第三十一話 流石に想定出来ない再会
第三十一話目です。
第一話目で異世界に召喚された親友と感動の再開です。
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「と、まあこんなところでしょうかね」
シルルとスカーレットドラゴンは、カリミアに自分が産れた経緯を話されていた。
「成程、話は分かりました。ですがそれを私たちが知って、どうなるんでしょう?」
「あっ!」
カリミアは取り合えず成り行きで自分の産れた経緯を語ってしまったが、その、語った後のことを一切考えていなかったのだ。
語った後はどうなるのだ? 過去を知ったシルルとスカーレットドラゴンとの関係は敵のままなのか、味方となるのか。何も考えていなかったのだ。
「ど、どうしましょう。私はどうしたらいいのでしょう(笑)」
「そ、そんなこと言われてても……」
本当にどうしたら良いのか分からなくなってしまったカリミアは、もう笑いながらどうしましょうとシルルに訊くが、そんなこと訊かれてもシルルは困るだけである。
「もういっそ仲良くしちゃえば良いんじゃないですか?」
カリミアとシルルが困っているところに意見を出してくれたのはスカーレットドラゴンだ。
「あ、言われてみれば、別に争う理由なんてないんですしね」
「魔王が恨んでいるのってお姉様のお母さまだけなんですよね? だったら何も」
カリミアとシルルはその通りだと納得したものの、カリミアが重要な出来事を思い出す。
「ヱミリアお姉様は、なにも鎌倉お母さまの子孫まで恨むだとか、そういう感情は一切ないんです。あくまで鎌倉お母さまだけを恨んでいます。ですが、ヱミリアお姉様は今でも鎌倉お母さまの顔を鮮明に覚えております故、私が成長し、鎌倉お母さまのお顔に似てきたある時に、ヱミリアお姉様のトラウマが、鎌倉お母さまの圧倒的恐怖を思い出してしまったのです。私は鎌倉お母さまそっくりになってしまったから。やがて、ヱミリアお姉様も私の顔を見ても取り乱さず、落ち着くことが出来るようになり、今に至ります。前に一度ヱミリアお姉様は、私にも鎌倉お母さまにもそっくりな弥生に会ったそうですが、きっとその時既に気付いた筈です。縄文と言う苗字を聞いた時にはきっと、ヱミリアお姉様は恐怖に包まれたのでしょう。表に出さなかっただけできっとそうな筈です!!」
カリミアは必死にヱミリアのトラウマを話す。
「う、うぅ」
途中、涙を流しながらも。
「カリミアさん。ああ、ええと、蓋層さんと呼んだ方が良いですか? その、(もしかしたら、あの時ゴブリンのボスを殺したのって、お姉様の顔を見てパニックになったけど、一旦冷静になる為にゴブリンを殺したんじゃ!)」
シルルの考えは正しい。あの時、何処からともなく、ヱミリアがゴブリンのボスの止めを刺したのは落ち着くためだったのだ。一旦邪魔なゴブリンを排除して冷静になったのだ。もしゴブリンを殺していなかったら、完全にパニックとなって、今頃は人間界も魔界も地獄と化していただろう。
「(ここは、下手に私が口出ししないでシルルさんに任しておくのが一番ですわね)」
スカーレットドラゴンは出合ったばかりで弥生とヱミリアの関係性をよくわかっていないので余計な口出しはしないことに決めた。良い判断だ。
「蓋層さん。お姉様は魔王・ヱミリアのところへ向かいました。お姉様の顔を見た魔王は理性が崩壊し、暴走してまず魔界が滅ぶでしょう」
「そ、そんなこと、あなたに言われなくとも私が一番分かっているつもりでしたよ」
――一緒に。止めに行きましょう!! 私たちのお姉様たちを!!
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「全く、魔王の間は何処よ!! 広すぎるわよ!! 瞬間移動すれば直ぐだけど面白味に欠けるし……」
ヱミリアの過去を全く知らない弥生は、魔王の間まで辿り着けずにかれこれ十分以上城内を彷徨っている。
「『魔刀』!! ハァッ!!!」
「はっ!!! 『魔剣』!!!」
キィイイイイイイイイイン!!!!
突如背後から魔族の女の子が襲い掛かってきた。彼女は魔力で刀を創造し、弥生に斬りかかる。弥生はぎりぎりで気付き、一瞬で魔力で剣を創造し、ガードする。
「ヱミリアの元へ行かせるわけには行かないよ!」
「え? ま……ま、さか!!!」
弥生はこの魔族に何処となく見覚えを感じた。何か、懐かしく、ずっと一緒に居た様な暖かい感じ。
「うん、久しぶり。弥生!!」
「飛鳥!!!」
その魔族の正体は、弥生の前世での親友であり、自分が死ぬ直前に異世界へと召喚されたのを最後に会っていない。感動の再開と言うヤツだ。
「飛鳥ぁ!!」
「ああもう!! べたべたしすぎだよぉ~」
弥生は飛鳥に抱き着く。前世では日常茶飯事であった。
「でも、身体は嫌がってないみたいよ? 自分に正直になりなさい? 飛鳥♡」
「だめぇええええ!!!」
流石に性的に危なくなってきたので飛鳥は「だめぇええええ!!!」と弥生を突き飛ばす。恥ずかしがっている飛鳥はとても可愛いかった。
「もうっ! いいじゃない久しぶりに会ったんだから」
「ここは魔王城なのっ! またの機会にねっ!」
「そう、嫌じゃなかったってことね!」
「いやだからぁ!」
非常に和むやり取りをしているが、ここで飛鳥は真面目な話をし出す。
「弥生。ここからは真面目な話ね。私はヱミリアの過去を知っている。それ故に弥生をヱミリアに逢わせる訳にはいかないの」
「うわぁ。なにその角! 可愛い!! 眼も紅くなってて凄く似合ってるわよ!!」
折角飛鳥が真面目な話をし出したなのも関わらず、弥生は無視をし、飛鳥の魔族となった身体の話をし出す。
「え? そう? 初めは気にしてたんだけど日に日にこの角と眼いいなぁって思えてきたんだよぉ! 弥生からも褒めて貰えて嬉しい!! あ、あとは大正くんに褒めて貰えれば……キャーーー♡ ってそうじゃなくてぇ!!!」
つい弥生の話しに乗っかってしまった飛鳥であったが、ちゃんと我に返ることが出来た。
「明治くんは渡さないわよ」
「うん。勝負!! (色々話した上で、駄目だったら戦って弥生をヱミリアのところに行かせないつもりだったけど、これはこれで結局足止めになるからいいか)」
色々と当初の予定が狂ってしまったものの、大正理由に二人は戦うことが出来た。
「「はぁっ!!!」」
キィイイイン!!!
弥生は魔剣、飛鳥は魔刀でお互いに斬りかかり、剣と刀が衝突し合う。
「中々やるわね!」
「そう? でも、これならどう?」
ザシュッ!!
「うわっ!」
飛鳥がこれならどう? と言うと、弥生は背後から飛鳥に斬られてしまう。間一髪で避けようとしたものの、右頬に浅い傷を負う。だが飛鳥は弥生と剣と刀でぶつかりあったままの筈だ。
「飛鳥が、二人? カリミアのような人形ってやつかしら?」
「弥生。カリミィに逢ったの?」
「ええ、逢ったわ。(カリミィ?)」
弥生が飛鳥が二人居るのはカリミアと同じような人形かと呟くと、飛鳥は真剣な表情でカリミィに逢ったのか? と。カリミィとはカリミアのことである。
「カリミィに逢ったのにどうしてここまでこれたの? それ以前に、弥生! あなたとそっくりなカリミア・エクタシィから何も聞いてないの?」
「なにも聞いてないけど」
「そんな、じゃあカリミィは? 倒したの?」
「いいや、私の仲間、シルルと戦ってるわ」
飛鳥に段々と焦りが出始める。しかし弥生には何故飛鳥がそんなにも焦っているのかが理解出来なかった。いや、理解しようとしなかったのだ。思考を読めば全て解決することを、弥生は知っていて、あえてやらなかった。単純に面倒だったからだ。
「……こ、こうなったら私の口から説明する!!」
飛鳥は真剣な表情で息を大きく吸い、大きな声で極秘事項を叫ぶ。
「カリミア・エクタシィの本名は縄文蓋層!! あなたの血の繫がったお姉さんなんだよ!!!」
「ナンダッテェエエエエエエエエ!!!!!」
弥生は飛鳥の衝撃的過ぎる発言に只管驚くしかなかった。棒読みで叫んでしまう程に。
しかし飛鳥の表情から察するに、嘘を言っているとは到底思えないし、ずっと親友で居るのだから、本当に嘘を着いているときは本能的に分かるのだ。それはエルフと魔族になってしまった今でも変わらないだろう。
to be continued...
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