け! 縄文弥生を殺してしまうが良い! 我が姪、ヱミリアよ!」
「叔父さんの馬鹿! そんな命令聞くわけないじゃない!」
「魔神とやら! いい加減にしなさいよ? あなたが義理の父だなんてショックよ。もう一度ヱミリアに命令したら容赦なく殺すわよ?」
神護は再びヱミリアに命令するが、ヱミリアはストレートに馬鹿と言い、弥生に至っては次命令したら殺害すると予告してしまう。やはり女の子を怒らすものではないと言うことが良く分かる。
「ふっ! いくら命令を拒否しようと無駄だァ!」
神護の眼が紅く光る。
『ヱミリア・エクタシィ! 縄文弥生を殺せェ!』
眼が光った状態で命令すると、ヱミリアの眼も神護と同じように紅く光り、そのまま無表情で弥生に襲い掛かる。
「え!?」
襲い掛かってきたヱミリアの両腕を、弥生は素早く掴む。
「な、何で……こんな奴の命令に従うのよ……」
弥生はショックで放心してしまった……
「……(逃げて……弥生! 体が勝手に動くの!!)」
体の自由が利かず、喋ることさえ出来なくなってしまったヱミリアであったが、涙は流れた。神護への怒り、体の自由を奪われた悔しさ、悲しみ。それらの感情が混ざり合った涙だ。
to be continued...
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