第二十八話 弥生の母、縄文鎌倉
第二十八話目です。弥生の母親も最強だった……
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シルルとドラゴンの反応は正しい。あの、宇宙最強のエルフのJK。縄文弥生に実の姉が居たというのだから。顔がそっくりなのも納得がいく。しかし、弥生と血のつながった姉だというのなら、弥生が人間だったころの姉ということになる。弥生の両親は間違いなく人間なのだ。詰まり、魔族であるカリミア・エクタシィが縄文蓋層と言う弥生の実の姉だと言う事実は、矛盾している……それとも、彼女も日本からの転生者であり、転生時に種族を変更したのだろうか?
「この話は従姉妹で魔王のヱミリアお姉様も知らない。貴女たち二人は随分妹のことを気に入っているみたいだから特別にに教えて差し上げますので心してお聞きください」
今から千年以上前、縄文弥生の実の母、縄文 鎌倉は、現代日本から千年もの時を越え、このディープレッドワールドの魔界へやってきた。
因みに鎌倉も、弥生と蓋層そっくりで身長162センチ、体重とスリーサイズは不明。弥生と同じ黒髪だが短髪、しかし前髪は弥生と同じく長めで丁度目にかかるくらいだ。
「え? 私は、確か……そう! 彼氏とデートしてたらなんか、紅雨神大社っていう変な神社を見つけて、境内に入った途端。『汝を我が世界へ来ることを許そう』って声が聞えてきて……それで、気付いたらここに、彼も居ないし、ってか空紅くてマジ肝いんですけどぉ!!」
鎌倉は、現在十八歳。JKを卒業したばかりだ。
性格は最悪。普通に現代に居そうなウザい感じのギャルっぽい女と言う感じの性格だ。鎌倉の言う、「彼」とは、現在付き合っている彼氏、出会い系で知り合った十個年上でロリコンの変態野郎だ。後に弥生の父になるのだが、それは鎌倉にとっても、彼にとっても誤算であった。ヤってデキてしまったのが弥生なのだから。
だがカリミア、本名で言うと、縄文蓋層の父ではない。蓋層の父親は、鎌倉がこれから出会う魔族の男だ。
「……どうか、したのかい? 見た感じ人間のようだけれど、大丈夫。魔族はてめぇら人間共の様に種族で差別するような愚かなカス共は居ないから安心していいよ!」
鎌倉に優しく、いや、所々恐ろしい言葉遣いも含まれてはいたものの、優しく鎌倉に話しかけてきたのは普通の魔族の青年だ。
身長は180.5センチ、日本のアイドルとは比べものにならない程のイケメンで、白髪、だけど白目のところが黒くなっており、眼は紅い。
「角まで生えてるしなんか怖いけど惚れました! 好きです!」
角が二本鬼のように生えている魔族の美青年のことを、鎌倉は本気で好きになってしまい、彼氏が居るくせに初対面で行き成り告白をする。これには流石に魔族の美青年も動揺する。
しかし。
「うん。OK! じゃあ結婚しようか!」
この魔族も頭が可笑しかった様だ。顔は良いのに頭が残念だ。
念のために言っておくが、この魔族がちょっとおかしいだけで、常識のある魔族だってちゃんと居る。
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そして、二人は結婚した。家ではなく、魔王城に住むことになり、更に一晩で子供を授かることに。その子供こそが弥生の姉、縄文蓋層である。
「あ、そうだ。結婚して妊娠までしたのに名前、まだ聞いてなかったね! うけるぅううう!!!」
鎌倉は現代のギャルのようなウザい感じでそう言った。いや本当ウザい喋り方なのだが、ちょっと頭の可笑しいこの青年は、別になんとも思わないし、寧ろ可愛いとすら思ってしまっている。
「私の名前は縄文鎌倉。日本に彼氏いまぁああす!!! 堂々と二股って凄くない? ね!」
「凄いね! 俺は、延展 神護。別の言い方をすると、ジンゴ・エクタシアン」
鎌倉はウザい感じで自己紹介をするが、神護は常人っぽく自己紹介をする。だが神護が常人っぽく自己紹介をしたところで、神護は非常識だと言うことに変わりはない。自己紹介を普通にした上で、あとから可笑しい言動をすれば、考え方によっては詐欺とも言えるかもしれない。
「叔父さん! 妊娠したって本当かしら?」
叔父さんとは神護のことだ。その叔父さんに話しかけてきたのは、後に魔王となるヱミリア・エクタシィだ。
この頃のヱミリアはまだ5歳である。だがその年齢にして、既に普通の魔族の何百倍もの戦闘力を持っている。
「妊娠したのは俺じゃねえ! 嫁だ!」
「ふぅーん。なにこれ、人間じゃない! 叔父さん程度には丁度いいかもねー! でも産れてくる赤ちゃん、人間という軟弱な血を受け継ぐから弱そ!」
ヱミリアは鎌倉の腹を人差し指で突っ突きながら、まだ胎児である蓋層を馬鹿にする。
「あっ♡」
「ちょっと! 気持ち悪い声出さないでよ! これだから人間は汚らわしい!!」
腹を突かれた鎌倉は感じてしまい、色っぽい声を出す。ヱミリアはそれが気に入らなかったらしく、物凄いキレた。
「おい! 俺の愛する嫁になんてこと言ってんのかなぁ? んん? 兄貴の娘だからって容赦はせぬぞ!!」
神護が怒りの笑みを浮かべながらヱミリアに近づいていく。出会ったばかりのくせに、本当に鎌倉のことを愛してしまっているようだ。
今更ではあるが、神護はヱミリアの父である現在の魔王の弟だ。カリミアとヱミリアが従姉妹だというのは詰まりそういうことなのだ。
「叔父さん! 私も容赦しないわ! お父様の弟だからってね! 『魔刀』!!」
「効かんぞ! 『反発結界』!!」
ズパァアアアアアア!!!!
ヱミリアは魔刀を創造し、神護を斬りつける。
だが神護は素早く「反発結界」と言う、攻撃の衝撃をそのまま跳ね返す結界を張り、ヱミリアは見事に攻撃を跳ね返されてしまう。
「きゃああああああああ!!!」
バタッ!
ヱミリアはそのまま吹っ飛ばされ、部屋の壁に激突してそのまま倒れてしまう。
「く、まだよ!!」
だがヱミリアは負けず嫌いだ。その程度で諦めはせず、再び立ち上がり神護に挑むのだが、ヱミリアはやけになってしまい、両手を前に居る神護に翳し、半径十メートル程の魔法陣を展開させ、極太レーザーを放つ!
ズゥッバァアアアアアアアアアアア!!!!!!
「な! ば、馬鹿!! しかし、この短時間で、あのレーザーが俺に到達するまでに魔法を消滅させる結界とかを展開させる時間はない!! 一か八か、多分誰か死ぬと思うけど反発結界で跳ね返す!!! うぉおおおおおおお!!!」
反発結界は、物理攻撃の場合衝撃だけを跳ね返すのだが、レーザーや炎の場合は、レーザーや炎をそのまま跳ね返すことになる。例えばボールのように丸いエネルギー弾とかならそのまま跳ね返るのだが、レーザーのようなものだと、レーザーは横に長く、長時間放射しつつけるため、元のレーザーと跳ね返したレーザーが衝突することになるのだ。初めの内は、放射されるレーザーの方が反射されるレーザーよりも密度が低いので放射されるレーザーに負け、そのまま反発結界にぶつかり、また跳ね返るのだ。最終的に、どんどん反射されるレーザーの方が強くなっていき、放射されるレーザーは押し負けてしまう。
「え!! ま、まずい!! 私、死んじゃ……いや! いや! まだ、死にたくない!!!」
ヱミリアはまだ幼い子供だ。まだ死と言う概念をよく理解していないのだが、取り合えず恐ろしいものだと認識している。
ヱミリアは神護に、自分の実の叔父さんに跳ね返された自分のレーザーで死んでしまうことを恐れ、目を瞑る。もうどうしようもないと諦めながら。
「ヱ! ヱミリア!!! くそう!! こんな、こんな筈では!!!」
神護は元々ヱミリアを懲らしめるつもりで戦っていた。こんな、まさか自分の姪が命の危機になってしまうなど思いもしなかった。
神護は相当絶望している。ヱミリアを死なせてしまったら、ヱミリアの父で自分の兄である現在の魔王に何をされるか分かったもんじゃない。
一応言っておくが、神護は魔王が怖いからヱミリアを死なせたくない訳では当然なく、姪だからだ。
「仕方ないわね。『レーザーよ消えろ!!!』」
パッ!!
鎌倉の口調が弥生の様になり、レーザーに消えろと言うと、鎌倉の言うことを聞くかのように、レーザーは跡形もなく一瞬にして消えた。
「え? い、生きてる……う、ぐすん、うぅ。うわぁああああああああん!!!」
訳も分からず命が助かったヱミリアは、その場でわんわんと泣き出してしまう。
「……鎌倉。お前は、お前は、一体、何者なんだ……」
神護は鎌倉の正体を問う。しかし鎌倉は普通の人間の筈だ。レーザーを消すどころか、魔法自体使えない筈なのだ。
「私? 普通の人間よ。この能力は前世で神様から授かったもの。前世の記憶は無かったけれど、この世界に来たことによって思い出したみたいね。今になって思えばあのギャルっぽい喋り方、もうしたくないわね」
鎌倉の記憶は、本当についさっき戻ったばかりなのだ。ヱミリアがレーザーを打った辺りからだ。
そして、鎌倉の実力は、恐らく魔王を。
――私を遥かに凌駕するだろう……
to be continued...
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